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東京都議会議員選挙2017

第41回政治山調査「築地よりも医療・福祉、テレビの露出がカギ握る―都議選2017」 (2017/6/22 政治山)

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 小池百合子氏が東京都知事に就任してから1年、築地市場の豊洲移転や東京五輪・パラリンピックの運営について連日のように各種メディアに報じられ、東京都政はかつてないほどの注目を浴びてきました。その間、小池知事は政治団体「都民ファーストの会」を設立し自ら代表に就任、最大会派である都議会自民党との対立は誰の目にも明らかなものとなりました。

 23日に告示される都議会議員選挙では、都民ファーストの会(以下、都ファ)と都議会自民党(以下、自民)のどちらに支持が集まるのか、知事との距離を縮める公明党や4年前に躍進した共産党、民主党から党名の変わった民進党なども候補者を擁立し、首都・東京の戦いに臨みます。政治山では6月9日から13日にかけて、都内在住の18歳以上の男女を対象にインターネット意識調査を実施し2,105人から回答を得ました。今回はその概要をお届けします。

普段の支持政党は「自民党」、都議選では「都民ファースト」

 はじめに、現在の支持政党について尋ねると、「自民」16.2%がもっとも多く、次いで「都ファ」8.1%、それに「共産」3.8%、「公明」3.4%と続きました(グラフ1)。2009年(前々回)の選挙では第一党となった民主党の流れをくむ「民進」は3.3%、大阪では抜群の知名度を誇る「維新」は2.1%でした。

 続いて投票予定先の候補者の所属政党(以下、投票先政党)を聞くと、「都ファ」13.3%が最多で普段の支持よりも5.2ポイント増加、次に多い「自民」11.3%は普段の支持よりも4.9ポイント減少しました。上位2政党以外は2ケタを割って、「共産」4.7%(0.9ポイント増)、「公明」3.1%(0.3ポイント減)、「民進」1.9%(1.4ポイント減)、「維新」1.9%(0.2ポイント減)と続きました。

第41回調査グラフ1[画像を見る]

 投票先政党を性別ごとで見ると女性の支持率は「都ファ」11.9%の方が「自民」8.8%よりも高く、年代別に見ると10代から20代は「自民」、30代以降は「都ファ」が優勢との結果が得られました。

●詳細は会員ページからご覧いただけます(会員ログインページ)

 「都ファ」と「自民」を軸に選挙戦が展開される見通しですが、自民の支持には国政の動きも大きく影響しそうです。なお、およそ4割の人が投票先を決めておらず、2割の人が投票しないと回答しています。

「築地」よりも医療・福祉と少子・高齢化

 次に、投票先を決める際のポイント(重視する政策)を3つまで選んでもらったところ、「医療・福祉の改善」36.3%と「少子・高齢化」35.7%が突出して高く、「震災対策」25.4%、「待機児童の解消」17.7%と続きました(グラフ2)。報道量の多い築地市場については、「移転推進」14.6%と「移転中止」10.6%をあわせて25.2%が重視すると回答しました。同じく報道量の多い「受動喫煙防止の推進」は13.2%にとどまりました。

第41回調査グラフ2[画像を見る]

 この回答のうち、男性の関心が女性の2倍以上高かったのは「道路・交通問題」と「お台場カジノ推進」、逆に女性の方が高かったのは「女性活躍」でおよそ4倍でした。また年代別で見ると10代は「教育」31.1%、20代と30代は「働き方改革の推進」(それぞれ21.0%、19.6%)、40代は「道路・交通問題」14.8%、50代は「環境問題」16.9%、60代以上は「お台場カジノ反対」22.5%への関心が、他の年代よりもやや高い傾向がうかがえました。

 さらに投票先政党ごとに見てみると、「都ファ」支持層は「少子・高齢化」41.6%と「待機児童の解消」25.3%、「築地市場移転中止」15.3%への関心が他党支持層よりも高く、「自民党」支持層は「震災対策」30.3%、「築地市場移転推進」27.7%への関心が高いという結果が得られました(表1)。

 また、「共産」支持層は「築地市場移転反対」26.5%(全体平均よりも15.9ポイント高い)、「公明」支持層は「医療・福祉の改善」48.5%(同じく12.2ポイント)、「民進」支持層は「受動喫煙防止の推進」24.4%(同じく11.2ポイント)、「維新」支持層は「教育」33.3%(同じく17.7ポイント)に関心が高い傾向も見られました。

第41回調査表1[画像を見る]

テレビが圧倒的、ネットはニュースメディアが最多で新聞に迫る

 続いて、前問の重視するポイントを確認する際、利用頻度の高いメディアを3つまで選択してもらったところ、「テレビ」52.0%が最多となり、「新聞(紙)」29.0%とは大きく差が開く結果となりました(グラフ3)。本調査ではインターネット上の情報を細分化して尋ねており、もっとも利用されるのは「ニュースメディア」26.7%で、「候補者や政党のホームページやブログ」21.3%、「選挙情報メディア」19.6%、「候補者や政党のSNS」11.8%と続きました。

