トップ    >   連載・コラム    >   LM推進地議連連載    >   地球70億人の未来のために、北海道ができること

【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第10回「地球70億人の未来のために、北海道ができること」(2012/11/7 北海道議会議員 広田まゆみ/LM推進地議連)

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載・コラム

 政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第10回目は、北海道議会議員の広田まゆみ氏による「地球70億人の未来のために、北海道ができること」をお届けします。

◇        ◇        ◇

はじめに~北海道から1つずつ

 北海道は現在、人口約550万人で、日本の総人口の4%程度。人口密度は全国平均の1/5です。一方、全国の森林面積の22%、耕地面積も約1/4を占めます(農家戸数は全国の3%に満たないのですが)。

 現在の税財政制度をざっくり言えば、「大きな会社や工場があり、加えて人口が多いと、地方財政にお金が多く入る」仕組みになっています。また、経済の議論においても、地球資源には限界があることを、みんなが忘れたような議論が進んでいると感じます。直接税と間接税のあり方、財政調整機能に関しても議論がありますが、森林をはじめとした環境保全の価値や、食の安全保障などが考慮されるべきですし、従来の関税障壁を撤廃するならば、「地球70億人の未来」のために、フードマイレージなどの新たな規制を日本政府こそが提唱すべきだと思っています。

 荒唐無稽かもしれませんが、東日本大震災を契機に私たちの価値観やもの差しが変わろうとしている今こそ、北海道から、日本から、世界に何を発信すべきなのか、地方議会とは本来どうあるべきなのか。そんなことを考えながら、1つずつ地域の小さな問題解決の実践を積み重ねていけたらと思っています。

道議会改革のこれから

北海道議会議員 広田まゆみ氏 北海道議会議員 広田まゆみ氏

 私が1期目のときに「議員提案条例ブーム」があり、地球温暖化防止対策条例、北海道障がい者条例など、議会基本条例を含む4本の条例が策定された際、私は前述の2つで、会派の条例策定プロジェクトの事務局次長としてさまざまな調査や条文策定に関われたことは幸いでした。

 一方、2期目の現在、そうした機運をつくれず、忸怩(じくじ)たる思いがあります。組織は仕組みではなく、人でも動きます。前回の選挙前に掲げた会派マニフェストは議員報酬の削減などが中心で、条例策定がまったく検討されず今に至っています。このことを考えれば、会派マニフェストの検証と策定を今から仕掛けることが、道民のみなさんに対する責任として必要かもしれません。たとえば、北海道は全国に比べて喫煙率が男女ともに高く、肺がんの死亡率も高いところから、受動喫煙防止にかかわる条例。また、全国学力テストの結果がほぼ最下位を続けていることから、0歳からの読書活動の推進を支援する条例などが、私としては必要と感じています。

議会改革の1歩としての議員活動の可視化の試み

 1期目から実現を目指しているのは、議員の口利き・はたらきかけの公開条例(要綱)の制定です。住民自治が議会の根幹であるならば、議会と住民と行政の関係はより水平・透明なものであるべきだと考えています。全国15自治体ほどでこうした条例の実績がすでにありますが、ほとんどは不祥事を契機として、あるいは首長のリーダーシップのもとで策定されたもの。残念ながら、今の北海道知事はそうした志向はありませんし、地方議員のみなさんにもなかなか賛同が得られないのが現状です。議員活動の可視化が求められている中で、議会改革の1歩として実現したいと考えています。

最後に~東日本大震災を踏まえて

道民に語りかける広田議員 道民に語りかける広田議員

 今期、重点的に活動してきたのは、実際に被災地に足を運んでNPO・NGOの活動に学びながら、彼ら・彼女らの経験をいかに平時の地域の防災計画に位置づけるか、ということでした。まだまだ道半ばですが、とくに北海道の自然学校系のNPOや、福祉・過疎地輸送のノウハウのあるNPOが自立的、かつ継続的な支援を行っているので、そのノウハウを被災地のみではなく、北海道の地域再生につなげたいと思います。今回の大震災と阪神・淡路大震災との大きな違いは、もちろん原発事故もありますが、過疎地が被災したことです。今、被災地が抱えている課題は同時に、北海道の地域が日常的に解決を求められている課題でもあり、まさに、ともに問題解決に取り組むことが私たち北海道、そして日本の再生につながると確信しています。

 また、道議会民主党会派の「原子力からのシフトをめざすプロジェクト」の事務局次長としても、「脱原発―私たちの選択」という草稿をまとめました(参考、PDF)

 冬期の電力需給対策についても、従来の電力会社の常識によらない視点での「北海道モデル」のエネルギーダイエットなどをしっかり求めていく予定です。「地球70億人の未来」のために日本が世界に発信するのは、エネルギーをはじめとし、これ以上地球に負荷をかけない持続的な発展のあり方です。そのために北海道が果たす役割は大きいし、役割を果たすためには中央政府に対し、言うべきは言う、それも法的対話・対峙をしっかりできる北海道議会でありたいと考えています。

著者プロフィール
広田まゆみ(ひろた・まゆみ)北海道議会議員:共生社会、北海道の自立、住民自治と議会改革実現がテーマ。20代は生活保護ケースワーカーとして『べてるの家』のある浦河町で、30代は雨竜町に移住し空き農家バンクなどNPO活動。現在2期目。保健福祉常任委員会・北方領土特別委員会所属。LM地議連北海道ブロック運営委員を務める。
HP:北海道議会議員 広田まゆみ[道政報告、議員活動報告など]
TwitterFacebook
LM推進地議連の連載コラム
第9回「長野県の議会活動を通して感じる日本再生の不可避の課題」(長野県議会議員 金子ゆかり)
第8回「国策の対立に翻弄された福井県~大飯再稼働をめぐって~」(福井県議会議員 鈴木宏治)
第7回「市民の声を基本条例に~那覇市議会改革の今」(那覇市議会議員 前泊美紀)
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟(LM推進地議連)連載コラム一覧
関連ページ
「第7回マニフェスト大賞 全国先進事例を学ぶ研修会」開催(2012/11/05)
第7回マニフェスト大賞 最優秀賞に『倉敷市議会 青空市民クラブ』など(2012/11/02)
第7回マニフェスト大賞授賞式・フォトギャラリー(2012/11/03)
第7回マニフェスト大賞 優秀賞38件が発表 優秀賞一覧表(2012/10/02)
ページトップへ