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TPP(環太平洋経済連携協定)(2011/11/11)

政治山調査で、TPP(環太平洋経済連携協定)への日本参加の是非をはじめ、TPPの理解度や議論の充足度、生活への影響について調べました。そこから浮かび上がってきた問題に対する、有識者や国会議員の意見を紹介します。TPPについて考え、理解を深めるにあたって、ぜひ参考にしてください。(2011/11/21掲載)

政治山調査「TPPへの日本参加の是非について」の結果

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加是非を迫られているAPEC首脳会議直前に、20、30代を対象に調査を実施しました。  調査結果の全文を読む>>

実施日:2011/11/8~9
調査対象:20~39歳までの男女500人
調査方法:インターネットリサーチ

Q4「投票基準として重視することは何ですか」の回答結果

調査の結果、TPPについて若者が次のように考えていることが分かりました。

  • 日本のTPPへの参加について、「参加すべき」22.0%、「検討を続けるべき」が24.2%、「参加に反対」16.8%、「分からない」37.0%、と意見が分かれた。
  • 日本がTPPに参加することによって、自らの生活にどのような影響があるかについては分からないと感じている人が多い。
  • TPPに関して検討するだけの情報が開示されておらず、説明不足と感じている人が多い。

調査結果の全文を読む>>

有識者、国会議員、各党のコメント

政治山にお寄せいただいた有識者、国会議員、各政党のご意見を紹介します。 TPPについて考え、理解を深めるにあたって、ぜひ参考にしてください。

■参加すべき

渡瀬裕哉 東京茶会(日本版ティーパーティー)事務局長

(1)政治山調査結果の感想
アンケート結果として、全体的にTPPについて賛成・反対以前の段階として情報が無いという結果が多かったように思います。たしかに、菅政権・野田政権は分かりやすい方法で国民に対してTPPについて説明してこなかったことは事実だと思います。関係省庁のHPには基本的な資料も公開されていますが、これを「国民に読んで頭で整理しろ」という姿勢はあまりに酷です。ガバメント・コミュニケーションの改善が望まれます。

(2)TPPに対する考え
TPP参加は中長期的なFTAAPのルール策定に加わっていくこととほぼ同義であり、アジア太平洋地域での経済大国として当然のことです。日本の立場はこの地域の国々に対して貿易・投資の自由化を求める「攻め」の側であって、保護主義を掲げる途上国のような「守り」の側ではありません。むしろ、「日本」は貿易・投資の枠組みに関する議論の主導権を取るべきであり、TPPだけでなくFTAAPに至る他の枠組みにおいても積極的な役割を果たすべきと考えます。

(3)若い人にTPPについてどう考えてほしいか
WTO、FTAAP、CEPEA、EAFTAなど、様々な貿易・投資の枠組みが検討されてきており、TPPの拡大がそれらにどのようなインパクトを与えるかという視点が必要です。TPPについて賛否どちらを選んでも構わないと思いますが、多くの反対派が標榜するような一面的・断片的な情報の陰謀論的なパズルではなく、全体像を踏まえた一貫性がある主張を持つことが重要です。

渡瀬裕哉
早稲田大学大学院公共経営研究科修了
地方自治体のマニフェスト立案支援業務に従事
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■参加に反対

中野剛志 京都大学大学院工学研究科准教授
中野剛志

(1)政治山調査結果の感想
大手全国紙や地上波TVでの世論調査では賛成論がより多いのですが、政治山調査では、より賛成と反対が拮抗しています。大手マスメディアの作る雰囲気に流されず、自分の意見を持ち、分からないことは分からないとする40歳以下の若い層が増えているのは、大変心強く思います。

(2)TPPに対する考え
TPPは交渉参加すらすべきではありません。なぜなら、TPPには、日本には何のメリットもなく、デメリットの危険性は多くあるからであり、しかもそのことが国民に周知されておらず、国会での議論すらも不十分だからです。さらに私の場合は、リーマン・ショックによる世界の大きな変化によって、自由貿易や経済連携そのものが無効になるような、厳しい時代が来ているとすら考えています。

(3)若い人にTPPについてどう考えてほしいか
TPPの推進論の根拠は、グローバル化の促進やアジアの成長の取り込みなどですが、いずれも2008年のリーマン・ショック以前から言われていたことです。しかし、リーマン・ショックは世界を大きく変えました。これまで通用していた観念にとらわれずに大局的に考えなければなりません。そのためには、少なくとも、世論の多数派の意見は疑ってかかる知力と異端になる度胸をもつことが必要です。TPPはそうなるための格好の題材です。