第41回調査グラフ3[画像を見る]

 これを年代別に見ると、10代と20代はSNS、60代以上はテレビと新聞(紙)の利用頻度が高いことが分かるとともに、20代と30代の新聞(紙)離れが顕著に見られました(表2)。

 さらに投票先政党ごとでは「都ファ」支持層は「インターネットの選挙情報メディア」26.0%、「自民」支持層は「候補者や政党のSNS」17.2%の利用頻度が平均値よりもやや高いこと、「維新」支持層は「新聞(紙)」5.1%が極端に低く、「候補者や政党のSNS」35.9%が極端に高いといった傾向も見られました。

第41回調査表2[画像を見る]

ニュースサイトと選挙情報サイトが、党や候補者本人を上回る

 最後に、2013年のいわゆるネット選挙解禁以降、選挙に関わる情報はインターネット上に溢れ評価も分かれていますが、投票先を決めるにあたって、ネット上のどの情報をどの程度参考にするかを尋ねた結果を紹介します(グラフ4)。

第41回調査グラフ4[画像を見る]

 「大いに参考にする」と「ある程度は参考にする」と答えた人がもっとも多かったのは、「ニュースサイト」59.4%で唯一過半数を超え、「選挙情報サイト」45.2%、「候補者本人のホームページやブログ」36.3%、「政党のホームページ」32.6%と続きました。

 政党や候補者本人が発信するよりも客観的なメディアを介した情報の方が参考にされるのはネットに限ったことではありませんが、より戦略的な情報発信が必要とされています。

 また、メディア全体の傾向としては、新聞(紙)の読者が減り、ネット情報の信用度がそれほど高くないことから、テレビの影響力が絶大である状況はしばらく続きそうです。

 7月2日の投票に向けて、どのような基準で候補者を選ぶのか。築地市場や五輪・パラリンピックだけでなく、都政には課題が山積しています。また、相次ぐ議員の不祥事に見られるように、「人」としても都政を託すに足る人物かを見定めなければなりません。しっかりと候補者を見て、その主張を聞いて、一票を投じましょう。

本調査レポートについて

今回は調査の概要をご紹介しましたが、調査結果の詳細には上記以外のクロス集計結果や小池知事、自民党、民進党に対する印象など、自由記述の回答も記載しています。政治山の会員ページから無料でご覧いただけますので、ぜひご利用ください。

<調査概要>

調査対象者 都内在住の18歳以上の男女
回答者数 2,105人
調査期間 2017年6月9日(金)~6月13日(火)
主な質問
【全体集計結果】
対象の属性(性別・年代・地域・職業・未既婚・子供の有無)
Q1 小池百合子氏が都知事に就任してから約1年となりますが、あなたの評価を教えてください。
Q2 あなたの現在の支持政党はどこですか? また、都議選で投票する予定の候補者の政党はどこですか?
Q3 あなたが考える今回の東京都議会議員選挙のポイント(投票先を決める際に重要視する政策)を3つ選んでください。
医療・福祉の改善/少子・高齢化問題/震災対策/待機児童の解消/教育問題/雇用問題改善/築地市場移転推進/働き方改革の推進/受動喫煙防止の推進/環境問題/築地市場移転中止/お台場カジノ反対/道路・交通問題/生活保護問題/女性活躍の推進/お台場カジノ推進/ごみ処理問題/その他
Q4 Q3で選んだ重視するポイントを確認するために、利用頻度の高いメディアを3つ選んでください。
テレビ/新聞(紙)/インターネットのニュースメディア/候補者や政党のホームページやブログ/インターネットの選挙情報メディア/ポスターやチラシ/候補者や政党のSNS/候補者や政党以外のホームページやブログ/インターネットの掲示板/候補者や政党のメールマガジン/ラジオ/候補者や政党以外のSNS/インターネットの動画配信サービス/雑誌/書籍/候補者や政党以外のメールマガジン/その他
Q5 2013年の参院選以降、ブログやSNSを使った選挙活動(=ネット選挙活動)が解禁されていますが、あなたは選挙や候補者の情報を得たり、投票先を決めるにあたって、ネット上のどの情報をどの程度、参考にしますか?
個人(ブロガーや一般人)のホームページやブログ/個人(ブロガーや一般人)のSNS投稿/候補者本人のホームページやブログ/候補者本人のSNS投稿/政治評論家や有識者のホームページやブログ/政治評論家や有識者のSNS投稿/政党のホームページ/政党のSNS投稿/ニュースサイト/政治・選挙情報サイト/政党や候補者が発行するメルマガ/政党や候補者の動画コンテンツ/
【クロス分析結果】
「性別」「年代」と、Q1~Q5との関連性
調査手法 インターネット調査(政治山リサーチ)
調査実施機関 株式会社VOTE FOR

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<著者> 市ノ澤 充
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。2017年3月株式会社VOTE FOR設立にあたり代表取締役に就任。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営と、インターネット投票の研究と啓蒙啓発を行う。
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