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「『人生100年時代』女性が自分らしい人生を選べるために」HASUNA白木代表~第21回CIRCULATION LOUNGE (2017/12/12 nomad journal

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CIRCULATION LOUNGE(サーキュレーションラウンジ)は「次世代リーダーサミット~これからの社会変化の中で活躍できるビジネスマンとは~」をコンセプトに、今注目のオピニオンリーダーや経営者をゲストに迎えサーキュレーション代表の久保田と対談を行うイベントです。

人生100年時代である今、特に女性は昔に比べて、多くの選択肢から自分らしい生き方を見つけ出すことを求められています。今回のCIRCULATION LOUNGEは初めての女性限定イベント。「100年人生の自分らしい生き方・働き方をデザインする」をテーマに開催しました。

ゲストは、「自分らしく生きる」べく投資会社を辞め、自分の好きな「ジュエリー」を軸に起業し国際貢献に取り組む、株式会社HASUNA代表取締役の白木夏子様です。

第21回サーキュレーションラウンジの控え室での白木様と久保田

ゲスト:白木夏子(左)
株式会社HASUNA代表。英ロンドン大学キングスカレッジ卒業後、国連インターンを経験、2006年に帰国し、投資ファンド事業会社勤務を経て、09年4月にHASUNAを設立。著書に『自分のために生きる勇気』『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石』。日経ウーマンオブザイヤー2011受賞、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」選出。

ファシリテーター:久保田雅俊(右)
株式会社サーキュレーション代表取締役CEO。学生起業や大手人材会社でのイントレプレナーを経て「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに株式会社サーキュレーションを創業。ビジネス領域のプロ人材を活用して企業の経営課題を解決するコンサルティング事業を中心に新しい働き方の価値観を創ることを推進している。

学生時代にインドで見た無表情で鉱石を運ぶ子どもたち

【白木様登壇】第21回CIRCULATION LOUNGE白木様

久保田:
白木さんとはG1新世代リーダー・サミットでご一緒したのが縁ですね。経歴を拝見すると、イギリスの大学を出て、国連の関連機関でインターン、その後、投資ファンドで働かれていますよね。そこから、ジュエリーブランドであるHASUNAを起業されている。なかなか一筋縄ではいかないキャリアに見えます。

白木:
経歴や受賞歴を見ると「完璧主義で怖そうな人」と思われることが多いんですが、実はそんなことないんですよ。

学生時代にバックパッカーとして途上国を回っているときに、衝撃的な光景をたくさん目にしました。特に、インドで見た鉱山労働者の姿が衝撃的で。それまでインドだけではなくカンボジアやフィリピンなどいくつもの貧困層のコミュニティは見ていたのですが、そこで遊ぶ子どもたちは十中八九、笑顔でした。でも、そのインドの鉱山労働者の村の子どもたちは誰一人として笑っていなかったんです。5歳くらいの無表情の子どもたちが裸足やビーチサンダルのような履物で鉱山に入って、黙々と鉱石を運んでいるんです。そんな風に採掘された鉱石は何に使われているか、皆さんご存知ですか?…私たちの日常生活で欠かせないパソコンやスマホ、多くの家電製品に使われています。宝石は装飾品として身に纏うアクセサリーになり、ミネラルを含んだ化粧品にまでなっています。私達の華やかな生活が、こういった貧困層を土台にして成り立っているということ。全ての鉱物が私が見てきたような鉱山から来ているわけではないのですが、1%でもそのような状況があることが怖ろしいことだと思ったし、何よりも普段そのような現実を知らずに電化製品や化粧品、ジュエリーを使って過ごしているという現実が、とても怖いと感じたんです。

久保田:
実際に目にしたからこそ感じられることですね。
そこから、大学を出て投資ファンドに入社しているんですよね。

白木:
学生時代に国連の機関でインターンをしていたんですが、援助も大事だけれど、鉱山労働者、ほかにもファッションブランドの現地工場で劣悪な環境で働いている人たちは、資本主義の仕組みのなかに組み込まれているんです。それであれば、援助という形ではなくて、資本主義の枠の中で解決しないとダメだと感じました。そんなことを考えて、資本主義の中心に行こうと投資ファンドを選び入社しました。3年弱働いたのですが、入社して2年目にリーマンショックが起きて、そこから自分自身の人生を考え、転職か起業か、悩みに悩んでHASUNAを起ち上げました。

ジュエリーを作る全過程の人を笑顔にしたい

久保田:
起業時にジュエリーを選んだのは、やはり鉱山の現実を目の当たりにしていたから?

