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インターネット上の情報を削除代行する違法な業者に注意 (2017/3/11 JIJICO

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インターネット上の情報を削除代行する業者に違法判決

先日、インターネット上の情報削除を請け負う業者に対して、情報削除を代行するサービスは弁護士以外に認められない業務を請け負う「非弁行為」に当たるとして、依頼者に代金の返還を命ずる判決が下されました。

インターネット上の情報削除代行に関しては以前から弁護士法で違反されている「非弁行為」にあたるのでは、という指摘がされていました。しかし、これまで明確な判断基準や判例が存在しないため、放置されてきたのが実状でした。今回の判決で、ウェブサイトの管理者に情報削除を求めることは法律事件であり、弁護士資格のない者が代行することは弁護士法違反であるという判断が示されました。

仕事

削除代行ビジネスとは

そもそも、インターネット上の情報に対する削除代行ビジネスとはどういうものなのでしょうか。インターネットの利用拡大に伴い誰もが手軽に情報発信できるようになりましたが、一方で、特定の個人や法人に対して、事実に反する、悪意のある誹謗中傷を行う事も可能となりました。こうした行為を抑止することは難しいため、ネット上に書き込まれた情報に対して削除を依頼することになります。

とはいえ、ネット上の書き込みは匿名で行われている事が多いため、専門知識のない一般個人や法人が投稿者を特定することは難しく、また、仮に投稿者を特定しても、そもそも悪意を持って投稿されていることから削除依頼に応じる可能性は低いでしょう。このような場合、ウェブサイトの管理者やプロバイダーなどに削除依頼を行う事もできますが、連絡先が不明確だったり、連絡先として表示されているメールアドレスが無効だったり、返事が返ってこない事も珍しくありません。また、海外のサーバーで運用されている場合は日本国内のルールが適用できないことに加えて、サーバー設置国の言語(英語とは限りません)での対応が必要となります。

一般の個人や法人が以上のような手続きを行うことは手間がかかり、かつ確実に削除できるとは限りません。そのため、ネット情報の削除手続きを代行する「削除代行ビジネス」が多くの事業者によって提供されるようになりました。

削除代行業者に依頼する際の注意点

削除代行ビジネスを行う業者に対しては、冒頭に申し上げた通り「非弁行為」であること以外にも問題点があります。

高額な料金を支払ったにもかかわらず、
・情報削除が一部のみ、あるいは全く削除されない
・情報削除の効果が一時的
・追加費用を請求される
等のトラブルが報告されています。

また、最近は「削除代行」という表現を行わず、情報削除の対策やコンサルティングのサービスと称し、実際に何を行っているかよくわからない業者も存在するようです。

今回報道された通り、インターネット上の情報削除を代行できるのは弁護士のみです。よって弁護士や法律事務所以外の業者には気を付けるべきです。「弁護士と提携」といった説明を行う業者もありますが、その場合は情報削除を依頼する文書等に弁護士が署名しているかどうかを確認することも重要です。また、報酬に関しても、削除代行に関して弁護士以外が報酬を受け取ることはできないため、振込口座を確認することも見分け方の一つです。

最近では自身のホームページのアクセス数を稼ぐため、サイトへのリンクではなく記事そのものをコピー&ペーストした投稿も増えており、インターネット上から完全に情報を削除することは困難になっています。こうした事実を認識した上で、削除代行への依頼を検討すべきです。

提供:JIJICO

著者プロフィール
金子 清隆/ITコンサルタント セキュリティコンサルタント

金子 清隆/ITコンサルタント セキュリティコンサルタント
デルタエッジコンサルタント株式会社
ITに造詣が深く、ITを活用した経営・業務の効率化や、会社を守るためのセキュリティ対策を、最適コストでの実現を支援します。また、防災やネット犯罪等のリスクに対応するサービスも提供します。 【経歴】 ●大学卒業後、1991年より日本総合研究所において主にオープン系システムの企画提案、開発に従事。 ●1998年よりプライスウォーターハウスコンサルタントにて、ITコンサルタントとしてITに関わる分野で総合的なコンサルティングを担当。 【業務内容】企業情報システムの企画・構築策定、システム評価、情報セキュリティ、ITを活用した業務最適化、リスク管理、ITマネジメントなど、 ●2006年より、あずさ監査法人において、内部統制報告制度(J-SOX)の施行にともなうシステム監査業務・支株式会社設立 ※社名・業務内容は在籍当時のものです。

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