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「anello」類似品販売差止判決、模倣品対策について (2017/12/15 企業法務ナビ

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はじめに

「キャロットカンパニー」(大阪市中央区)が展開する「anello(アネロ)」のロゴ入りリュックサックの類似品を販売していたとして「大地」(東京都中央区)に対し販売差止と損害賠償を求めていた訴訟で大阪地裁は15日までに差止と約50万円の賠償を命じていたことがわかりました。今回は類似商品への対策について見ていきたいと思います。

山登り

事案の概要

報道などによりますと、キャロットカンパニー社は2015年3月に、イタリア語で年輪を意味する「anello」を商標登録し、同ロゴの入ったリュックを販売してきました。同ロゴ入りリュックはガマ口のように開口部が大きく開くデザインで、物の出し入れや中身の確認がしやすく、また値段も手頃であることから若い女性中心に人気を集めてきたとのことです。

一方の大地側は2016年1月から10月にかけて「anello」に酷似したロゴが入ったリュックやショルダーバッグなど約170点を中国から輸入し、東京と大阪の3店舗で販売していたとされます。キャロット社側は商標権侵害を理由として販売の差止と1000万円の損害賠償を求め提訴していました。

商標権による保護

商標とは事業者が自己の扱う商品やサービスを他人のものと区別するために使用する識別標識を言います。たとえば「コカ・コーラ」「WALKMAN」といった商品のネーミングや商品にプリントするマークなどが挙げられます。それがあることによって消費者は自社のものと他社のものを区別し、またその商標によって消費者の信頼を蓄積することができます。

商標には様々なものがあり、今挙げた文字や図形から、記号、立体形状、動き、ホログラムから色彩、音にいたるまで商標として登録することができます。商標登録がなされた場合、商標権者は登録の日から10年間権利を独占することができ、他人による侵害に対し差止や損害賠償請求ができます(商標法36条、37条、38条)。また商標権侵害には10年以下の懲役、1000万円以下の罰金またはこれらの併科となります(78条)。

意匠権による保護

意匠とは物品の外観や形状を言い、意匠法に基づき登録することによって意匠権として保護されることになります。意匠とは基本的にデザインと同義ですが、意匠権として登録するためには「工業上利用することができる」ものでなければなりません(意匠法3条1項柱書)。つまり物品としてのデザインでなくてはならず、単なる絵や建物のデザインでは登録の対象とはなりません。

意匠権は製品の外観が模倣されることを防ぐためのものだからです。意匠権も登録によって発生し、登録の日から20年間存続します(20条1項、21条1項)。意匠権侵害に対しては差止請求、損害賠償請求ができ(37条1項、38条、39条)、侵害者には10年以下の懲役、1000万円以下の罰金またはこれらの併科となります(69条)。

不正競争防止法による保護

不正競争防止法2条1項3号では「他人の商品の形態…を模倣した商品」の販売や輸入を不正競争の一つとして禁止しております。これはいわゆるデッドコピーのことで、コピー商品や模造品、海賊版などとも呼ばれます。このような不正競争行為に対しては、差止請求、損害賠償請求ができます(3条、4条、5条)。

しかし不正競争防止法による場合、自己の製品を他人が模倣できるようになった時、すなわち販売や発表、商品サンプルの発表などがあったときから3年が経過すると適用除外となりこれらの請求はできなくなります(19条1項5号イ)。なお不正競争防止法にも罰則が規定されており、不正の利益を得る目的で模倣品販売等を行った場合には5年以下の懲役、500万円以下の罰金またはこれらの併科となります(21条2項3号)。

コメント

本件でキャロットカンパニーは「anello」のロゴを予め商標登録していたことから商標権に基づき差止と損害賠償請求を行ないました。大阪地裁も商標権侵害を認め差止と賠償を命じる判決を出しました。商標権以外にも本件リュックはガマ口状に大きく開く特殊な形状・デザインであることから意匠としても認められる可能性はあると言えます。このように商品や製品には様々な形で知的財産権が認められております。

ロゴ・マークには商標権が、外形デザインには意匠権が、そして場合によっては物の形状・構造として実用新案権というものも存在します。これらはそれぞれ存続期間や手続にかかる期間、費用も違いがあり、商品によってどの権利を取得することが適切か違ってきます。また仮にこれらの登録がなかったとしても不正競争防止法による保護もありえます。

模倣品を防止するためにどのような権利があるのかを把握し、既に模倣品が出回ってしまったとしてもどのような対策が講じられるかを把握しておくことが重要と言えるでしょう。

提供:企業法務ナビ

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