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「日銀は大胆で熱心、だが成功はまだ」海外コラムニスト断言 今後の改革へ期待も  ニュースフィア 2014年11月7日

関連ワード : 金融経済 

 日銀が10月31日に発表した追加の金融緩和策は、昨年4月に導入された「異次元の金融緩和」をさらに拡大するもので、「日銀バズーカ」第2弾と称されている。29日にアメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会が量的緩和の終了を決定したことと相まって、円安が急速に進行し、東京株式市場の平均株価も大きく上昇した。世界のメディアは、日銀にどのように注目しているだろうか。

◆日銀は欧州中央銀行に比べたら「神経過敏」?
 ロイターのコラムニスト、ジェームズ・サフト氏は、独創的な方法で、日銀、欧州中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)という世界の主要な中央銀行を比較している。

 欧州中央銀行は活動が鈍く、出し惜しみするが、日銀は大胆で、ほとんど神経過敏に等しい。欧州中央銀行は近年、いくぶん日銀の引き立て役になっている、とサフト氏は語る。欧州中央銀行は6日に定例理事会を開き、最新の政策を発表するだろうが、それが何であれ、失望は不可避だろう。日銀の追加緩和の措置は、成功するかもしれないし、失敗するかもしれないが、少なくともその失望を和らげるのに役立つだろう、としている。

◆日銀は積極的だが、その効果のほどは…
 サフト氏は中央銀行を擬人化して捉え、各中央銀行が行うことは、まったくそれぞれの特徴通りだ、と論を進める。見ていて面白いが、学習したり、人格が成長したりする形跡があまりないという点で、シットコムの登場人物のようだ、と語っている。

 サフト氏の見立てによると、日銀は、目的を達成できない奮闘家だ。ひどく熱心に事に当たるが、実際の効果には乏しいという。日本はもう何年もデフレから抜け出せていない。日銀は新機軸の採用では率先しているけれども、成功したという立派な記録を持っていない、と断じる。

 欧州中央銀行は全くの正反対で、中央銀行界の気難し屋だという。その行動ぶりはいつもしぶしぶである。もしも「トリック・オア・トリート」と言う子どもたちに、「うちの芝生から出て行け」と言いそうな中央銀行があるとしたら、それはここだろう、という。

 FRBは、ソーシャルメディアと実生活を混同して、困り果てた親である、としている。株式市場からどれだけ多くの「いいね!」を獲得できるかが、成功の主要な指標だと考えている。つまり、株価をとにかく上昇させることにばかり気を取られている、とする。

 サフト氏によると、シットコムは、登場人物たちはある状況にとらわれているが、自分たちでは運命をほとんどコントロールできない、というものだという。サフト氏は、どの中央銀行も、いささか八方ふさがりだと語っており、その取り組みの成否には、どちらかといえば悲観的であるようだ。

◆黒田総裁はデフレ脱却に真剣だと、海外アナリストらに伝わる
 フィナンシャル・タイムズ紙は、日銀の金融緩和策が株価に与えた影響から、論を説き起こしている。

 投資運用の専門家らは、日本の株は実際よりも低く評価されており、株価はまだ割安で、今後さらに上昇すると予想しているという。ただし、長期的な回復は、今後、改革が進むかどうかにかかっている、と警告しているという。記事は、日銀の追加緩和はアベノミクスの一環であるとした上で、「向こう1年間、アベノミクスは日本経済に対する以上に、株式市場に対してはるかに大きな影響を及ぼすだろうとわたしたちは考えています」との、ベアリング・アセット・マネジメントの分散投資調査部門ディレクター、クリストファー・マホン氏のコメントを伝えている。

 今回の日銀の措置について、英SMBC日興キャピタル・マーケットのストラテジスト、ジョナサン・アラム氏は、「これが示しているのは、日銀総裁は日本をデフレから脱却させることに真剣だということです。そのことは、総裁が次にどういう手段を取るかという詳細よりも、さらに重要だとさえ言えることです」と、好意的に受け止めている。

 また、マホン氏は、今回の追加緩和は、来年10月に予定されている2回目の消費税率引き上げの影響を和らげるための先制攻撃だと考えているという。

◆デメリットを押し切ってやり遂げることへの支持を訴える黒田総裁
 日銀の「量的・質的金融緩和」については、利益よりも不利益を多くもたらしているとして、日本国内で不平が募っていると、ウォール・ストリート・ジャーナルのブログ「日本リアルタイム」が伝えている。特に、円安が促進されていることで、コストが上昇しているとの不平が中小企業から上がっている。

 これについて、日銀の黒田総裁は、5日に行った講演で、自身が推し進めている政策への理解を求めた。デフレからインフレへの移行は、経済と社会に重大な変化をもたらすもので、その過程において、メリットとデメリットが表面化することは、ある程度避けがたいことだ、と述べたと記事は伝えている。「デフレという慢性疾患を完全に克服するためには、薬は最後までしっかりと飲み切る必要がある」と黒田総裁は語った。

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提供:ニュースフィア

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