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リモートよりオフィスワークを選択した企業の言い分 (2019/1/17 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 

オフィス進化論 その弐

リモートでなくオフィスにこだわる企業の思惑

テクノロジーの進化によってオフィスへ足を運ばなくとも、それを代替するに十分なコミュニケーションが可能な環境が整う昨今。その意味ではもはやオフィスは必ずしも必要ではないともいえる。だが、あえてオフィスでの仕事にこだわる企業もある。

まち

東京港区にオフィスを構えるkii(株)は、決して古い体質の企業風土というわけではない。むしろ、テクノロジーの先端を追求するIT企業であり、在宅勤務なども全面容認する時期もあった。そうしたプロセスを経ながらも、なぜオフィスへと回帰したのか。

その理由を同社鈴木尚志社長は次のように明かす。「我々は、品質面において、開発の早い段階で適宜、検証を繰り返すことで精度を高めていくプロセスを重視している。そのためには、チームが常にそばにいる環境でないと機能しない」。

隣の席の同僚とちょっとした冗談を言い合う。些細なことだが質問する。そんなやり取りから思わぬアイディアが生まれる。偶然のようにも思えるかもしれないが、実は必然――。そうした判断が、同社がリモートでなく、あえて職場で働くことを基本とした大きな理由だ。

リモートワークでも社員同士はネットで常時つながる。それは確かだ。だが、当然そこに人の気配はない。だからといって、聞きたいことがあればすぐに聞けるし、ちょっとした雑談も可能ではある。ところが、物理的にすぐそこにいないことは想像以上に“距離”を生み、雑談のスイッチの精度を微妙に狂わせてしまうようだ。そこで、それを代替する小型ロボットを開発した企業もある。

同じ空間にいることがもたらすメリット

一般的に職場では私語を慎むことが求められる。だが、こうした職場ではもちろんそんな制約はない。だからといって無秩序にはならない。むしろ、空間としてコミュニケーションをとりやすい工夫が散りばめられている。例えばコミュニケーションルームは円形が基本。それによって皆が面と向かって会話ができる。肌で触れあえる距離感を最大限に生かす工夫をとことん追求している。

オフィス

一方で、職場ゆえの作業阻害要因の排除にも配慮している。営業電話はエンジニアの執務フロアにはつながない。あくまでも目の前の作業に集中できるよう、“雑音”はシャットアウト。リモートワークのメリットを職場でも実現することで、オフィスで仕事をする価値の最大化に努めている。

オフィスでの仕事こそが革新を生み出す。その真偽はともかく、それを推奨する企業にグーグルやヤフーが名を連ねているのはなかなかの説得力だ。推奨理由は同様に「生身の接触価値」で、だからこそオフィスづくりには惜しみなく資金を投入する。誰もがうらやむような立派な設備が満載された創造性を刺激するに十分な魅力的な空間として、オフィスをつくり込んでいる。

仕事は会社でやるもの。この考えはもはや常識ではない。リモートワークの浸透を含め、明らかに変化している。同時にオフィスだからこそ、より仕事がはかどる場所であるべきという考えが強まってきている側面もある。その意味では今後、より創造性を刺激する魅力的なオフィス、あるいは場所に縛られないリモート推奨。この2極化が進んでいく可能性もあるのかもしれない。(続く)

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