中野剛志
1971年 神奈川県に生まれる
1996年 東京大学教養学部教養学科(国際関係論)を卒業後,通商産業省(現・経済産業省)に入省
2000年 英エディンバラ大学大学院に留学し,政治思想を専攻
2001年 同大学院より優等修士号(Msc with distinction)取得
2003年 論文‘Theorising Economic Nationalism’がイギリス民族学会(ASEN)Nations and Nationalism Prizeを受賞
2005年 エディンバラ大学より博士号(社会科学)取得
2010年 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻) 助教
2011年 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻) 准教授
小池晃 日本共産党政策委員長
小池晃

(1)政治山調査結果の感想
TPPへの参加について、「検討を続けるべき」「分からない」が6割以上を占めています。「参加に反対」を加えれば8割近くの方が慎重な態度をとっています。これが国民の率直な思いだと受け止めています。44の道府県議会がTPP参加「反対」「慎重」の意見書をあげ、農林水産業関係だけでなくて、医療、中小企業、消費者などさまざまな国民のあいだから疑問と意見が相次いでいます。それを押し切って野田首相がAPECで交渉参加を表明したのは許しがたいことであり、撤回を求めてがんばりたいと思います。

(2)TPPに対する考え
TPP参加は、(1)被災地の復興の最大の妨げになり、(2)食料の安定供給を土台から壊し、(3)「食の安全」や「医療」など米国の対日要求が押し付けられ、(4)雇用と内需・日本経済全体への深刻な打撃となります。「TPP交渉参加にむけて関係国との協議に入る」といいますが、交渉参加のためには、まずアメリカ議会の承認が必要であり、その事前交渉の中で、米国農産物の完全自由化、混合診療の解禁や食品の安全基準の大幅緩和など、アメリカは対日要求の「丸のみ」を迫ってくるでしょう。そうした中身が明らかになれば、ますます怒りの声が広がるでしょう。  日本共産党のくわしい見解は、しんぶん赤旗「TPPへの暴走を許さない国民的な共同をよびかけます」をご覧ください。

(3)若い人にTPPについてどう考えてほしいか
TPP参加は、21世紀の日本の針路にとって決定的な問題です。食料はなんでも外国頼みの国でいいのか。アメリカ流の、営利企業による保険がきかない医療で、金がなければ病院に行けないような国にしていいのか。TPPに参加する各国政府を、多国籍企業が自由に訴えることができるようにする制度(ISD)で、日本の主権が脅かされていいのか。21世紀、日本がアメリカの「属国」のような国として生きていくのかどうかがかかっています。マスコミ報道だけではわからないことも多いでしょう。共産党も、「しんぶん赤旗」やネットなどで情報発信しますので、ぜひとも目を通していただいて、じっくり考えていただきたいと思います。

小池晃
1960年 6月9日生まれ(東京世田谷区)
1987年 3月東北大学医学部医学科卒業
1987年 4月健康文化会小豆沢病院入職
    その後医療法人社団北病院を経て97年10月より東京勤労者医療会代々木病院勤務
1998年 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)理事
1998年 7月参議院選挙(比例区)で当選
2004年 1月日本共産党常任幹部会委員、政策委員長
2004年 7月参議院選挙(比例区)で当選(2期目)
大西恒樹 日本一丸代表
大西恒樹

(1)政治山調査結果の感想
いずれの意見の人も、国会の議論が足りないと感じる人の方が多く、国民への説明が不足しているとする人が圧倒的であるところに根深い問題を感じる。一方、メディアの取り上げ方について、賛成派は議論されているが上回り、反対派は不足が上回る。これはつまり、メディアを信じている人が賛成派には多く、反対派はメディア以外から情報を得ていると言える。図らずも、メディアの報道傾向が表れたのかもしれない。情報の取り方が多様化しているのは興味深い。政府に対する不信感が強いが、それぞれの影響についてわからないと答えている割合も多く、国民側ももっと勉強しないと変える力は生まれないだろう。

(2)TPPに対する考え
TPPに限らず、自由貿易圏の考え方はすでに時代遅れだ。完全に自由になった市場に残るのは、強いものが勝つというお金の論理だけで、果てなき競争の世界だ。しかも、円高が関税とは比較にならないほどのハンデを日本に課す。ドルが決済通貨であり、アメリカがそれを好きに刷り、変動相場でドル安政策を取り、日本がそれを買い支える構図でアメリカ主導のTPPに乗っても日本は生け贄にされるだけだ。中国とロシアは貿易決済に元やルーブルを使うことで合意している。その意味がわからなければ、問題の本質は見えない。

