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ベーシックインカムは人生100年時代の希望になり得るのか【瓦の目】 (2017/10/6 瓦版

BIは貧困問題を救えるのか

希望の党が、公約の中に「ベーシックインカム(BI)」導入を盛り込んだ。政権選択選挙といわれる中で、その対抗馬が打ち出したことのインパクトは決して小さくない。実現には莫大なコストがかかるが、一方で消費税増税凍結を掲げ、現実味はあまりなさそうだが、実現には国民的議論も必要とされており、国民の反応が気になるところだ。

電卓

BIは国民全員に最低限の生活保障のための現金を支給する構想。今回の提言では低所得者限定のようだが、BIを国民に投げかけた意義は大きい。背景には、貧困が深刻化している現状があり、その救済策としての導入のようだ。アベノミクスのお金の流れが、企業中心だったことに対し、直接的に国民に流し込むようにもみえ、ユリノミクスの立ち位置が透けてみえる。

小池代表は「AIからBIへ」と話したそうだが、働き方の観点でみれば、BIの財源問題への希望はみえなくもない。AI(人工知能)を十分に活用し、人口減少分を補って余りある収益を挙げ、その一部に“AI税”を設け、それをBIの財源へ回す。BIで最低限の収益を確保した国民は、より自分らしく働ける仕事に就き、イキイキと人生を謳歌する――。

国民へ直接お金を流すユリノミクス

学歴がないから安定した職に就けない、非正規から抜け出せない…。こうした人々が貧困化しやすい現状を考えれば、BIは、真の意味で国民総活躍を推進する可能性は秘めているかもしれない。そもそも、「生活のために働く」という暗黙の縛りを解き放つパワーは、ありそうだ。

もっとも、国民全員に無条件で現金を支給するとなれば、むしろ、経済が停滞する懸念もある。労働によって、人は生きがいを感じ、社会の一員を自覚し、ひいては生きがいを感じるからだ。仕事をせずとも暮らしていける状況になった時、そうした気力が失われ、国民総ひきこもりになる可能性は否定できない。スイスでは、所得制限付きのBI導入を問う国民投票が2016年6月に実施されているが、結果は8割近い反対で否決されている。

政権選択選挙といわれる今回の衆院選は、安倍VS小池の構図だが、ほんの少しでもBIが得票に影響するとすれば、最初の一歩としての意義はあるだろう。とはいえ、BIどころか、AIに仕事を奪われる不安に覆われ、年金も心許ない状況で人生100年時代が当たり前のようにささやかれ始めた日本。これから先、希望が持てるのかはまるで不透明だが、いまどちらを選ぶかは、AIに任せるわけにはいかない。

提供:瓦版

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