トップ    >   記事    >   連載・コラム    >   早稲田大学マニフェスト研究所 連載    >   第3回 議員は日ごろ何してる?~「見えづらい議会活動」が変わっていく

【早大マニフェスト研究所連載/週刊 地方議員】

第3回 議員は日ごろ何してる?~「見えづらい議会活動」が変わっていく(2012/06/07 早大マニフェスト研究所)

 政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載をスタートしました。「議会改革」をテーマにした「週刊 地方議員」の連載では、研究所の調査結果をもとにして議会改革の最新事例を紹介しながら、議会本来の役割について考えていきます。第3回は「議員は日ごろ何をしてる?~「見えづらい議会活動」が変わっていく」をお届けします。

「住民に見える議会」「住民が見たいと思う議会」へ

 前回までに、議会が持っている権限や果たすべき役割について書いてきました。議会が、皆さんが収めた税金の使途などを決定している重要な機関であることは認識できたと思います。では、皆さんが住んでいるまちの議員の活動は、住民の目にどのように映っているでしょうか?

 選挙の時には、町中を街宣車で自分の名前を連呼し、掲示板にポスターを貼り、駅前で街頭演説をするなど、何かと目についた議員ですが、選挙が終わるとパタリと姿を見なくなったという話をよく聞きます。選挙が終わって次の選挙までの間、議員はどのようなことをしているのでしょうか?

三重県鳥羽市議会のHP。USTREAMやtwitterなどITを駆使して「議会の見える化」を推進している。三重県鳥羽市議会のHP。USTREAMやtwitterなど
ITを駆使して「議会の見える化」を推進している。

 議員の重要な仕事は、議会での活動です。通常、役所など行政は4月から翌年3月までの期間を1つの「年度」という期間で考えます。1年度中に開催される議会は、6月、9月、12月、3月の計4回あります。1議会の期間は20~30日開催されるのが一般的です。この定期的に開催される議会(定例会)に加え、必要に応じて臨時に議会(臨時会)が開催されることがあり、1年間で議会が開催されるのは4~6回が標準的です。

 議会では、1議会開催中に、執行部(首長側)から提案される内容を「委員会」で審議します。例えば、教育に関する課題は教育関係を取り扱う委員会で、道路建設に関する課題は建設関係を取り扱う委員会で審議をします。こうした委員会が複数あり、議員はそれぞれ1~2つの委員会に所属し、審議しています。

 また、全体の予算や決算を審議する委員会などもあります。3月議会は4月から始まる次の年度の予算を審議し、9月議会は前年度の決算を認定する議会と位置付けられています。このほか、執行部に議員個人として質問できる「一般質問」、会派の代表者が質問できる「代表質問」の日程もあり、議会開会中は情報収集や資料作成など細かく活動する議員が多くいます。

 こうした定例議会の合間に視察に行ったり、研修に参加したり積極的に活動する議員が増加しています。

 ところで、こうした議会の活動(議員個人の活動)は、議場や委員会室という住民の見えづらいところで行われているため、住民の皆さんからは「わかりづらい活動」ととらえられることも多いと思います。また、積極的に地域の課題を収集して政策提案として執行部へ提案し、質問する議会活動を行う議員がいる一方で、中にはほとんど行わない議員も存在します。選挙後、あまり姿を見なくなった議員をたまに見かけるのが地元の行事だったりすると、議員に不信感を抱くのは当然の事でしょう。

 このような「住民から見えづらい議会」を変えようと、「住民から見える議会」へ、そして「住民が見たいと思う議会」へと、議会の情報を積極的に公開し住民と共有しようとする議会が今、増加してきました。こうした取り組みをしている議会は、インターネットやケーブルテレビなどを使用して議会中継を実施し、視察の報告書や政務調査費(活動費)の内訳をホームページへ掲載するなどして、ブラックボックスだった議会活動が、徐々に白日の下にさらされてきています。

 そうしたなか、第5回マニフェスト大賞最優秀成果賞を受賞し、ICTを活用した議会改革で有名な流山市議会では、「市民が『みつけやすく・わかりやすく・つかいやすい』地方議会ホームページ」を目指して2012年10月1日に市議会のサイトをリニューアルする予定です(参照: 流山市議会HPが変わります!)。

 ホームページ1つとってみても、議会改革の気づきは沢山あるはずです。ぜひ、こうした動きも参考にしてみてください。

■早大マニフェスト研究所とは
早稲田大学マニフェスト研究所(略称:マニ研、まにけん)。早稲田大学のプロジェクト研究機関として、2004年4月1日に設立。所長は、北川正恭(早大大学院教授、元三重県知事)。ローカル・マニフェストによって地域から新しい民主主義を創造することを目的とし、マニフェスト、議会改革、選挙事務改革、自治体人材マネジメントなどの調査・研究を行っている。

関連リンク
早稲田大学マニフェスト研究所ホームページ
Twitterアカウント(@wmaniken)

週刊 地方議員
第2回 議会ってなにするところ?~すべては議会で決まっている
第1回 なんだか議会が動きはじめた?
早大マニフェスト研究所 連載記事一覧

ページトップへ