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政治山ニュースまとめ

消費税増税まとめ(3/3ページ)


「軽減税率」導入

今回の消費税増税には、「軽減税率」の導入も併せて議論されています。これは、消費税は収入が多い人も少ない人も同じ税率が課される「逆進性」があるため。海外では、食料品や医薬品など、生活必需品は税率を抑える「軽減税率」が採用されている例が多く見られます。ここでは、「軽減税率」の話題を集めてみました。

  • 先進国最大の借金を抱える日本の将来を左右する重要法案だが、今後の焦点となりそうなのが増税に伴う低所得者対策だ。欧州では生活必需品に対する「軽減税率」が定着している。課題は多いが、わが国でもその有効性を検証する必要がある。

    政府は低所得者を対象に消費税分を還付する代わりに一定の現金を配る「簡素な給付措置」を講じるという。そして税率が10%になった以降に税額控除に給付を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入する予定だ。

    仏ではバターは軽減税率だが、マーガリンは本則税率が適用される。独ではハンバーガーの税率が持ち帰り用と店内の飲食では異なるなど、わかりにくい面もある。それでもEU(欧州連合)の税制担当者が「軽減税率のおかげで政府は必要に応じて柔軟に付加価値税の引き上げを判断できる」と語っていたのが印象的だった。

    日本では軽減税率が本格的に議論されたことはない。税率が低かったせいもあるが、どの品目を対象にするかという線引きが難しく、対象が幅広いと税収減につながるからだ。「複数の税率が混在すると、事業者の負担が重くなる」という声もある。

    ■【一筆多論】井伊重之 軽減税率の議論深めよ■MSN産経ニュース(2012年05月21日)
  • 軽減税率の対象商品の範囲の線引きは難題だ。フランスでは、マーガリンは標準税率の19.6%なのに対しバターは5.5%、キャビア19.6%に対しフォアグラやトリュフは5.5%と、酪農家など国内産業の保護措置を取っている。ドイツのように、同じハンバーガーでも、持ち帰れば軽減税率、店内で食べれば標準税率といった分かりにくさもつきまとう。

    このような問題を抱える軽減税率だけに、「制度が複雑になり、事業者の負担が大きくなる」(五十嵐文彦副財務相の7日の記者会見)との懸念は強い。また、法人税の各種優遇措置(租税特別措置)のように業界ごとの「利権の温床になる」(民主党税調幹部)とも指摘される。

    日本の財務省の試算では、消費税率を5%から10%に引き上げると13.5兆円の税収増が見込まれるが、課税品目の4分の1程度を占める食料品を5%のまま据え置くと、税収増は年間10.1兆円にとどまり、13.5兆円の増収を確保するには、標準税率を11.67%にする必要があるという。軽減税率は消費税導入時、1997年の引き上げ時にも議論になったが、低所得者対策は一定の給付措置などで済ませ、一律の税率でここまできた。ただ、その当時の大蔵省内にさえ、「標準税率が10%からさらに高くなる段階では軽減税率導入もありえる」との声があった。

    ■消費税論議、「軽減税率」が焦点に 世論調査で「8割」が導入求める■J-CASTニュース(2012年05月13日)
  • 消費税率引き上げ関連法案審議の焦点の一つは低所得者の負担を和らげる方策である。野田首相が特別委員会で、生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、「与野党間で真摯(しんし)に胸襟を開いて議論を進める」と述べた意味は大きい。軽減税率は有力な選択肢となりうる。議論を深めてもらいたい。

    法案に盛り込まれた低所得者対策では、まず消費税率を8%に引き上げる2014年4月の時点で「簡素な給付」として現金を支給する。15年10月に税率を10%とする際には、「給付つき税額控除」という制度を導入する。給付つき税額控除は、収入が少ない人の所得税を減税し、さらに低所得で所得税がかからない人には現金を支給する仕組みだ。

