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働き方改革にピンと来ていない人が忘れている肝心なこと (2018/7/18 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 調査 

マクロミルが会社員1000人に意識調査

働き方改革関連法が参院本会議で成立し、いよいよ様々な施策が動き出す。では、当の職場では、働き方改革をどう捉えているのか。マクロミルが全国20~59歳の会社員1000人に現在の意識を調査。その実態をあぶりだしている。

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6割以上が働き方改革を「実感していない」

勤め先が働き方改革に取り組んでいる。そう回答したのは37%。一方、「取り組んでいない」は42%で、「分からない」は21%。実に63%が働き方改革を実感していない結果となった。これだけ叫ばれながら、実感していない派のこの数字はかなり多い印象だ。

勤め先における働き方改革の取り組み状況

マクロミル調べ

そうした中で、働き方改革の取り組み状況については、最も多かったのが有給休暇取得の推進で35.6%。以下、長時間労働の見直し(30.8%)、育児や介護の支援(25.1%)、業務効率化の推進(23.9%)と続いている。

勤め先における働き方改革の取り組み状況 上位5位

マクロミル調べ

なぜ働き方改革に鈍感なのか

この2つの結果をすり合わせてみえてくるのは各施策に対し、働く側はあえて「働き方改革」というまでもないと感じている実態だ。有給の取得推進は、昔からそれなりに言われていたし、育児や介護の支援も働く女性が増えたことや社員の高齢化が進んだ結果といえる。長時間労働の見直しや業務効率化の推進も改めて働き方改革と重ねなくても意識しているということかもしれない。

そもそも、会社員にとって業績がよく、給与が高く、安心して働ける職場なら多少の不満も我慢できる。逆にどんなに労働環境が良くても給与が低く、業績が不安定なら不安が尽きず、不満も募る。つまり、多くの働く者にとっては働き方よりも、長く安定的に働き続けられることの方が重要なのだ。だから業績への連動が不透明な働き方改革に対しては、想像以上に鈍感なのかもしれない…。

何のために働き方を改革するのかの本質を知る重要性

もっとも、法案が施行される来年度以降、時間外労働の上限規制が導入され、同一労働同一賃金などが浸透するようになれば、いやでもさまざまな変化を実感していくことになるはずだ。その時になって「なんだか変わり始めたな」と意識しても遅すぎる。働き方改革は、業務命令でなく、人口動態や産業構造の変化に合わせた必然の潮流だからだ。

政府がなぜ、働き方改革を推進するのか。その内容はともかく、目的は「働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人一人がより良い将来の展望を持てるようにする」ためだ。会社が働き方改革に取り組んでいるかどうか以上に、個々人が少子高齢化の中でビジネスパーソンとしてどんなキャリアを描いていくのか。そこが問われている。

そのことを忘れ、漫然と会社員として受動的にベストを尽くしても、かつてのような“見返り”を手にすることは、もはや困難といえる。これからの時代をできるだけ不安なく生き抜くには、そう思っておいた方が賢明だ。

提供:瓦版

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