スコットランド独立投票、日本にも影響? 沖縄独立運動家らが現地訪問 英紙報道 ニュースフィア 2014年9月17日
スコットランドの英国からの独立を問う住民投票が、18日に行われる。独立に賛成する「Yes」の票が「No」を1票でも上回れば、1707年のイングランドとの合併から307年ぶりに、連合王国からの独立が決まる(2016年に実施予定)。
スコットランドの行く末そのものと同時に、カタルーニャ(スペイン)など世界の独立運動への影響も気になるところだ。英ガーディアン紙などは、沖縄独立を目指す活動家らがスコットランド入りし、情報収集を始めたと伝えている。
【中国ではなく「日本が侵略者」と活動家】
ガーディアン(9月15日付)によれば、沖縄独立を掲げる『琉球民族独立総合研究学会』のリーダー格、友知政樹研究理事(沖縄国際大学教授)らメンバー数名が、11日に現地入りした。市民や学者、独立運動を牽引するスコットランド国民党(SNP)幹部に直接面会し、意見を交わしたい意向だ。地元紙・琉球新報の記者も同行しているという。
友知氏は同紙に対し、「スコットランドには独立と自らの将来を決める権利がある。それは沖縄を含め、世界中の人々が欲していることだ」と語った。同紙によれば、友知氏らは、沖縄は日米の“共謀”行為の最大の被害者だと考えており、独立によって沖縄を米軍基地の重荷から開放し、中国、東南アジアとの貿易によって経済的に繁栄する未来を描いている。今後はSNPのマニフェストも参考にしていく意向だという。
また友知氏は、「独立したら沖縄は中国の手に落ちるのではないか」という懸念に対して、「根拠のないものだ」と一蹴する。「沖縄は既に、日本によってもっとずっとひどく侵略されているようなものだ。中国は琉球王国だった何世紀もの間、一度も我々を侵略しなかった」とガーディアンに答えている。
【「日本政府は沖縄に同じ選択肢を与えない」】
ロシアに拠点を置くニュース専門局『RT』も、『琉球民族独立総合研究学会』のスコットランド訪問を報じている。その目的は、スコットランドの「Yes」キャンペーンが、どのように投票直前になって急激に支持を拡大したかを探ることだとしている。ちなみに、スコットランド独立支持派は1980年代までは住民の15%程度だったが、最近では一部の世論調査で賛成派が上回る結果も出ている。
RTは、「ロンドンの中央政府が近年、スコットランドに対する関心を急激に失った結果、市民の意識にナショナリズム的観念を植え付ける隙を与えた」と論じる。住民投票は、2012年10月にイギリスのキャメロン首相とスコットランド行政府のサモンド首相の間で交わされた「エジンバラ合意」に基いて行われる。RTはキャメロン首相が当時、独立支持の潜在的な勢力を過小評価していたことも、最近の「Yes」の急激な拡大につながったと見ている。
一方、沖縄の独立については懐疑的だ。「スコットランドの住民投票は英国政府が実施を許可した結果、現実のものとなった。しかし、日本政府は沖縄に同じ選択肢を与えないだろう」とRTの記事は結ばれている。
【海外のスコットランド人も住民投票に賛成】
住民投票の投票権があるのは、約530万人のスコットランド住民のうち、英国籍、または英連邦かEU加盟国に国籍がある16歳以上の者。生誕地や民族は問わない。逆に100万人と言われる域外・海外在住スコットランド人には投票権がない。
韓国紙『コリア・タイムズ』は、こうしたイングランドや英国外に住むスコットランド人にスポットを当てた記事を掲載している。
ソウルの大学で講師を務めるクレイグ・ブランチさん(44)は、「スコットランドに生まれ、人生の最初の30年間を過ごしたのに投票権がないのは残念だ」と語る。一方、ロンドン在住の首都エジンバラ出身の男性は「どこかで線引きしなければならない、もし血筋で投票権を与えれば、スコットランドの人口を上回るカナダ人の20%がキャスティングボードを握ることになってしまう」と話す。
同紙は、独立の賛否や投票権については幅広い意見があるものの、ほとんどの海外在住スコットランド人は、住民投票の実施そのものには賛成していると記す。スコットランド最大の都市グラスゴー出身のソウル在住のジャーナリストは、「住民投票は、人々の意見や民主的な活動を反映したものだ。その民主的なプロセスを見ることは、スコットランドにとっても世界にとっても、良いことだと思う」と同紙に答えている。
吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫) [amazon]
日本のウイスキー、なぜ世界で高評価? 過剰なまでの“職人魂”が要因と米メディア分析
菅元首相、オーストラリアで反原発活動 ウラン輸出自粛など主張 現地メディア報道
“沖縄の声は世界に届く” 辺野古移設反対派の声を米軍機関紙が報道
日本酒はハンバーガーと良相性!? 生き残りを賭けた世界進出に海外メディア注目