(3)若い人にTPPについてどう考えてほしいか
TPPだけを捉えて見るのではなく、そこに至る経緯や大きな流れも考えてほしい。リーマンショック、金融危機を経て、金融立国が行き詰まったアメリカは、もはや輸出を伸ばす以外、生きる道はない。一方、急激な経済成長を遂げた中国は、紙屑になりかけているドルを嫌い、アジアに新しい枠組みを作ろうとしている。TPPとはこの覇権争いにおけるアメリカ側の戦略であり、もはや経済の損得だけの問題ではない。今後の日本の外交、安全保障上、米中の間でどのようなポジションを取るのか、という大きな問題であるということを認識し、改めてこの問題を見つめ直して欲しい。そして願わくは、若者らしい理想主義を掲げて行動し、世の中を変える原動力になってほしい。

大西恒樹
1964年2月 東京都荒川区南千住に生まれる
1982年4月 上智大学外国語学部英語学科入学
1984年2月 米国シアトル大学留学政治理論専攻
1986年3月 上智大学外国語学部英語学科卒業
1986年4月 J.P.モルガン銀行東京支店入行資金部為替
1991年8月 バンカース・トラスト銀行東京支店入行
1996年5月 同行退職
1996年5月 株式会社インフォマニア設立同代表
2011年7月 政治団体「日本一丸」設立同代表
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■野田総理の会見内容

首相官邸 野田内閣総理大臣記者会見
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について

本日は11月11日ということでございます。東日本大震災の発災から8カ月目の節目を迎えます。この節目に当たりまして、改めて震災からの復旧・復興、そして福島原発事故への対応に最優先で取り組んでいく決意をまず表明をしたいというふうに思います。

TPPへの交渉参加の問題については、この間、与党内、政府内、国民各層において活発な議論が積み重ねられてまいりました。野田内閣発足後に限っても、20数回にわたって、50時間に及ぶ経済連携プロジェクトチームにおける議論が行われてまいりましたし、私自身も、各方面から様々な意見を拝聴をし、熟慮を重ねてまいりました。この間、熱心にご議論をいただき、幅広い視点から知見を提供いただいた関係者の皆さまに心から感謝を申し上げいと思います。

私としては、明日から参加するホノルルAPEC首脳会合において、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることといたしました。もとより、TPPについては、大きなメリットとともに、数多くの懸念が指摘されていることは十二分に認識をしております。

私は日本という国を心から愛しています。母の実家は農家で、母の背中の籠に揺られながら、のどかな農村で幼い日々を過ごした光景と土の匂いが、物心がつくかつかないかという頃の私の記憶の原点にあります。

世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる、安定した社会の再構築を実現をする決意であります。同時に、貿易立国として、今日までの繁栄を築き上げてきた我が国が、現在の豊かさを次世代に引き継ぎ、活力ある社会を発展させていくためには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかなければなりません。このような観点から、関係各国との協議を開始し、各国が我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益の視点に立って、TPPについての結論を得ていくこととしたいと思います。私からは以上でございます。

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■政党の意見

民主党 経済連携プロジェクトチーム提言の概要
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について
  • わが国としてWTOを通じた国際貿易ルールの強化が重要であり、引き続き積極的に交渉に取り組まなければならないが、WTO交渉が停滞している現在、積極的に経済連携を推進しなければならない。
  • アジア太平洋地域は、わが国にとって政治・経済・安全保障上の最重要地域である。FTAAPの2020年までの実現に向け、より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めていく。アジア太平洋地域内で2国間EPA、広域経済連携を推進するとともに、EUをはじめとするアジア太平洋域外の主要な貿易パートナーとの間の経済連携も推進し、貿易投資立国として世界の貿易投資の促進に主導的な役割を果たすべきである。
  • APEC首脳会議の際には「アジア太平洋地域の経済的繁栄を目指すFTAAPの実現に向け、わが国が先頭に立って推進する」ことを高らかに表明するべきである。
環太平洋パートナーシップ(TPP)について
  • TPPへの交渉参加の是非の判断に際しては、政府は懸念事項に対する事実確認と国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要である。
  • APEC時の交渉参加表明については、党PTの議論では「時期尚早・表明すべきではない」と「表明すべき」の両論があったが、前者の立場に立つ発言が多かった(詳細は別表の通り)。
  • したがって政府には、以上のことを十分に踏まえた上で慎重に判断することを提言する。(民主党HPより)
自民党 TPPについての考え方
  • 政府・与党では、昨年秋に菅総理が唐突に「平成の開国」のスローガンのもと、交渉参加を打ち出した。また、野田政権においても、今月12日からのAPECを目前に政府・与党は大慌てで意見集約に努めているが、明らかに前のめりの感がある。現時点でも交渉で協議されている事項が何なのか、わが国のメリット・デメリット・リスクが何か、いかなる対策を検討しているのかが、国民に示されないままである。
  • TPPについては、政府内の各省の試算がバラバラであることや、政府が正確な情報を出さないため、国民的議論が全く熟していない段階である。特に「聖域なき関税ゼロ」が前提であるとされているにもかかわらず、これにどう対応するのか不明確である。現段階では、政府の情報収集および国民に対する説明は決定的に不足している。
  • このような状況下では、APECにおいて交渉参加の表明をすることには反対である。
  • わが党は自由貿易の推進を対外通商政策の柱とし、様々なEPA/FTA、地域協定のメリット、デメリットを検討し、メリットの大きなものについては積極的に推進すると共に、これによって打撃を受ける分野については必要な国境措置を維持し、かつ万全な国内経済・地域対策を講じてきた。今後とも、この考え方のもと、外交・経済連携調査会でわが国のとるべき戦略について精力的に構築していく。(自民党HPより)
みんなの党 野田総理のTPP交渉に関する表明を受けて