    生活必需品のコメや生鮮食品、活字文化を担う新聞、書籍などに対象を絞り込めば、政府が懸念する税収の大幅な落ち込みにはならないのではないか。

    ■軽減税率 低所得対策の有力な選択肢だ : 社説・コラム■YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2012年05月19日)
  • 政府与党は消費増税の逆進性対策として、一定所得以下の人には支払った税金の一部を戻したり現金を給付する「給付付き税額控除」を導入する、としている。しかし、その前提となる共通番号制はまだ生煮えであり、当面は「簡素な現金給付」で代用するという。なぜこのように、こなれの悪い新奇な方策を採用するのか、不思議である。60年代から付加価値税(消費税)を採用した欧州諸国を見れば、どの国も複数税率を採用し円滑に運用している。方策である。野田首相が特別委員会で、生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、「与野党間で真摯(しんし)に胸襟を開いて議論を進める」と述べた意味は大きい。軽減税率は有力な選択肢となりうる。議論を深めてもらいたい。

    英国では昨年、標準税率が17.5%から20%に引き上げられたが、大きな反対運動は起きなかった。食品や子ども服、新聞・雑誌などがゼロ税率で、単一税率に比べ暮らしへの脅威の度合いが低いからであろう。

    いまの政府案では給付付き税額控除は先送りされ「簡素な現金給付」という現金のばらまきになりかねないが、それでいいのか。それにいつになるか不明だが、仮に共通番号制ができてもどこまで正確に所得把握ができるかあやしい。

    政府・与党内でも税率が10%を超す段階では複数税率が不可避という見方が少なくない。「給付付き税額控除」では公平を期し難いからであろう。そうであれば、複数税率の導入は早いほうがよい。世論調査では消費増税反対が過半数だが、これにより国民の消費増税への不安解消が進むだろう。急がば回れ。消費増税法案の修正を検討すべきだ。

    ■社説:消費増税法案 複数税率の検討を■毎日jp(毎日新聞)(2012年04月25日)
  • 第1の問題は、軽減税率は政策効果が薄いという点である。食料支出を軽減税率にしても、お金持ちも食料支出をするので、みんなの税負担が引き下がり、逆進性という状況は変わらず、一方で膨大な税収を失うことになる。

    第2の問題は、軽減税率をどこまでの適用範囲とするのか、縦割りの業界と税制当局との間で議論が続き、政治的な利権が発生したり、トラブル・訴訟が生じ納税者・事業者双方に大きなコストをかけたりするということである。

    業態が多様化し、サービスとモノの提供の区分が不明確化する中で、軽減税率の範囲を合理的・具体的に定めることはますます困難になってきている。

    カナダやシンガポール、ニュージーランドなどでは、給付付き税額控除を導入して逆進性対策を行っている。これは、「消費税負担分を低所得者に還付する制度」である。カナダの例を説明すると、おおよそ3万カナダドル以下の低所得者に対して、必要最小限の消費支出にかかる消費税相当額を家計調査から計算し、それを、所得税の中で税額控除・給付するもので、GST(消費税)税額控除(Tax Credit)と呼ばれている。

    給付付き税額控除は、逆進性対策だけでなく、勤労税額控除、児童税額控除、税・社会保険料負担軽減税額控除、そして逆進性対策税額控除と4つの類型に分けられる。そこで、逆進性対策として導入する際には、欧米で活用しているような本格的な制度を視野において導入することが必要だ。

    ■消費税逆進性対策 ― なぜ軽減税率ではなく給付付き税額控除なのか■東京財団-THE TOKYO FOUNDATION(2012年05月24日)
  • 今回の消費税増税法案は、所得に応じて減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を低所得者対策の柱に据えた。財務省は軽減税率を採用しない理由に「対象品目の線引きが複雑で、特定業界の優遇になりやすい」ことを挙げる。

    各業界にとって、軽減税率が適用されるかどうかは業績に直結しかねないだけに、対象品目の選定は一筋縄ではいかない。それ以上に、増税効果が薄まることが軽減税率を避けたい政府の本音とみられる。財務省の試算では、イギリスは軽減税率を採用することで、採用しなかった場合と比べて税収が約4割減った。

