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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第23回「『オモシロキ コトモナキ行政ヲ オモシロク』」(2013/2/13 長崎県大村市議会議員 園田裕史/LM推進地議連運営委員)

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載・コラム

 政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第23回目は、大村市議会議員の園田裕史氏による「オモシロキ コトモナキ行政ヲ オモシロク」をお届けします。

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大村市議会議員・園田裕史氏 大村市議会議員・園田裕史氏

 長崎県大村市は県のほぼ中央に位置し、世界初の海上空港である長崎空港や九州横断自動車道の高速交通網を生かしながら、先端技術産業を積極的に推進している。戦国~安土桃山時代には日本最初のキリシタン大名である大村純忠を輩出し、その偉業として知られる「天正遣欧少年使節」派遣ゆかりの地でもある。

 玖島城(くしまじょう)跡を取り囲むようにして造られた大村の名所「大村公園」は、「日本のさくら名所100選」に選ばれたサクラをはじめ、西日本随一の景観を誇るハナショウブなど、さまざまな花が咲き、多くの人々に安らぎと感動を与えている。大村市ではこれらさまざまな分野において、“大村発”をキーワードに「花と歴史と技術のまち」を目指している。

「1人が始めないと何も始まらない」

 そもそも行政とは、立法により形成された公共の意思や目的に基づいて、国や公共団体の執行機関が業務を行うことだ。そして、行政を進めていくうえで“両輪”と表されるのが、「行政当局」と「議会」なのである。

 私は、2007年に議員としての活動を開始しており、現在2期目を迎えている。これまで、年4回すべての定例会において市政一般質問を行っており、さまざまな政策提案を重ねてきた。しかし、執行権を有していない議員提案については、思うように進ちょくされていないことも多い。このことは全国の地方議会や議員が感じていることではないかと考える。

 これらについて、私は大きく2つの問題が生じていると考える。まず、議員より発される政策提案の中身が薄く、論理構成が極めて乏しい内容であるということ。そして、議会での一般質問や政策提案をすることだけに終始し、政策実行までの関わりが乏しいということである。

 そこで私は、議員から発せられる政策提案を、政策実行へと結びつけるための活動を強化している。また、1人会派である私の活動指針は、論理的な政策立案や提言、行動によって、いかに行政を巻き込むか。そして、各種民間団体やNPO、市民との協働により政策実現を達成していくか──これらを重要視している。「1人では何もできない」ではなく「1人が始めないと何も始まらない」という思いから、“ぶれない”政治スタンスによる責任と覚悟で、市議会議員をやらせていただいている。住民にとって最も身近な存在である地方議員から発信されなければいけないのは、地域の声を聞き、分析を重ね、論理的で数値的な背景に裏打ちされた制度設計による政策の策定だ。このようにしっかりと準備をした政策は、必ず実行されると確信している。

「自殺対策基本方針」が策定されるまで

 以下に、定例会における政策提案から実行に至ったケースをご紹介させていただきたい。

市内外にて、自殺対策における普及啓発活動を展開中 市内外にて、自殺対策における普及啓発活動を展開中

 私は、議員になる前から現在まで精神科看護師として病院に勤務しており、心を病む患者と日々向き合ってきた。日本における自殺者数は、1998年から14年連続で年間3万人以上である。自殺を個人の問題と考えるのではなく、社会全体の問題としてとらえ、取り組んでいくことが急務である。

 2006年には、同僚とともにNPO法人を設立。家族を自殺で亡くされた遺族に対する、月例の「分かち合いの会」を実施している。議員としても活動を開始した2007年からは、自殺対策におけるさまざまな問題や対応策を、一般質問の場で繰り返し取り上げ、市に働きかけてきた。自殺の原因は、さまざまな問題が複合的に絡み合っているため、市の各部門が連携した自殺対策庁内連絡協議会の設置を進めた。今後は24時間共通ダイヤルによる相談対応を可能にするために、地域の精神科医療・福祉機関と連携し、輪番制の電話対応によるワンストップ化(=窓口一元化)を計画中だ。これは、こうした動きを「大村市オリジナル」として取り組みながら、長崎県域へと発展させていき、国策として「自殺対策全国共通ダイヤル」へつなげていく、という政策提言である。

大村市自殺対策基本方針策定は新聞でも報じられた(2012年12月21日、西日本新聞) 大村市自殺対策基本方針策定は新聞でも報じられた(2012年12月21日、西日本新聞)

 さらに、議会質問による言いっ放しに終わらず、議会終了後も担当課や関係機関との協議検討を継続的に行い、政策実行へと結びつけた。その結果として2012年12月、市は大村市独自の自殺総合対策の指針として、一連の政策提案を盛り込んだ「大村市自殺対策基本方針」を策定した。

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 一連の提案が採用されつつあるのは、現場を通して、自身の眼で、耳で、肌で吸収したことに基づいた政策であったからだと感じている。さらに、これらの政策実行を、住民に興味・関心を示していただけるよう、さまざまな媒体や方法でオモシロク発信し続けているのもポイントだろう。

 国に対し、お願いと要望を繰り返し行っていきます──。地方議会でよく耳にするこの言葉に、地方自治体や議会としての責任と覚悟は存在しない。国は「地方が悪い」と言い、地方は「国が悪い」と言う。制度やシステムを変えるだけでは、真の地方分権は実現できない。われわれ地方議員は、住民に最も近い政治家である。地方には現場があり、積極的に独自の政策を提案し発信、実行することが、国を動かす大きな“うねり”となる。

 「地方分権」「二元代表制」「議員不信」「議会不要論」「政策立案能力」「議会改革」……。これらはここ数年、地方議会や政治家を表すキーワードとなっており、2012年の総選挙における投票率低下には、政治不信による結果が顕著に示されている。「オモシロキ コトモナキ行政ヲ オモシロク」──。論理的な政策提案により、行政そして住民を巻き込んだ政策実行を、オモシロク発信していくことが重要だ、と考える。

著者プロフィール
園田裕史(そのだ ひろし):1977年2月18日 長崎県大村市生まれ。福岡看護専門学校卒業後、大村共立病院で精神科看護師として勤務。2007年、大村市議に初当選、現在2期目。第3回マニフェスト大賞では、審査委員会特別賞(箭内道彦選出)を、第6回マニフェスト大賞では、政策提言部門 優秀賞を受賞している。
HP:そのだ裕史.jp
ブログ:そのだ裕史のオモシロキ コトモナキ世ヲ オモシロク
facebook:sonodahiroshi
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