新しい政治参画の形、政治版クラウドファンディングがスタート (2014/3/18 政治山)
若年投票率の向上を目指すNPO法人ドットジェイピーは3月18日、株式会社JGマーケティングが運営する「シューティングスター」のクラウドファンディングのシステムを使用し、議員向けの新サービス「政治版クラウドファンディング」を開始すると発表した。
クラウドファンディングとは資金調達方法の1つで、インターネットを利用して不特定多数の人に目的や志のために資金提供を呼び掛け、必要とする金額が集まった時点でプロジェクトを実行する仕組み。
今回発表された「政治版クラウドファンディング」では、シューティングスターのサイト上で政治家(国会議員、地方議員、立候補予定者)がプロジェクトオーナーとなり、資金調達の目的(プロジェクト)を立ち上げて物販品(ギフト)の準備する。一般の方は賛同するプロジェクトの物販品を購入することでプロジェクトオーナー(政治家)の活動を応援することができる。この仕組みを通じて有権者は、選挙で投票する以外にも政治参加する機会が増えた。
楽天LOVE JAPANに代表されるインターネット献金サービスと異なる点は、政治資金規制法での寄付とは違い、あくまでもギフトを購入する物販であり、支援金額に応じて政治家は支援者にギフトを提供する。これにより、政治資金規正法によりネット献金の仕組みを利用できなかった地方議員が、このサービスを利用することでインターネットでの資金調達が可能となった。
衆議院第2議員会館で開催された発表会見には、自民、民主、維新、結いの党所属の国会議員ら10人が同席し、サービス開始と同時に立ち上げた自身のプロジェクトや、今後の期待についてコメント。自民党の小林史明衆議は、昨年の台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンの被災地へ救急車を贈り、医療支援と復興支援をしたいと、目標金額500万円のプロジェクトを開始、会見の場で協力を呼び掛けた。このほかにもサービス開始と同時に12のプロジェクトがスタートしている。
また千葉県流山市議会議員で、NPO法人ドットジェイピーの顧問も務める松野豊氏は「地方議員は全国に3万5000人いる。1年後に迫った統一地方選挙に向けて地方議員の事例も必要だろう」と語り、自らもプロジェクトを立ち上げるという。
ドットジェイピーの理事長であり、JGマーケティングの代表取締役でもある佐藤大吾氏は、購入型クラウドファンディングの実績として、2月9日実施の東京都知事選挙に立候補した家入かずま氏が、6日間で740万円以上の資金を集めた事例を紹介した。佐藤氏はプロジェクト成功の鍵を、プロジェクトにストーリーがあるかどうかだと語る。「それは見返りがあろうがなかろうが応援したくなるかということ。それと同時に見返りであるギフトが魅力的かどうか、それがしかるべき人に届いているか、そして適正な金額設定かどうかも重要」と説明した。また、ギフトアイデアとして、活動報告書のダウンロードやメールマガジンの配信、議員とランチができる、オリジナルグッズの提供などが挙げられた。
政治活動、選挙活動の区分については、基本的にはこのサービスは政治活動のための支援スキームであると説明。また公示・告示前に立候補の供託金を集めることはNGだが、「ただし都知事選の場合のように告示後であれば供託金のクラウドファンディングは可能と認識している。今のところ何の問い合わせやお咎めも受けていない」と佐藤氏は話した。プロジェクトの設定やギフト内容の遵法性の監視については、関係省庁や弁護士の相談を受けており、プロジェクト立ち上げに関しても個別相談を受け付けているという。
これまでにもドットジェイピーは学生の議員事務所へのインターンシッププログラムを運営しており、若者と政治を結ぶ活動で若年層の参画に貢献してきた。高額な寄付やパーティーチケットの購入は無理だけれど、少額なら政治家を応援したいと思う人はいるので、そういう人の政治参画の機会を作りたいと、このサービスの立ち上げの準備や研究に2年を費やしたという。今後は、様々な事例を積み重ねて、多くの政治家と有権者をつなぐ魅力的なものに育つよう期待したい。
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<政治版クラウドファンディングの概要>
■ウェブサイト
政治版クラウドファンディング(http://seiji.shootingstar.jp/)
■サービス内容
シューティングスターのサイト上で、国会議員、地方議員、立候補予定者(=プロジェクトオーナー)が「プロジェクト」を提案し、そのアイデアに賛同する一般の方々(=サポーター)から資金を募る仕組みを提供する。
■課金の仕組み
サポーター募集期間内に目標額を達成した場合のみ、サポーターから支援額の引き落としを行い、決済が成立する。また、プロジェクトオーナーはサポーターに対してギフトを提供する。募集期間内に目標額に達しなかった場合は支援は不成立となり、決済は行われず、ギフトの提供も不要となる。
■手数料について
システム運営者は、プロジェクトで集まった金額の20%をシステム利用料(クレジットカードなど決済手数料を含む)としてプロジェクトオーナーに請求する。