【経済】安倍首相と黒田総裁の会談、“新情報なし”でも海外紙注目 追加緩和への期待が背景か ニュースフィア 2014年4月17日
黒田日銀総裁と安倍首相が15日、首相官邸で昼食を共にしたと各紙が報じている。両者の1対1での会談は昨年12月以来、その前は6月であった。
圧力ではない
今会談をする理由としては、消費税増税を受けて「政府が最近の株式市場の下落や円高を心配している兆候だ」と論じられてもいる。フィナンシャル・タイムズ紙は、観測筋によれば政権が日銀に追加緩和圧力をかけている可能性があると報じている。ロイターは、以前、政権から日銀総裁への直接圧力により、日銀の独立性に懸念が挙がった事があると指摘する。
しかし黒田総裁も菅官房長官も、首相から特に金融緩和に関する注文はなかったと否定した。黒田総裁は「2%物価安定目標への道から逸脱があれば、政策調整を躊躇しません」「いまだ道半ばに過ぎないとはいえ、我々は着実にその道を往っております」などと首相に説明したとのことであり、「首相はご理解くださっていると思います」と述べた。
中央銀行総裁に振り回され過ぎな金融界
黒田総裁の発言は、以前から総裁が繰り返し発信しているものと変わりない。目新しい情報は全く何もないと言って良い報道にもかかわらず、会見のことを各紙がこうして報じているのは、日銀の追加緩和が7月頃にもあるはずだという、市場の期待によるようだ。
しかしタイム誌は、黒田総裁、イエレン米FRB議長、ドラギ欧州中央銀総裁など、各国中央銀行の一挙手一投足に必死で意味を見出そうとする金融界を、あざ笑うかのようである。記事は「いつでも朝、CNBCを点けてみれば、アナリストやら銀行家やらファンドマネジャーやらが入れ代わり立ち代わり、FRBが何をするつもりかしないつもりか、いつそれをするのかしないのか、紐解こうとする」「イエレンの声明などは何度も何度も何度も、方向や意図の手がかりを求めて音節ごとに解剖されている」と表現している。
黒田の緩和より安倍の改革はどうなっているのか
記事は、中央銀行にできることはあくまでも金融政策だけなのであって、経済安定のために本当に必要な改革や雇用創出は政治家の仕事のはずだと主張する。その政治家が成果を挙げられていないから皆、中央銀行に依存し過ぎるようになるのだ、とのことだ。
例えばアベノミクスの浮揚効果は最初だけであり、現在はGDP成長も、円安による貿易収支改善も、賃上げも、進展が少ない。そこへ来て消費税増税は「ただでさえひどく需要不足な経済からさらに需要を流出させる」。安倍政権は「第3の矢」構造改革をこそ進めなければならないはずだが、これは「黒田の印刷機よりもはるかにゆっくりとしか回っていない」。3月下旬になってやっと規制緩和特区の詳細が出始めた程度であり、政権の本気度が疑われるという。