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真の女性活躍は女性自身のエンパワーメントから (2017/3/28 岩沼市議会議員 布田えみ)

代弁者としての女性議員不足

 私の市議会議員としての活動も3期、10年目となりました。この間を振返ってみますと、私が活動を始める以前の議会構成では党籍を持つ女性議員が1名でしたので、無所属女性議員として私が初めての当選でした。

 議員活動を始める以前、子育ての傍ら町づくりや男女共同参画社会に関しての勉強を重ねるにつれ、自分が暮らす地域社会の中で女性達の声を届ける立場、代弁者として女性議員が乏しいのではないだろうか、と感じるようになっていきました。

 そして、自分がこれまでPTA活動や地域活動に参画する中で感じたこと、経験や一緒に子どもを育ててきた母親たちの目線での提案や提言を市政に届けたく願い、議員活動を志して今に至っています。

まずは女性自身が変わること

 議員活動を始める以前から、地方都市・岩沼市において必要なことの1つとして、女性自身のエンパワーメントが重要であると感じていました。男女平等が知られ、男女雇用機会均等法が施行されてはいるものの、いざ町内会活動や防災組織活動を見ると「面倒なことは男性に任せておけばよい」「男の人の稼ぎ(給与等)には適わないから」という風潮や発言をなさる女性が多くあります。

 男性も女性も性の違いはあれども人として同じ、責任も同じはずです。女性自身が先ず一歩を踏み出すための支援のサポートが私にできることの一つと受け止めて取り組んでいます。

男性も女性も共に支え合う社会に

 私はまず、県内を持ち回りで行っていた宮城県男女共同参画フォーラムを岩沼市で開催していただきました。こちらには市内外から多くの参加者があり、男性も女性も共に支え合う、という思いを共有するきっかけになりました。

 その後、行政主導での男女共同参画社会に関する研修会やワークショップが毎年開かれるようになり、そこへ参加された方の中から有志で男女共同参画研究会を結成、勉強を深めるさ中、忘れもしない東日本大震災が発災しました。

いわぬま女性防災リーダーの会

いわぬま女性防災リーダーの会

避難生活で押し付けられた役割

 着の身着のまま避難所での暮らしが始まった6年前。市域の約半分近くが浸水した大惨事でした。その中には当事者でもあり、女性で構成する婦人防火クラブの皆さんもおられました。

 避難所から仮設住宅暮らしが始まり、時を経て振り返り口々に話される避難所での生活ぶり。「女性にばかり炊事、清掃が回ってきて大変だった。身体が休まらない」「生理用品や下着が欲しくても避難所運営は男性スタッフばかりで気後れした。運営にも女性は必要」そんな声も出るようになりました。

女性の視点を防災計画に

 機が熟して、市民の皆さんと共に女性防災リーダーの会を立上げ、女性の視点からの災害に対する備え、地域の中での支援活動にも積極的に関わっていこう、という気持ちが芽生えています。

 今年は市内4つの小学校を訪問して子どもたちに向けて防災クイズを行い、女性ならではの関わりを持ちながら、防災に対する啓蒙活動を展開してきました。地域の自主防災組織もありますが、女性リーダーが参画している比率がまだまだ向上していない課題もあります。

 私が議会で以前から提案してきた「防災士資格取得に対する助成制度」が新年度予算化されることになりました。地域の女性皆さんにもぜひ活用いただき、これまで以上に積極的に自分たちが暮らす地域の安心、安全のために関わってほしい、と願うところです。

母親になることとキャリアを形成すること

 また、若い女性の活躍の場として、支援していることもあります。子育て中の母親の皆さんが自己実現、ご自身のキャリアを積んで起業につなげていきたい、という動きが昨今活発になって、例えば、結婚、出産を機に家庭に入った女性が子育て中にも学びを重ねて得意なことで経済活動を始めていこうとする、また始めている方が増えています。

 働き方、社会参加の一つのあり方だと思っています。私はそのような方々の自己実現の場を創り出し、まちなかの空きスペースをお借りしてのイベントも重ねています。「蔵っしっくアート展」として今年で4回目の開催となります。出展者は女性限定ではありませんが女性の比率が高く、各々が実行委員となり、手弁当でのイベントです。日ごろ創作された作品の提供や展示、また会得された施術のPRなど。そちらへの参加がきっかけとなり、ご自身が店舗を持った方々も出ています。

手弁当でのイベント開催

手弁当でのイベント開催

女性の「やってみたい」を形に

 保守的な地域故、女性の活躍、躍進を大上段に構えると周囲との軋轢に困難も生じるところもあります。目標のハードルが高くなってしまいがちですから、小さなことから経験を重ねていき、自信を付けて実績を上げていく、そうやって後輩女性の皆さんにも力を付けていただくこと、それを支援していくことが大事に思えています。

 自分が「やってみたい」と描いたライフプランが形になって実現していくことが女性の活躍、といえるのではないでしょうか。女性も夢を諦めず、形にしていくこと、続けていくこと、それこそが女性が活躍できる社会です。

 仕事、家庭、出産、子育て、教育、介護など女性の傍らにある諸問題。もちろん女性だけが担うことでもありませんし、男性も女性も共に担いながら社会を支え合っていくことが私たちの役目であり、次の世代に負担をかけずに、より活動しやすい地域を作っていく責任を感じています。その人がその人らしく生きられる社会を目指していきたいものですね。

布田恵美 岩沼市議会議員

著者プロフィール
布田 えみ(ふだ えみ)

宮城県岩沼市議会議員3期目。
北海道伊達市出身。大学進学と共に宮城県在住。音楽院主宰、子育て経験を生かして、安心・安全な地域の中で子ども達の笑顔が広がることを願い、母親として、女性として、市民として提案・提言を重ねている。
また、地域の観光資源を生かしての賑わい、仕事起こしなどへの支援にも力を入れている。
オフィシャルサイト www.fuda-emi.netTwitterFacebook
布田 恵美氏プロフィールページ

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