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急増する“カスハラ”をスマートに解消する方法はあるのか (2018/9/27 瓦版

増加傾向の客からの迷惑行為にはどう対処すればいいのか

言いがかり、土下座強要…なんの非もないのに店員にクレームをつけるなどの迷惑行為をする質の悪い客。こうした客による悪質行為、カスタマーハラスメントが増えている。顧客至上主義に付け込むような迷惑行為は、時に従業員の心身を蝕み、職場を壊す。なんとか、防止する手段はないものなのか…。

こぶし

全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟「UAゼンセン」が行った悪質クレーム対策アンケート調査によると、業務中に客からの迷惑行為に遭遇したことがあると回答したのは全体の約73.9%。こうした行為が増えていると答えたのは全体の約49.9%だった。顧客が悪質化しているのか、問題が顕在化するケースが増えたのかはともかく、客からの迷惑行為は確実に増加傾向にあるようだ。

受けた迷惑行為で最も多かったのは、「暴言」。ついで、同じ内容のクレームの繰り返し、権威的態度、威嚇・脅迫、長時間拘束…と続く。接客業の場合、“職場”でこうした行為を受けることになり、そのダメージは計り知れない。昨今は、土下座を強要しSNSなどで拡散、殺人にまで発展するケースもあり、無策では被害を食い止められない…。

基本スタンスは、会社単位で向き合うこと。それが初動で被害を最小限にする鉄則だ。カスハラでは被害を受けるのは対応した一個人となり、モンスターカスタマーに屈しがち。だからこそ、ここは会社として認識を徹底しておくことが重要となる。対応マニュアルを練り上げるなど有事に備え、現場に周知しておくことは、最低限の策といえる。その上で強い盾となるのが、法によるガードだ。香川総合法律事務所の香川希理弁護士がアドバイスする。

「まず消費者からの不当要求にも2種類あることを知っておく必要があります。要求内容が不当なものと要求方法が不当なもの。これを混同しているケースが見受けられます。そして、そのクレームへの対応の基本は、組織的対応とクレーム対応のプロセスを意識することです。こうしたことは法律相談レベルでも解決につながるケースが少なくないので有効活用すべきです」。

内容が不当な要求は、義務のない要求や過大要求が挙げられる。方法が不当な要求は、威嚇や恐喝を伴うケースだ。法的対応を視野に入れる場合、両社では対応が異なるので、両社の違いをしっかりと認識しておけば適切な対処が可能になるだろう。それらを踏まえても早い段階で法律の専門家に相談するプロセスを経ることは、事態を最小限に抑えるためにも重要といえる。

傷口を広げかねない「無知」という名の無防備

もっとも、資金力のある大企業はともかく、中小企業にとって弁護士費用は決して安くはない。カスハラ対策はしたいが、かける予算がない…。この点については、保険を活用する手があることを念頭に置いておくといいかもしれない。

まさにカスタマーハラスメントに対応した保険としては、エール少額短期保険がある。月額1万円台から始められるお手頃価格ながら、電話相談が可能で裁判となった場合でも50%~保険金が支払われる。カスハラ事案では、電話相談レベルでも事態の悪化を食い止めるのに大きな効果があるとされ、いざという時の備えとして抑えておきたいサービスといえるだろう。

昨今は、情報流通の多様化で、顧客側も知識武装が容易になっている。結果、トラブルの質も複雑化し、無防備では取り込まれてしまうリスクが高まっている。それどころか、戦力である従業員が心身にダメージを受け、職場が“破壊”されることにもなりかねない。新しい時代の企業防衛の常識として、可能な限り防御を固める。全方位をリスクが取り囲むネット時代においては、職場を守ることに「過剰」という言葉はないのかもしれない…。

提供:瓦版

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