1.調査目的
東日本大震災で家や家財に被害を受けた世帯の、家計と生活の実態を把握することを目的に調査を行った。
2.調査の方法
調査対象:宮城県石巻市渡波地区(一部大街道地区を含む)で、調査実施時期に主に自宅で生活している世帯。
調査方法:調査票を世帯ごとに直接配布し、3~5日後に回収した。
調査期間:2011年6月25日~6月30日
回収状況:配布数 750、有効回答数 530
分析対象:530世帯、1,844人
調査対象世帯の住居の種類と、地震による損壊状況を調査しました。
1-1.住居の種類と損壊状況
1-1.住居の種類と損壊状況
調査対象世帯の、ライフラインの復旧状況について調査しました。
2-1.上水道、下水道、電気、ガス、固定電話の復旧状況
2-2.生活必需品の保有状況
2-1.上水道、下水道、電気、ガス、固定電話の復旧状況
ライフラインの復旧状況を見ると、上水道と電気が8割以上、下水道とガスが6割以上使用可能となっています。最も使用可能世帯が少ないものが固定電話でした。
※固定電話を、もともと所持していない場合も使用不可に含む。
2-2.生活必需品の保有状況
調査対象地域では、携帯電話以外の生活必需品を、3割以上使用不可または保有していない状況です。
特にエアコンは、81.6%が使用不可または保有していないという結果でした。
調査対象世帯の、震災前と後の就業形態別の人数を調査しました。震災前後の雇用状況を比較します。
3-1.震災前後の就業者数の増減
3-1.震災前後の就業者数の増減
調査対象地域では就業者が、震災前の865人から572人に34%減少しました。
調査対象世帯の1カ月の収入について調べました。また、震災前後の変化をレポートします。
4-1.収入総額の変化
4-2.震災前後の世帯収入
4-3.震災前後の1人当たりの収入
4-4.震災前後の世帯収入の変化
4-1.収入総額の変化
※震災前後の収入額のうち、どちらかが未回答の世帯(32.1%)を除きました。下図は360世帯の収入総額です。
調査対象地域では収入総額が、震災前の13,293万円から7,341万円に44.8%、6,000万円近く減少しました。
4-2.震災前後の世帯収入
震災前後の1カ月の世帯収入額の変化を見ると、平均約17万円減っていることがわかりました。
下のグラフは不明・未回答(32.1%)を除く360世帯の収入額別の世帯数の変化を表しています。収入がない世帯が8.7倍に増えています。
また20万円以上30万円未満を境に、30万円以上の世帯が減少し、20万円未満の世帯が増加しました。
4-3.震災前後の1人当たりの収入
※震災前後の就労人数と世帯収入のいずれかが不明な世帯(49.8%)は除きました。n=266です。
震災前後の1カ月の1人当たりの収入の
変化を見ると、平均5万円以上減っていることがわかりました。
下のグラフの収入額別世帯数の変化を見ると、10万円以上の世帯が減少し、10万円未満の世帯、特に収入がない世帯が増加しました。
4-4.震災前後の世帯収入の変化
震災の前と後の収入の変化を調べました。
全体の約半数、回答があった世帯の約7割で収入が減少したことが分かりました。
調査対象世帯の1カ月の支出とその構成を調べました。
5-1.世帯支出
5-2.支出構成
5-1.世帯支出
調査対象世帯の1カ月の支出は、10万円以上20万円未満の世帯が26.0%で最も多く、次いで20万円以上30万円未満の17.9%でした。30万円以上支出がある世帯が13.1%あります。
5-2.支出構成
支出未回答(28.3%)を除く世帯の支出構成を見ると、最も割合が高いのは食費の22.1%、次いでローン返済の18.5%、光熱費の11.7%でした。この3項目が支出の半数を占めています。
調査対象世帯の1カ月の収支を調べました。
6-1.世帯収支
6-1.世帯収支
1カ月の収支が赤字となる世帯が全体の3分の1、回答があった世帯の過半数を占め、そのうちの2割が10万円以上の赤字となることがわかりました。
調査対象地域の住居の種類は、持ち家が85.8%、賃貸が12.3%です。また、87.1%の世帯が全壊、または半壊認定を受けた家屋で生活を続けています。