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日本が直面する課題に現職議員として立ち向かう 『日本改革原案』刊行に寄せて (2014/7/25 政治山)

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先ごろ、日本創生会議が発表した試算により、2040年には消滅の危機を迎える自治体が全国に多数あることが明らかにされました。この人口減少こそが日本の直面する最大課題であるとの認識で書かれた『日本改革原案』(光文社)が注目を集めています。今回、政治山に寄稿を頂いている東京大学大学院情報学環交流研究員の本田正美氏が著者の小川淳也衆議院議員を訪ねました。

日本が直面する人口減少という課題

――この本の概要を教えてください。

「日本が直面する課題として、(1)人口構造の激変、(2)人口減少の加速、(3)エネルギー環境制約、(4)超国家問題への国際政治の遅れ、以上の4点を指摘しました。そして、それらに立ち向かう4つの国家構想として、(1)生涯現役、(2)列島開放、(3)環境革命、(4)国際社会の変革について論じました」

――人口問題に関する記述が随所に見られますが、その問題に着目した理由は何でしょうか。

「私は2003年に総務省を辞めて立候補をしましたが、その時から一貫して、日本が直面する課題は人口問題と資源エネルギー制約の問題だと主張してきました。この本は、国政に初挑戦したときから主張してきたことを形にするために、30代が中心になって結成された東京後援会のメンバーと2011年から議論を積み重ねて完成させたものです。その議論を通して、日本が直面している様々な問題の根本に、そして現在の日本を覆っている閉塞感の背景に、高齢化率の上昇という人口構造の激変と総量の減少という人口減少の加速があることが分かりました。ですから、随所で人口問題に言及しております」

現職議員だからこそ、都合の悪いことも包み隠さない

――生涯現役の部分では、消費税25%を目途にして引き上げることや社会保障関連費の2割圧縮といった提言がなされていますが、これは選挙を見据えた現職議員には書きにくいことではありませんか。

小川淳也 衆議院議員

小川淳也 衆議院議員

「確かに、有権者の方に耳触りの良い話ではありません。そこまで踏み込んで書くべきかどうか迷ったこともありました。しかし、そういう不都合なことを言わず、問題の解決を先送りしてきたのが、これまでの日本の政治家でした。そのような姿勢が政治不信を呼んできたのだと思います。私たちの世代が目の前の日本の最大の課題に取り組む。そのためには、事実を隠さずに示した上で、必要とされる手立てを議論することが必要だと思い、不都合なことも包み隠さず述べました」

――まずは、日本の不都合な現状を知ってもらう。それが第一歩ということですね。

「はい。本では分かりにくい部分もあるので、紹介動画も作りましたので、ご覧いただければ思います」

紹介動画:http://www.youtube.com/watch?v=SDScB9OrY-M&feature=player_detailpage

国をあげた議論を

――政治家の本はなかなか売れないと言われるなか、これほど真面目に政策を議論したものを出すのは大変だったと思いますが。

「実際、出版状況が厳しいことは間違いないでしょうが、光文社の編集者の方が草稿を評価してくださって出版されることになりました。幸い、私の地元香川の宮脇書店では、5月の発売以来4週にわたって売り上げが1位でしたし、通算で7週1位です。Amazonの書籍総合ランキング政治部門(5/18付)でも1位になりました。日本の行く末を真摯に考えてくださる方が、たくさんいらっしゃるということだと思います」

――そもそも、タイトルからして、非常に硬く真面目な印象を受けました。

「本の最初にも書きましたが、『日本改革原案』というのは、『日本列島改造論』と『日本改造計画』を意識したタイトルです。田中角栄氏が『日本列島改造論』を著したのは1972年。その21年後の1993年、小沢一郎氏が『日本改造計画』を著しました。そこから21年後の本年、第三の国家ビジョンとして『日本改革原案』を世に問いたかったのです」

――21年周期で、国家構想が改められる必要があったということですか。

「そういうことになります。つまり、こうです。『日本列島改造論』が書かれた当時の日本は、まさに国家としての青年期だった。増加する人口と成長する経済。それらに伴う不均衡をただす意味で、「国土の均衡ある発展」が主張されたのです。そして、『日本改造計画』のころの日本は、成長を遂げた成人期です。大人として日本に自立と自己責任を求め、国際社会の一員として平和と繁栄に身をもって貢献することが主張されたのです。私が書きたかったのは、それらに続く成熟期の日本のあり方です」

――副題に「2050年 成熟国家への道」とあるのは、そのような思いからだったということですか。

「その通りです。『日本列島改造論』が書かれた1972年の日本の国民の平均年齢は32歳でした。私が改革を成し遂げるべき目標年次とした2050年には、その平均年齢は52歳になっていることが予測されています。その時に向けて、高度経済成長期に設計された社会制度を今から作り変えていく必要があるということです」

――では、最後に、この本に込めた思いをお話ください。

「この本が広く多くの方に読まれることで、不都合な現実を直視する方が増えてほしいと思います。問題意識を共有する方が増えることは、課題を正面から乗り越える力になります。その力が結集されることで、日本が『成熟国家』となり、今後の世界のあり方を先導していくことになれば、これほど幸せなことはありません」

(聞き手 本田正美)

日本改革原案 2050年 成熟国家への道(光文社)

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小川淳也 衆議院議員
1971年4月香川県高松市生まれ。香川県立高松高校、東京大学法学部を卒業。平成6年自治省(現総務省)入省、沖縄県庁、金融庁、英国勤務、愛知県春日井市役所などを経て、平成15年総務省退職。第43回衆議院選挙に立候補(惜敗)、第44回衆議院選挙において初当選。現在、民主党香川県連副代表、党常任幹事(四国ブロック担当)。
関連ワード : 小川淳也 書籍 本田正美