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政治山ニュースまとめ

大阪ダブル選挙“秋の陣” 知事を辞めて市長選に出る理由

橋下徹大阪府知事は辞職願を議会に提出し、大阪市長選への出馬を正式に表明しました。なぜ橋下氏は府知事を辞めてまで市長に出馬するのでしょうか?平松市長と橋下府知事はなぜ対立を?そこには、都道府県と大都市が抱える制度の課題があり、これからの自治体のあり方が問われています。(2011/10/28 政治山)

注目を集める選挙

橋下知事が市長選にくら替え出馬

知事として高い支持率を集める橋下徹氏が一転、大阪市長選に臨むということで大きな注目を集めています。 選挙へは、元兵庫県加西市長の中川暢三氏(55)、大阪府知事の橋下徹氏(42)、現職の平松邦夫市長(62)、元大阪市議の渡司考一氏(59)が名乗りをあげています(五十音順)。

※注:橋下徹氏は10/31に府知事を辞職、中川暢三氏は11/1に、渡司孝一氏は11/5に立候補断念を表明しました。(11/6)

橋下 徹

はしもと とおる
42歳
大阪府知事

平松 邦夫

ひらまつ くにお
62歳
大阪市長

そもそも、なぜ対立をしているの?

最大の理由は大阪都構想

就任当初は、「民間出身」の首長として知事と市長は協力体制をとっていました。しかし、「大阪維新の会 OSAKAあかるフォーラム」の動画にあるように、府と市の水道事業統合がうまく行かなくなった頃から歩調が合わなくなり始めます。府と市を巡る対立点は様々ありますが、今回は二人の意見が最も対立する「大阪都構想」を紹介します。

橋下知事の主張

大阪市を府へ再編

橋下知事らがかかげる都構想が実現されると、現在の大阪市(および堺市)は大阪都に再編されるため、市としてはなくなります。その際、図の通り、政令市が持つ都市計画、教育への権限、財源、および区で管理するには不適当な大型の資産は都に移行します。

区長を公選制に

また、もともと市があったエリアを10程度の区に分けて、そこには選挙で選ばれる区長を置き、より大きな予算を動かせる権限や財源、資産を与えることで、住民サービスをより厚くできる、といいます。
市と府がそれぞれ同じような事業や施設の運営をしている「二重行政」の解消をした上で、「大阪都」として成長戦略、景気対策を一手に行い、世界の都市と競争していこうというのが主張です。

平松市長の主張

地方分権に逆行

都構想に対し平松氏は、「地方分権に逆行する」ことを最大の理由として反対しています。
また、都構想に対抗して、全国の政令指定都市が提唱する「特別自治市」構想を出馬会見時に公約に盛り込むことを表明しましたが、断念しました。

都構想の検証 大阪都構想のメリット・デメリット

検証

都構想は大きな話題になっており、学者の間や新聞などでも多くの検証が行われています。また、ブログや新聞のコラムでも取り上げられており、注目度の高さが見て取れます。

  • 大阪は東京を目指すべきではない。企業が次々と本社機能を東京に移すからといってあせることもない。もうかる、もうからないだけを尺度にしてはいけない。もともと「もうかりまっか?」は「こんにちは」の大阪弁みたいなことばで、大阪はもうかるかわからないものにチャレンジしてきた土地柄なのだ。大阪は大阪であってほしいし、京都や神戸、滋賀、奈良、和歌山といった関西圏と上手に役割分担して、日本のために寄与してほしいと思う。


    出典元:楽コレ!<その96>大阪秋の陣に考える--毎日jp

対立の背景に「地方自治のあり方」

大都市の抱える問題

そもそも「都構想」を巡る問題の背景には、大都市と都道府県を巡る制度上の課題があります。
都道府県並みの人口・経済力を持つ市が、都道府県の下にあるという問題です。政令指定都市で最も人口の多い横浜市は人口約367万人、さらに大阪市266万人、名古屋市226万人と続きますが、横浜市は都道府県10位の静岡県(379万人)に匹敵するほどの人口を抱えています。 都道府県からは「都構想」が出てくる一方で、政令指定都市の側からは市の権限を大きく強化する「特別自治市」の創設が提言されています。

まとめ

今後の日本のあり方に一石を投じる選挙

橋下知事vs平松市長という構図は、二人ともテレビ出身ということもあり、対談の様子など派手な議論の場が注目されると思います。しかしその背景には、これからの自治体経営、地方自治のあり方が問われている選挙だということも、注目される理由です。

二重行政の解決やよりよい自治体経営のために、お互い真逆の解決策をぶつける今回の選挙。どちらが勝ってもすぐに構想が実現するわけではありませんが、今後の日本のあり方に一石を投じる選挙になることは間違いありません。

さらに詳しく

大阪維新の会がかかげる「都構想」の基本思想や政治指針は、上山信一教授の著作と大阪府自治制度研究会の報告が根本にあります。同研究会の「中間とりまとめ」に対して、大阪市が以下のように反論をしています。一方で、東京都が採用している「特別区」への反対意見もあります。

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