    給与が伸び悩む中、多くの世帯が食費や光熱費を削って節約しており、増税に対する国民の理解を得るためにも、軽減税率の再検討は不可避だ。

    ■消費税増税法案、審議入りへ 「軽減税率」導入の是非争点■SankeiBiz(サンケイビズ)(2012年05月08日)
  • 産経新聞社とFNNの合同世論調査で、政府が提出した消費税増税関連法案に明記された平成27年度までに2段階で税率を10%に引き上げる方針について、反対が48.6%と賛成の44.7%を上回った。付付き税額控除」を低所得者対策の柱に据えた。財務省は軽減税率を採用しない理由に「対象品目の線引きが複雑で、特定業界の優遇になりやすい」ことを挙げる。

    82.0%が食料品や生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の創設を求めた。軽減税率は低所得者対策として欧州諸国の大半で採用、自民党も導入を求めている。これに対し、民主党や財務省は否定的で、低所得者に現金を渡す「簡素な給付措置」や「給付付き税額控除」の導入を主張しており、この点が修正協議の中心課題となりそうだ。

    ■【産経・FNN世論調査】消費税法案、軽減税率など野党案をどこまで飲めるかが焦点■MSN産経ニュース(2012年04月30日)
  • 複数税率を採用した場合は、消費税制度は現行と大きく変わることとなる。まず、仕入税額控除の方式が問題となる。仕入税額控除を的確に行うためには、前段階で課された税額を記載した書類が必要となる。

    EU型のインボイス方式では免税事業者の取引排除の問題がある。そのため、現行の請求書等保存方式の請求書等の記載事項に税額又は税率を追加するといった改正が考えられる。

    軽減税率の採用は、現行の消費税制度に大きな影響を与え、制度全体を複雑化させることとなる。そのため、事業者及び課税庁双方の事務負担が増大することとなる。負担軽減という観点からの諸措置を設けることも必要である。同時に執行体制の大幅な見直しが必要になろう。

    ■消費税の複数税率化を巡る諸問題(要約)■国税庁
  • 逆進性への対応策としての食料品に対する軽減税率の導入は、所得階層別の消費税の相対的な負担割合を緩和する効果は認められるものの、所得の高い層ほど軽減額も多くなるなど効率性の観点からは疑問も多く、逆進性対策として有効なものとは言い難い。

    対象となる食料品の範囲や飲食サービスとの仕切りなど具体的な仕組みの構築に多くの困難が予想されるばかりでなく、中小事業者に対する特例措置など他の制度に与える影響も大きい。

    こうした軽減税率による逆進性の緩和の効果とその導入に伴う様々な問題を勘案すれば、軽減税率の導入は経済的合理性に著しく反しており、将来的に二桁税率となっても、可能な限り単一税率を維持すべきである。

    いずれにしても、逆進性への対応策については、それぞれの施策の得失等を総合的に勘案しながら、適切な選択あるいは組合せが検討されるべきであり、少なくとも、二桁税率になれば軽減税率を導入することを所与のものとして議論、検討していくことには慎重であるべきと考える。

    ■食料品等に対する軽減税率の導入問題(要約)■国税庁
  • 英政府は英国名物のパイの一種である「パスティ」に10月から20%の付加価値税(日本の消費税に相当)を課す方針を撤回した。課税方針に国民の抗議が広がり、キャメロン政権の支持率が低下する一因となったため。付加価値税の軽減措置を巡る混乱で、対象商品の線引きの難しさが改めて浮き彫りになった。

    庶民的なファストフードであるパスティは調理後の温かい状態で店頭に並び、やがて常温になる。英国では低所得者への配慮で食料品は原則非課税、現在はパスティも付加価値税の対象外だ。

    英財務省は28日の声明で「付加価値税は高温に保って売る食品に適用する。自然に冷める食品には適用しないと結論付けた」と説明。パスティを保温して売れば付加価値税がかかるが、一般的な売り方なら引き続き課税されないことになった。

    ■英、パイへの消費課税方針を撤回 軽減措置めぐり混乱■日本経済新聞(2012年05月30日)

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