みんなの党は、政党として、唯一、昨年より一貫して「TPPの早期交渉参加をすべき」と表明してきた。野田総理は、本日になってようやく「TPP交渉参加に向けた関係国との協議に入る」と語った。野田総理としては、TPP交渉参加方針を表明したつもりなのかもしれないが、この決断は、あまりにも遅きに失し、この期に及んで「国益」よりも「党内お家騒動」の事情を優先して「交渉不参加」の余地を残し、「交渉参加」とはっきり明言できないという体たらくは政治の劣化の象徴である。

そもそも、TPP「交渉」へ入る・入らないの是非を争点にしたことが大失政である。国会はその交渉の過程や結果の批准をチェックする役割を担うのが基本であり、政府の権限でTPP交渉へ入ることができるのである。ただでさえ、TPPが提起されてから2年間、この問題を放置したあげく、この入口論を争点にして大混乱を招き、交渉参加の遅れをもたらした民主党政権の責任は極めて重大である。

ここまで国内の混乱を拡大させたのは、TPPが、日本の未来の帰趨を占う国政の重要課題であったにもかかわらず、民主党政権・野田総理が、今日に至るまで態度をあいまいにし、議論の過程をブラックボックスにするなど適切な情報発信を怠ってきたからである。 野田総理に至っては記者のぶら下がり取材を拒絶するなどTPPについて何を考えているのかほとんど語ってこなかった。本日の会見でも、結局、結論だけを述べるにとどまり、何を熟慮していたのかまるで分からないような会見であった。

民主党政権は、いつも外国へ話をするのが先であり、国民への情報提供が党内のお家騒動により常に後回しにされてきた。 このような状況で、TPPに対する情報不足として国民が不安を抱くのは当然であり、民主党政権・野田総理の責任は極めて重い。 今後、野田総理が記者のぶら下がり取材に応じるなど、タイムリーな情報発信により、根拠に乏しいTPP反対論によって広がっている国民の不安を払拭することを強く求めたい。

資源に乏しい我が国の戦後の繁栄の礎は自由主義経済・自由貿易である。日本は、自国を世界にひらき、世界に市場を求めて成長を遂げていく道を歩むべきである。また、国際ルールを無視し、自国の利益のみを追求する姿勢を見せている中国に対し、TPPでデファクトスタンダードを作って環太平洋諸国とともに国際ルール遵守を促していかねばならない。

みんなの党は、既に本年1月29日農業アジェンダを発表しているが、TPPを日本農業の抜本強化の絶好の好機とすべきである。農地法をいったん廃止し、地域で農地に関わるルール作りを定められるよう新農業法を制定することなどが適当であり、農地の大集積に向けた大胆な支援・抜本的な取組み(小さな地主・大きな小作人となるイメージ)が必要である。 他方で、日本農産品は、福島第1原発事故を受け、TPP交渉参加国の大半から科学的知見に基づかない必要以上の輸入制限措置を課せられている。こうした競争条件が対等でない状況の改善をはじめとして、政府は日本の国益に沿った交渉を行うとともに、交渉の出遅れを挽回すべく大覚悟をもって交渉するよう強く要請する。(みんなの党HPより)

