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国会議員らがネット選挙解禁を約束 「ONE VOICE サミット」開催(2012/05/23 政治山)

各党国会議員と有識者によるパネルディスカッション

 国会議員や有識者らを招いて「ネット選挙解禁」について課題を共有、議論する「ONE VOICE サミット」(主催:One Voice Campaign実行委員会)が23日、東京都の衆議院第一議員会館内で開催された。同実行委員会は、20~30代の若者を中心メンバーに、政治のネット活用推進と若者の政治参加を進めるため世論を喚起する活動を行っている。会場では、国会議員7人が参加したパネルディスカッションが開かれ、ネット選挙解禁の是非について各議員が意見を述べた。今後は、今国会のネット選挙運動解禁を目指し世論を盛り上げるため、ネット上やリアルの場で署名イベントを行う予定だ。

インターネット規制があるのは日本だけ

 開催に先立ち、株式会社VoiceJapan代表取締役の高橋茂氏と選挙プランナーの三浦博史氏から、「現状整理」として、これまでの国会議論の経緯と、海外での活用事例が紹介された。

ネット選挙運動の現状、海外の事例などを交えて説明する選挙プランナーの三浦博史氏(左)と株式会社VoiceJapan代表取締役の高橋茂氏氏(右) ネット選挙運動の現状、海外の事例などを交えて説明する選挙プランナーの三浦博史氏(左)と株式会社VoiceJapan代表取締役の高橋茂氏(右)

 高橋氏は、「ネット選挙解禁」の議論自体は、1996年に当時の新党さきがけが自治省(現総務省)に質問状を出して以来今日まで続けられており、自民党は2005年の衆院選マニフェストで、民主党は2009年衆院選のマニフェストで「ネット選挙解禁」を明記。2010年の参院選前には与野党合意までなされたが、現在に至るまでネット利用は制限されたままであると述べた。一方、震災後の選挙情報の提供において、選挙公報をネットに掲載するなど一部で認められ、先ごろ次期衆院選で選挙公報をネットに掲載することを総務省が認めたと説明した。

 三浦氏は、諸外国のネット利用の現状について、インターネット利用が制限されているのは共産圏のごく一部を除いて日本だけだとし、「異常な事態」と語った。いまの法では、ネット利用は「文書図画の頒布」と解釈され、厳しい制限が課せられるため、現在は選挙期間中にホームページやブログなどを一切更新できない。一方、アメリカ、韓国など諸外国では、ブログやSNSなども広く利用されている。韓国では、投票日当日に投票へ行った証明をTwitterにアップすることが流行り、それが若年層の投票率向上につながったという。「韓国では、ネット利用の制限が行われたとき、それを違憲と判断した。早く日本でも解禁をしてほしい」とした。

各党協議会の開催を約束

 国会議員7人が参加してネット選挙の是非を議論したパネルディスカッション「ネット選挙運動が解禁されたらどうなる?」は、ジャーナリストの津田大介氏、One Voice Campaign発起人の原田謙介氏をコーディネーターに開催された。

左から遠山清彦衆議、松田公太参議、世耕弘成参議 左から遠山清彦衆議、松田公太参議、世耕弘成参議

 参加した国会議員は、民主党の石井登志郎衆議、鈴木寛参議、自民党の世耕弘成参議、公明党の遠山清彦衆議、みんなの党の松田公太参議、共産党の井上哲士参議、社民党の福島みずほ参議ら7人。それぞれネット選挙解禁に関わってきた経験をもとに、政治のネット利用について意見を述べた。

 衆議院の「政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会」理事である石井氏は、「ネット解禁」に反対している議員は、自分についてのネットの書き込みに敏感な人だとし、「ネット利用者は、議員のいいところも探して書き込みをしてほしい」とした。

左から石井登志郎衆議、鈴木寛参議 左から石井登志郎衆議、鈴木寛参議

 世耕氏は、ネット解禁を求める人らが何をすればいいかとの質問に、「ネットの世論を議員は無視できない状況にある。そのパワーを議員にぶつけてほしい」と語った。

 遠山氏は自分宛のメールをスマートフォンですべて見ているといい、「ネット選挙解禁を求めるメールが日常的に増えたら、議員もやる気になるのでは」と述べた。

 福島氏は、ネットを使っている人だけでなく、活字のみを読んでいる人に向かってアピールする重要性に触れ、「新聞など活字で『ネット選挙は解禁されたほうがいい』と報道されることが必要」とした。

左から福島みずほ参議、井上哲士氏参議 左から福島みずほ参議、井上哲士氏参議

 鈴木氏は、津田氏からの「メンバーは総務省の見解を無視して、ネットの更新をすべきだ」との問いに対し、「(参院選が予定されている)来年、やる」と明言。会場から拍手を浴びた。

 井上氏は、被災地でのネットへの選挙公報掲載につながった自身の国会での質問に触れつつ、現在、国対委員長や政治倫理特別委員会に所属している立場から実務者会議の開催をすべきだとした。

 会の後半、世耕氏から今日のメンバーで各党協議会を開催することを約束。ネット利用についてブログなどで各議員の見解を積極的に明らかにしていくべきだとした。石井氏は、一票の格差の是正について、近日中に解決をし、ネット選挙解禁法案の国会での成立に向けて「背水の陣で臨みたい」とした。

 津田氏は、ネット選挙解禁に対する議員の意志がもっと可視化されるべきだとし、One Voice Campaignの今後の活動に期待をにじませた。

 衆議院第一議員会館の会場は聴衆や政治関係のほか、報道関係者など多くの人で溢れた。

 若年層の政治離れが叫ばれるなかでの若者主導の政治キャンペーンであり、また国会議員が7人参加したこともあり、新聞・テレビなどの報道陣の取材や、Ustream、ニコニコ動画も会場からネット生中継を行うなど、活動に対する関心の高さがうかがえた。

 今後は、次期衆院選前のネット選挙運動解禁を目指し、23日夜から100時間のうちにウェブ上で有権者の声を集める「One Voiceキャンペーン」を行う。それに関連して、Facebook上などSNSやリアルの場でもイベントを行っていくとしている。

  • コーディネーターを務めるジャーナリストの津田大介氏(左)とOne Voice Campaign発起人の原田謙介さん(右)
    コーディネーターを務めるジャーナリストの津田大介氏(左)とOne Voice Campaign発起人の原田謙介さん(右)
  • 会場の様子
    会場の様子

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