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地方創生の最先端の町に移住して、ITの力で地域おこしに挑む (2015/11/11 政治山)

 少子化と人口減が止まらず存続が危ういと指摘されている消滅可能性都市の町で(日本創成会議発表)、地方創生に取り組む「地域おこし協力隊」の土井隆さん(29歳)。元楽天ECコンサルタントで、ネットを駆使して数々の国政、地方選挙のイノベーションを推進してきた実績を持つ。その彼が2015年10月より移住してITを駆使した地域おこしに挑戦している。

「地域おこし協力隊」の土井隆さん

「地域おこし協力隊」の土井隆さん

東京から7時間の島、資源豊かな町にも人口減少の波

――地域おこし協力隊について教えてください。

「地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、都市住民など地域外の人材を地域社会の新たな担い手として受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに答えながら、地域力の維持・強化を図る活動です」

――長島町とはどんな町ですか。

「長島というと、ほとんどの友人には『どこ?』って言われます。三重県の長島スパーランドと勘違いしている人も多いようですが、今、地方創生で注目されているのが鹿児島県長島町です。

 県の最北端に位置する町で、人口11,000人の島です。本土とは黒之瀬戸大橋という大きな橋でつながっていて、飛行機で東京から約7時間かかるところにあります。基幹産業は農業と漁業で、漁業ではブリの養殖が世界一。農業では「赤土バレイショ」やみかんなどが有名です。農業、漁業の売り上げが100億円を超えていますし、風力発電もしていてエネルギー自給率も100%を超えています。それでもやはり人口減少の波が押し寄せてきています」

――長島町の地方創生の取り組みを紹介してください。

「2015年4月より『地方創生人材支援制度』第1号として、総務省から出向してきた井上貴至副町長を中心に、町を挙げて奔走しています。この制度は、地方創生に積極的に取組む市町村に対して、意欲と能力のある国家公務員や大学研究者、民間人材などを、市町村長の補佐役として派遣するものです。

 高校・大学を卒業した若者が、ふるさと長島に戻ってきた場合は、その期間の返済を町等が補てんする『ブリ奨学金』や、離島の廃校を使って高校生のための学習塾を開催するなど、さまざまな活動を展開しています」

町の人や特産品に魅了され、移住を決心

――土井さんはなぜ長島町に移住したのですか。

「大学の先生を経由して井上副町長から、インターネットで長島の特産品を販売していきたいので町の事業者に講演をしてほしいという相談がありました。実際に行ってみると、町の特産品や環境に魅了され、また、町の人がすごくやる気に満ち溢れており、役場の方、商工会や漁協、主婦の方なども熱心に新しいことに挑戦していました。

 そういう姿を見て、まだまだインターネットでできる可能性があるなと思い、アイデアを出しているうちに心を動かされ、拠点を鹿児島に移して本格的に活動をすることにしました」

――ITを使ってどのような活動をしているのですか。

「町の力を結集させて町の魅力を伝えること、仲間を集めること、長島の特産品を全国の方々に買ってもらうことを目指して仕事しています。2015年9月に漁協が日本ではじめての株式会社を設立しました。長島はブリの養殖が世界一なのですが、まだまだ知名度がありません。「鰤王(ぶりおう)」というブランドをインターネットの力をつかって、知ってもらえる場所を作ろうとしています。

 また、生産者の声を届けるメディアを準備中で、12月にスタートする予定です。プロのカメラマン、デザイナー、主婦、漁協の方など町のみんなで力を合わせて食べ物付き情報誌『長島大陸食べる通信』を制作しています。これもECサイトと連動して販売につなげていくようにしています。

 その他に、鰤を含めた長島産の商品のレシピを、町の主婦の方といっしょにレシピサイトにアップしていくプロジェクトなども始動させます」

現地に来て町を知ってほしい

――一緒に活動する仲間を募集していると聞きました。

「ビズリーチ社の『スタンバイ』を利用した移住と採用の取り組みを始めました。これまで地域おこし協力隊を募集しても、知ってもらう機会が少なかったので、インターネットを使えばもっと広く知っていただくことができると思い実行し、現在24職種を募集中です。また、採用活動を通して、町に必要な人材ってどういう人なんだろうという話もできるようになりました」

――採用プロセスについて教えてください。

「応募してもらった後に、1次選考に通過した方には長島町に来てもらい、町のことを知ってもらい、『私が長島町でやりたいこと』をプレゼンしてもらいます。その際に交通費の一部を支給します。

 これは、僕の原体験で、そこにある人や環境を知ることで、町の可能性を感じることができたからです。僕たちに会いに行ってみようという気軽な気持ちでいいので応募してほしいです。12月1日まで募集しているので長島町にぜひ一度お越しください」

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