白木:
それもありますが、もともと子どもの頃から手芸や物作りが大好きだったことが大きく影響していると思います。学生時代にバックパッカーをしていた時も、現地で買ったビーズでアクセサリーを作ってネットショップで販売して、おこづかい稼ぎをしていました。

久保田:
好きだったことだし、現実を見てきたからこその選択だったんですね。

白木:
そうですね。HASUNAは、鉱山労働者も含めて、ジュエリーを作る全過程で関わる人も身に着ける人も笑顔になれるジュエリーブランドにするという想いを込めて起ち上げました。

「エシカル(ethical = 倫理的・道徳的)」なジュエリーブランドになりたかったんです。

創業当時は、そんなことを考えている人は業界に全くいなかったのですが、今では「エシカル」という言葉を冠した、エシカルファッション、エシカルジュエリーという言葉も浸透してきていて、大手企業や百貨店もエシカルを打ち出し始めていますね。そういう時代になってきたことは素直に嬉しいです。

久保田:
するとHASUNAは次のステップに進む?

白木:
業界全体にエシカルが浸透してきたのなら、わざわざHASUNAが啓蒙する必要はないと思い、HASUNAはエシカルという言葉を大きく打ち出すのを昨年からやめています。製造過程や取引は相変わらずフェアトレードやリサイクルのものをできる限り使用しているので変わりませんが、アプローチをジュエリーブランドとして変化させました。

今はまた、社会を揺るがすような新たな取り組みを考えています。社会ではLGBTなど、人と人の繋がり、パートナーシップも多様化していますよね。結婚でも、再婚や再々婚、事実婚、同性婚など、本当に様々です。HASUNAのジュエリーを結婚指輪、婚約指輪に選んでくださるカップルも本当に様々な方がいらっしゃいます。もちろん生涯独身を貫く方もいる。それなのに、ジュエリー業界は、旧来からの結婚観、つまり「男性」と「女性」が結婚する形で商品を提供することがデフォルトになってしまっている。だったら、従来の結婚に捉われず、形に拘らない本当のパートナーシップを追求するブランドを作ろうと思い立ち、2018年前半のリリースに向けて進めています。

自分がトップであることによる“限界”

【白木様登壇】第21回CIRCULATION LOUNGE 久保田

久保田:
他にもいろんな会社の経営に参画したり、若手の経営者をサポートしたりしていますね。

白木:
自分自身、起業家、経営者として修業中の身なんです。これからもずっと修行なんでしょうけど(笑)。HASUNAを起ち上げてから、デザイナー、経営、営業、経理、マーケティングなど、たくさんの役割を担ってきましたが、自分の適性がどこにあるのかようやく最近分かってきました。一年ほど前から、もしかしたら自分には起業することそのものや新規事業の立ち上げに適性があるのかもしれないと考え始め、若い起業家のサポートを始めてみたんです。

大学生で起業家を目指す人を半年間伴走する白木ゼミ(MAKERS UNIVERSITY)をやっていたり、株式会社CaSyという家事代行サービスの会社で経営に参画したりもしています。他社の事例を見ることはものすごく勉強になり、経営者としてのスキルアップにも繋がっています。

久保田:
そんなにやられていて、大変じゃないですか?

白木:
大変だと感じることはあまり無いですね。むしろ楽しい。自分がトップだと学べることが限られてしまって、経営者のキャリアの限界を感じていたんです。数年前からちゃんと経営を学びたいと思っていましたが、年齢的に考えると今からMBAはないだろうと。だったら他の会社に参画して経営を学ぼうと。それと先程の自分の強みが起業や新規事業の開拓にあるということが合致しました。

久保田:
それはすごい! でも、どんな会社でもよいわけではないですよね。

白木:
HASUNAと考えは同じで、こういう会社が増えれば社会や地球は良くなると感じられる会社だけに関わると決めています。例えば家事代行サービスの会社は女性活躍や働き方革命に一石を投じる会社です。人の意識が変わっていく、その会社があることで社会が変わっていく、社会課題が解決される。それを事業として行っている会社に絞っています。

全てに焦っていた30歳。その時に気づいたこと

【白木様登壇】第21回CIRCULATION LOUNGE 白木様2

ここからは参加していただいた方の質問に答えていただきました。

▽白木さんにとって、人生のターニングポイントになったライフイベントは?

