【早大マニフェスト研究所連載/週刊 地方議員】
第16回 ホームページで自己評価を掲載している議会~北海道福島町議会 (2012/12/27 早大マニフェスト研究所)
政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載をスタートしました。「議会改革」をテーマにした「週刊 地方議員」の連載では、研究所の調査結果をもとにして議会改革の最新事例を紹介しながら、議会本来の役割について考えていきます。第16回は「ホームページで自己評価を掲載している議会 ~北海道福島町議会~」をお届けします。
議会や議員の評価は誰が行うのか
議会や議員の評価は、誰がどのように行えばよいのでしょうか。「議員は4年に1度の選挙で評価を受ける」と言われる方がいらっしゃいますが、有権者は選挙の際、その評価は何を基準にすればよいのでしょうか。新人候補者ならば実績がないので期待票となりますが、現職候補者を評価する手段や情報が、これまでは圧倒的に不足していました。ですから、地盤・看板・カバンで選ぶ「旧来型の選挙」から、公約の中身や実績で選ぶ「政策型の選挙」になりにくかったのではないでしょうか。
議員の評価について、個々の活動実績を自身のホームページや広報誌の作成などで周知を図ったり、報告会を開催して意見交換を行ったりと、積極的に活動している議員も中にはいます。ところが、議会を見てみると、議員個人ほど積極的に住民と連携している議会は少ないのが現状です。つまり議会としては、まだまだ検証を行っていない、ということが言えると思います。
評価を行うのは、議会自身や住民、研究者などの専門家などが考えられます。住民や研究者の場合、議会の情報は自分で取りにいかなければ入手することが不可能です。しかも、議会へ依頼をしても情報がすべて出されるか分かりません。このような消極的な情報公開体制をとっている議会の場合、住民や研究者にとって、検証を行いにくい環境にあると思います。したがって、まずは議会自身が自己検証を行い、情報を開示することが必要となってきます。「住民に開かれた議会」を表明する議会が増えていますが、どのような活動を行ったかについて、議会自身が検証し、公表しているところは非常に少ないのが現状です。
経年で議会検証を自ら行っている議会
そんな中、北海道福島町議会は2005年から、議会の活動を自身で検証し、結果をホームページなどで公開しています。しかも、経年の結果が比較できるようになっているため、活動の変化が見てとれます。評価は「○:概ね一定の水準にある」「△:一部水準に達していない」「▲:取り組みが必要」の3段階に分けられており、△や▲がかなり目立っています。自己評価をする場合、手前味噌で甘い評価になりがちなのが一般的ですが、福島町議会の場合は、かなり厳しく自己評価を行っていると言えます。
また、議会評価だけでなく議員個々の活動評価も行っています。年度当初に、各議員に目標を設定し公表、年度終了時に検証しています。目標の設定はまだまだ抽象的な感もありますが、このように年度当初に宣言しておけば、住民のチェック基準にもなり議員自身も責任と自覚が生まれるため、良好な緊張感を持って議員活動に取り組むことができます。
議会が活動を行った結果、「住民の生活のどこが向上したのか」「地域がどの程度良くなったのか」などについて検証されるのが、本来の姿です。しかし、そこへ至る過程で「議会が何をしたか」という検証がなされなければ、地域の変化も期待できません。福島町議会が行っているような議会の自己検証は、ほかの議会もぜひ取り入れていただきたいものです。
- ■早大マニフェスト研究所とは
- 早稲田大学マニフェスト研究所(略称:マニ研、まにけん)。早稲田大学のプロジェクト研究機関として、2004年4月1日に設立。所長は、北川正恭(早大大学院教授、元三重県知事)。ローカル・マニフェストによって地域から新しい民主主義を創造することを目的とし、マニフェスト、議会改革、選挙事務改革、自治体人材マネジメントなどの調査・研究を行っている。