社民党 TPP協定交渉への参加表明に反対する(談話)
  • 本日、野田総理は会見を行ない、既定方針どおり、TPP協定交渉に参加すると表明した。TPP交渉参加をめぐっては、交渉内容の情報や相手国の要求、TPPが日本にもたらすメリットやデメリット、リスクがまったく国民に開示されていない。
    国民世論は賛否がわかれ、多くの農林漁業者、医療関係者、消費者、自治体が反対し、1100万名を超える請願署名も提出されている。
    さらに、232名の超党派の衆議院議員が、APECでのTPP交渉参加表明に反対する国会決議に賛同している。このように地域経済社会、国民生活を不安に陥れ、政治の混乱を助長するTPP交渉への参加表明に対し、強く抗議する。
  • TPPは、例外品目を認めず100%自由化を前提とし、かつ諸々の非関税項目の市場開放も含む包括的なFTAであり、アメリカの輸出倍増、アジア戦略の一環となっている。
    TPPに参加すれば、農林水産業への打撃だけでなく、医療(国民皆保険)、医薬品認可、食の安全基準(遺伝子組換え、残留農薬)、投資(外国資本の自由化)、公共調達(公共事業)、郵政、共済など24分野の市場開放により、国のかたちが大きく変わり、国民生活に多大な影響を与えるおそれがある。
    しかし、政府は、これらの不安や影響に対して、どのように対処するのか、国益をどう守るのかについて、まったく戦略をもっていないことが明らかになっている。
    先の米韓FTAでは、米国は7万人の雇用を拡大したと評価しているが、韓国は米国での関税撤廃を得ただけで、米国から安全基準や医薬品、知的財産、保険サービス、紛争解決手続きなど不利な規準を飲まされ、国内で大きな反発が起きている。
    これらの状況の十分ふまえた上で、判断すべきである。
  • 政府は、「アジアの成長を取り込む、日本にプラスになる、TPPと農林漁業との両立をはかる」と言うが、アジアの主要国の中国や韓国、インドネシアは参加しておらず、政府試算も統一性がなく、10年後にGDPが若干増えるだけでしかない。また、輸入農産物の増加により食料自給率の向上は困難となり、農林漁業再生の具体策もなく、実現は不可能である。
  • TPP交渉への参加は、米国など参加国の同意が必要で、例外品目をあげての参加は認められないものとされている。今後、日米での事前協議、参加国との交渉が想定されるが、日本の外交姿勢の現状から、対米従属が一層強まり、交渉内容などの情報も隠されるおそれが強い。TPPは、日本の市場を完全自由化するものである。政府は、米国の要望を飲んで、国民に説明するのではなく、国民のために、重要品目の関税の削減・撤廃はしないこと、公的医療制度や食品などの安全基準を守ることなど、日本の国益を守ることを約束すべきである。
    社民党は、TPPへの参加表明を断固認めない。政府が引き続きTPPへの参加を求めるのなら、国民がきちんと判断できるよう24分野の交渉内容、論点、合意点などの情報を公開し、何が日本の国益となるのか、農業への打撃や国民生活への影響にどう対処するのか明らかにすることを求める。今必要なことはTPPではなく、大震災からの復旧・復興、被災者への支援に全力をあげるとともに、近隣のASEAN+日中韓、東アジアを中心とした、相互互恵的な経済連携の促進である。(社民党HPより)
たちあがれ日本 TPPへの拙速な参加表明に反対する(声明)

資源に乏しいわが国が、貿易立国で成り立ってきたことを考えれば、多国間であれ、二国間であれ、自由貿易のルール作りに積極的に取り組まねばならないことは国家戦略として当然である。
しかしながら野田内閣は、TPPに関して必要な情報開示を怠り、国内対策への議論や国民への説明を尽くさぬまま、交渉参加への政治決断をしようとしている。同時に、与党・民主党においても、党内議論を両論併記にすることで野田首相に判断を委ねるなど、政権与党として実に無責任な対応に終始している。
TPPによる国民生活や国内産業への影響は測り知れないものであるにも関わらず、国民生活を守る視点を欠いたままの拙速な参加表明は後世に禍根を残すものであり、わが党は是認できない。(たちあがれ日本HPより)

新党改革 TPP交渉参加表明を受けて

日本としてアジア太平洋の中で重要な役割を果たすということは当然のことだ。TPPのような国際的な会議においてプレゼンスがないというのは困ったことだ。したがって、もっと早く参加表明をすべきであって、むしろ遅すぎた。ただ、国民への十分な説明や、予想される農業、その他の産業へのマイナスの影響についての手当がきちんとなされるということも必要である。そういったことへの十分な配慮がないことが反発につながったのだと思う。今後は、十分な説明と措置に取り組んでほしいと思う。(新党改革HPより)

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