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【衆議院議員選挙2014】

第23回政治山調査「若者のネット活用じわり、新聞報道や政見放送しのぐ」 (2014/12/18 政治山)

関連ワード : 衆院選 衆院選2014 調査 

 自民・公明の圧勝、共産の躍進という結果をもたらした第47回衆議院議員選挙ですが、投票率は前回に続いて戦後最低記録を更新し、52.66%となりました。一部では昨年のネット選挙解禁が投票率向上に貢献していないのではないかとの指摘がなされていますが、有権者は実際にどのような情報に触れて投票先を決めたのでしょうか。

 政治山では、今回の衆院選に関して「政党または候補者を選ぶ際、何を参考にしますか?特に重視する(した)ものを3つまでお選びください」というアンケートを実施しました。調査は12月8~14日、インターネット調査=政治山リサーチを用いて行い、876人の有権者から回答を得ました。

投票先の決め手は「政策集・選挙公報・テレビ報道」

(表1)政党または候補者を選ぶ際、何を参考にしますか? 本調査では、比例区の投票先である政党と、選挙区の投票先である候補者、それぞれを選ぶ際に重視する(した)ものを3つまで選択してもらいました。

 結果、比例区では「マニフェストまたは公約集」(37.1%)、「テレビ報道(党首討論など)」(24.3%)、「選挙公報」(22.4%)の3つが上位を占め、「新聞報道」(16.6%)、「インターネットのニュースサイト」(9.5%)と続きました(表1)

 一方、選挙区では「マニフェストまたは公約集」(32.9%)、「選挙公報」(23.2%)「テレビ報道」(18.7%)と上位3項目は比例区と変わりませんでしたが、選挙区では比例区より「テレビ報道」が5.6ポイント低く、順位に変動が見られました。その後には「新聞報道」(14.8%)、「インターネットのニュースサイト」(8.6%)と続き、同じ項目が上位を占めました。

新聞広告には税金が100億円以上、効果のほどは?

 同様の設問に対して回答数の少なかった項目、すなわち投票先を決める際に重視されなかったのは、比例区・選挙区ともに「推薦はがき」(比例区0.1%・選挙区0.3%)、「選挙事務所や支持者からの電話」(比例区0.3%・選挙区0.5%)、「電子メール」(比例区0.8%・選挙区0.7%)の3項目でした。

 衆院選では新聞広告の費用の一定額が税金で賄われます(参考:衆院総選挙の費用は600億円!!その内訳は?)が、新聞広告を重視したのは比例区で1.9%、選挙区で2.1%とそれぞれ5番目と6番目の低さでした。

ネットの情報を重視、男性は女性の2倍

(グラフ1)政党または候補者を選ぶ際、何を参考にしますか?(男女別) 比例区の調査結果を性別ごとに見てみると、インターネットでは「ニュースサイト」(男性11.1%・女性6.5%)、「選挙情報サイト」(男性7.6%%・女性3.9%)、「動画サイト」(男性3.2%・女性1.0%)と大きな差異があることが分かりました(グラフ1)

 また、「ポスター」(男性4.9%、女性6.8%)と「政見放送」(男性6.5%、女性7.5%)では女性がやや多く、「新聞報道」では男性20.6%、女性9.1%と2倍以上の差が見られました。

20代~30代、顕著なテレビ・新聞離れと幅広いネット活用

(グラフ2)政党または候補者を選ぶ際、何を参考にしますか?(年代別)
 続いて年代ごとで見てみると、概ね年代の上昇ととともにテレビと新聞を重視する率が高くなる傾向がうかがえます(グラフ2)

 特に「新聞報道」では20代9.2%、30代6.2%に対して50代25.8%、60歳以上42.2%と著しく上がり、「テレビ報道(党首討論など)」と「政見放送(テレビ・ラジオ)」においても20代~30代の回答は50代以上の半数程度にとどまりました。

 20代の回答は既存のメディアからインターネットメディアまで幅広く分布しており、昨年のネット選挙解禁によって利用可能となったツールの活用が最も進んでいることが分かります。

 ここでは「インターネットのニュースサイト」(10.1%)は「新聞報道」(9.2%)を、「インターネットの動画サイト」(5.5%)は「政見放送」(3.7%)をそれぞれ上回っています。また、「インターネットのニュースサイト」と「選挙情報サイト」の合計は18.4%で、「テレビ報道(党首討論など)」の18.3%とほぼ並んでいます。

 昨年の参院選では、20代の投票率は最も低かったものの、その前の参院選と比較して下げ幅が最も少なかったという側面も見られました。政党や候補者がネットを活用できるかどうかとは関係なく、過剰な制限さえなければ有権者は一定のルールのもとでネットを活用していくのではないでしょうか。

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