[用語解説]空家対策特別措置法
品川区のごみ屋敷に行政代執行―増え続ける住宅数と空き家も影響か (2016/5/20 政治山)
品川区は5月17日、ごみ屋敷と化した空き家に対し、「火事が発生する恐れがある」などとしてごみを強制撤去する行政代執行に踏み切りました。
周辺住民から度々苦情が寄せられ、区は所有者に何度も指導を行ってきましたが、現地不在の所有者が一向に改善しなかったため、空家対策特別措置法に基づき行政代執行を実施しました。ごみは20トンに及ぶとみられます。
昨年5月に施行された同法に基づく行政代執行は、今年3月に空き家そのものを撤去した葛飾区に続き2例目。
参考記事:京都のごみ屋敷や横浜の違法屋台…撤去費用は誰が負担?
ごみ屋敷は全国的に増加傾向
街中でも時折見かけるごみ屋敷は全国にどのくらいあるのでしょうか。国土交通省が2009年に全国市町村アンケートを行ったところ、回答があった1217市町村のうち約2割の250市町村でごみ屋敷が発生し、72市町村で「特に問題が大きいと認識」していました。まだごみ屋敷が社会問題として注目される前の調査結果であり、その後も年々増えているとみられます。
とりわけ別表のように空き家は年々増加しているため、住民不在のごみ屋敷が各地に放置されているとみられ、治安や災害の面から周辺住民の迷惑にもなります。
人口減少と反比例して増え続ける住宅数
空家対策特措法の施行により、行政の手で空き家の管理ができるようになりましたが、人口減少に転じる中で総住宅数は増え続けており、問題はむしろ広がる一方です。
欧米諸国に比べ圧倒的に新築住宅を好む日本人の嗜好が空き家を拡大再生産している側面があり、特措法だけでなく住宅の新築規制など国の抜本的な対策が求められます。
- <著者> 上村 吉弘(うえむら よしひろ)
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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