NYの視点:12月FOMCでは9月と逆のサプライズも 株式会社フィスコ 2013年10月31日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場の予想通り、政策金利であるFF金利誘導目標を0-0.25%のレンジで据え置き各月850億ドル規模での資産購入策を据え置く方針を決定した。同時に、政策転換の目安となるフォワードガイダンスを失業率6.5%、インフレ2%という基準で据え置いた。注目となっていた量的緩和第3弾(QE3)の行方に関して、縮小には「持続的な回復を示すさらなる証拠が必要」としたほか、「景気見通しに伴うものだ」と再度、強調した。9月の声明の内容とほぼ同様となった。経済に関する懸念があまり表明されなかったことから、市場で考えられていたより若干タカ派の声明としてとらえられている。
経済に対する評価は9月と同じ。見通しは市場の懸念に反し、改善した。経済活動は「前回のFOMCから引き続き緩やかに拡大している」とした。見通しでは「経済や雇用市場の見通しで下方リスクは減っている」との文言を維持しただけでなく、9月FOMC声明で示されていた「しかし、最近見られる金融状況の逼迫が持続すると、経済や雇用市場を損ねることになる」とのネガティブな見通しを削除した。
住宅市場に関する評価は「ここ数ヶ月の住宅市場の回復は鈍化した」で、若干、下方修正されたにとどまった。この声明を受けて、ゴールドマンサックスのチーフエコノミストは、「予想よりいくらかタカ派寄りの声明だ」との分析。米ウォールストリートジャーナルのFedウォッチャーであるヒルゼンラス氏も大方の市場参加者と同じく、「12月のFOMCでの量的緩和第3弾(QE3)縮小の開始は全く選択肢から除外されたわけではないようだ」と見ている。しかし、「全ては経済がFRBの見通し通りに進展した場合に限る」と加えた。
現在のところ、大方のエコノミストはQEの縮小の開始は少なくとも2014年1-3月期と見ている。2014年半ばとの見方もある。米国の経済専門局であるCNBCが事前に実施した世論調査によると、対象となった40人のウォールストリートのエコノミスト、ストラティジスト、マネーマネジャーは米FRBが各月850億ドル規模の資産購入プログラムを2014年4月まで継続すると見ていることがわかった。9月調査では2013年の11月だった。終了の時期も2014年12月と見ている。
そんな中、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長がメンター(良き指導者)として慕っているイスラエル中央銀行のフィッシャー前総裁は、議長にとって最後となるFOMCでQE縮小に踏み切る必要性を指摘していた。12月のFOMCでは9月とは逆のサプライズも除外できない。<KO>
- 株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。