子どもの頃は、家にこもって本を読み、手芸に没頭するような、今からは想像できないくらい内向的な子どもでした。中学まで周囲とうまくいかず、ほとんどの時間を1人で過ごしていましたね。転機は17歳のとき。将来の夢を見出せず勉強することが嫌になり、大学の受験勉強を放棄してしまった。そんな時、当時同居していた祖父が、いろんな国を旅する人で、海外で出会った人の話に感化されて留学準備をし始めました。名古屋の短大に通いながら留学の準備を進めて、イギリスの大学に行くことになったんですが、そこから世界を回って、本当にいろいろな世界を目の当たりにしました。そこから全てが変わりましたね。

今、人生100年時代だと言われていますが、そう考えると私自身、まだ1/3しか過ぎていないんですよ。だったら、またここからやり始められることもあるし、焦らなくていいんじゃないかなって思えています。そう思えてから、これからの2/3のために、もっと勉強したいという気持ちが強くなりましたね。それに気づけた今も転機だと思っています。

人生を好転させる「楽・優・強・軽」

一歩踏み出すときに大切にしていることは?

死ぬときに後悔するような生き方はしない道を選ぶということ。やっておけばよかったと後悔するくらいなら、やっておいたほうがいい。どれだけ失敗しても挑戦していきたいです。まして、人生100年だと思えば、何度でもやり直せる。

女性としては、今しかできないことにフォーカスしたいですね。特に、子どもを産んで価値観が大きく変わったと思っています。子どもを産める年齢は今の医療ではまだまだ限られていると思うので、産みたいと思えるのなら、そこは大切にしたほうが良いのではと。子どもを産んだ後からでも起業は出来るし、子育てが一段落してからでもまだまだ時間はあるんです。経営者には定年がないので、自分がやれると思っていたら、何歳までだって働けます。だったら、今しかできないことを大切にすべきだと思います。私も、今はどんなに忙しくても子どもと過ごす時間は必ず確保しています。

夢を実現するための心構えは?

「楽・優・強・軽」の四つです。

「楽」は超楽観的であること。フランスの哲学者のアランは著書「幸福論」の中で「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」と伝えています。悲観的になっていると生産性は低い。悩んでもどうにもならないことだってたくさんあります。だったら、超楽観的に意思を持って取り組みたいですよね。

「優」は、自分の心を優先することです。いろんなお仕事のお話をいただきますが、なんだかやりたくない、この人とは一緒にお仕事をしたくないなといった違和感を大切に、自分の声を優先することを意識しています。毎日寝る前の5分で、日記を書いているんですけど、この「書く」ことによって意識していない自分の心の声が見えてくる。その5分をとても大切にしています。

「強」は、強い意志を持って行動すること。私は占いが大好きなんですが(笑)、占いでどんな結果が出たとしても自分の意志で変えられると思うんです。強い意志に勝るものはない。こうと決めたらやりきる強さが大事だと思います。

最後の「軽」は、フットワークの軽さです。動けば動くほど人生は好転していくと思います。

周囲で自分らしい人生を送って、楽しんでいる人は、この4つの言葉に当てはまっている人が多いと思いませんか?

女性の生き方を見出すきっかけに。第21回CIRCULATIONLOUNGE

初めて女性限定で開催された第21回CIRCULATIONLOUNGEですが、弊社代表久保田と白木様の対談、白木様からのお話のあと、弊社で働くママ社員、パパ社員を交えてのワークショップも開催し、盛況の内に終了しました。

人生100年時代、皆様にとって自分自身の生き方を考えるきっかけになれば幸いです。

第21回サーキュレーションラウンジの控え室での白木様と久保田2

提供:nomad journal

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