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【世界の働き方事情】第3回:子育てのサポート(国と企業の制度) (2017/3/13 Business Nomad Journal

U.S.News誌は昨年「スウェーデンは子育てに最良の国」という記事を掲載しました。これは2016年の世界ベスト国ランキング調査に参加した1万6千人の回答者の答えから引き出された結果だそうです。この調査はブランド戦略企業のBAV Consultingとペンシルバニア大学との提携で行われ、「人権」、「家族の優遇度」、「性別間の平等性」、「幸福度」、「所得の平等」、「安全」、「公共教育システムの開発度」、「ヘルスケア」の8つの属性をもとに、世界でベストの国はどこかを判断しています。

この調査で、スウェーデンに続いて子育てによい国のランキングの上位に挙がったのは、デンマーク、カナダ、オランダ、オーストラリアなど。その後にも欧州諸国が続き、米国は15位。日本は17位、ロシアが38位、中国は41位。下位になるほど開発途上国の占める割合が高くなっています。

親子

子育てによい国に選ばれるわけ

この調査で上位にランク付けされた国々は、どうして子育てによい国と判断されたのでしょうか。ベストワンのスウェーデンでは、父親、母親それぞれに240日の有給育児休暇が認められており、そのうちの2か月間は父親、または母親に特化された休暇期間ですが、それ以外の休暇はパートナーに移行することもできるそうです。

デンマークでは、父親母親ともに23週間の育児休暇があり、母親には出産前の4週間の休暇も認められています。

カナダでは、国の労働法に準じた職場の従業員には、最長17週間までの産休があり、新生児や新しく養子を迎えた親には、37週間までの育児休暇も認められています。

オランダでは、母親一人一人に助産婦が派遣され、その費用の全額、あるいは一部は保険で賄われています。出産後の一週間は毎日看護婦が家に訪ねてきて、新生児の世話をしてくれるそうです。

先進国で唯一、有償の育休制度がない米国

ところで先進国の中で唯一、米国には有償の育休制度がありません。そのため多くの米国女性労働者にとって出産は高くつくものだ、とワシントンポストは報じています。

世界の有償育児休暇

(オレンジ色=有償の育児休暇がない国、青色が濃いほど休暇日数が長い。)

専門家の意見では、有償の育休制度は経済成長を促すものとのこと。これを裏付けるように、実際に欧州諸国では、母親への有償の育休は経済投資と見なされています。歴史をたどると、欧州諸国で有償の育休制度が導入されたのは、第二次世界大戦にまでさかのぼります。多くの戦死者が出た欧州では、社会のインフラが崩れ、女性を仕事に導入せざるを得なくなったことと、早急に出産率を高めなければならなかったことから有償の育児休暇が生まれ、母親たちの雇用保障が創り出された結果、経済成長が促進されたのです。

現在米国に有償の育休がないことで、米国女性労働者の多くは、仕事と家庭との選択を迫られています。Yahooのメリッサ・マイヤー氏も例外ではなく、出産後に社内の自分の部屋の隣りに育児室を作ったことも報道されました。この男女間の不平等が職場での機会の不均等につながり、女性の給与を低めている大きな原因の一つになっていると言われています。

しかし米国でもこの状況を改善しようという動きは見え始めているようです。FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が2015年秋に父親育児休暇をとると発表したニュースは、記憶に新しいところでしょう。同氏は米国内の従業員に対して、一年間のうち最大4ヶ月間の有給育児休暇を与えると発表しました。このように米国ではTwitter、Googleなどのハイテク企業が、雇用主に母性休暇を与えさせる牽引役を果たしつつあるようです。

世界では改善の動き

世界的には、妊産婦休暇を与えたり、育児休暇を増やす政府が増えて、現在少なくと世界で190カ国が母親に対して何らかのタイプの有給休暇を義務づけるようになっており、状況は改善されてきていると言えそうです。
ただ様々な調査で各国の育休制度が比較される時、休暇日数は多くても、その間に支払われる金額がロシアのように全額なのか、一部なのかでも状況は変わってきます。日本は日数的には長いとされていますが、産休前の給料の全額を支給されるわけではありません。

また日本では育児休業法で定められた育児休暇を、子供が1歳になるまで取得することができますが、この制度も産休制度と同様に、正社員や公務員には手厚く、非正規雇用者には手薄いところがありますので、各国の状況判断はそう簡単ではありません。

世界の児童手当

OECD(経済協力開発機構)が加盟国を対象に行った調査では、育児と就学前の教育にかかる国ごとの公的支出の合計が、以下の表にまとめられています。この調査結果でも上位からアイスランド、スウェーデン、デンマーク、フランス、ノルウェー、ブルガリア、フィンランドと、上位に北欧諸国が占める割合が高くなっています。日本は米国と並んで、OECD平均値14位をはるかに下回る数値となっています。

育児と就学前教育にかかる公的支出

(棒線の青色部分=保育費、灰色部分=就学前教育費)

さらに子供が成人するまでの期間に支給される手当を比べてみても、欧州諸国と比べて日本はあまり充実しているとは言えません。手当を受けられるのは、日本では15歳まで、ドイツでは18歳、フランスでは(第2子から支給で)20歳までで、子供が増えるにつれ支給額が上がります。

まとめ

上記の各調査結果からは、日本では子育てのサポートがまだまだ足りない状況が浮かび上がってきます。特に正社員や公務員には手厚い制度も、非正規雇用者には十分でない面が多くあります。少子化対策として、国が産休制度、育休制度、児童手当を中心に、手当が平等に行き渡る制度を充実させていく必要がありそうです。

それとともに、フランスのように3年間育児休暇を取った後にも職場にスムーズに戻れるような仕組みを、それぞれの企業が創り出していくことも大切でしょう。

記事制作/シャヴィット・コハヴ(Shavit Kokhav)

提供:Business Nomad Journal

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