【社会】“接待に甘い”日本の変化か ドイツ証券贈賄事件の海外報道 NewSphere(ニュースフィア) 2013年12月9日
5日、ドイツ銀行グループ傘下・ドイツ証券(本社は東京)の年金基金営業チーム元リーダー、越後茂容疑者と、元三井物産の厚生年金基金常務理事、釣澤裕容疑者が、贈収賄の疑いで警視庁に逮捕された。越後容疑者は昨年4月から8月にかけて、釣澤容疑者に飲食、ゴルフ、海外旅行など、少なくとも90万円相当を供与した疑い。釣澤容疑者は年金を扱う立場上、みなし公務員とされる。
証券取引等監視委員会は、ドイツ証券への行政処分を金融庁に勧告した。
釣澤容疑者は10億円ほどの金融商品をドイツ証券から購入しており、警視庁はその感謝と、購入継続を促すための接待とみている。しかし、比較的少額での摘発の背景には何があったのか。
接待あたりまえの世界
ドイツ証券は、他にも同様の接待を企業年金基金幹部らに対し日常的に繰り返していたとされ、日経新聞によると「当たり前」のことであったという。経費は目立たないよう、何日にも分けて申請させることもあった。ドイツ証券は、年金基金営業チームは9月に解散したと明らかにした。
ニューヨーク・タイムズ紙は、顧客の接待は「金融の世界で流行している」、フィナンシャル・タイムズ紙は「日本や他のアジア諸国では永らく文化的規範の一部となっていた」、と伝えている。
なおドイツ銀行グループは、ロンドン銀行間金利の不正操作の件で同日、欧州委員会から7.25億ユーロの罰金を課されるなど、すでに多数の法的苦境を抱えていると報じられている。
きっかけはAIJ
フィナンシャル・タイムズ紙は今回の摘発について、企業接待や贈収賄に甘かった日本の規制当局が欧米レベルに追い付いてきた徴候かもしれないとの、専門家の意見を伝えた。
また各紙、昨年のAIJ投資顧問の年金詐欺事件以来、監督不行き届きとの風当たりが強まっていた規制当局が、より広範に年金基金の精査を強めていた結果だとも指摘している。証券取引等監視委員会は5月からドイツ証券の捜査を進めていたという。