第13回政治山調査「TPP(環太平洋経済連携協定)に関する意識調査」(1/2)  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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TPP参加へ一定の理解、食の安全は不安視

第13回政治山調査「TPP(環太平洋経済連携協定)に関する意識調査」(1/2) (2013/11/18 政治山)

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 2010年3月に開始された環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関する交渉だが、年内の交渉妥結に向けていよいよ大詰めを迎えている。当初はP4協定(環太平洋戦略的経済連携協定)参加の4カ国(シンガポール、ニュージーランド、チリ及びブルネイ)に加えて、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始されたが、その後2012年10月にメキシコとカナダが、2013年7月には日本が交渉に参加し、現在は12カ国による会合が行われている。

 TPPへの参加は私たちの暮らしにどのような影響を与えるのか。政治山では11月8日から9日にかけて、ネット意識調査「政治山リサーチ」を利用し、全国の20歳以上の男女を対象に、TPPに関する意識調査を実施した。回答者は1,110人。

[結果分析]2ページ目
[調査概要]意識調査の方法や回答者属性

 その結果、TPPのルール作りへの参加ならびにTPP自体への参加については一定の理解を得られているが、国会での議論や国民への説明については8割以上が不十分であると感じており、国民的な合意形成には至っていない実態が明らかとなった。また、輸出の増大やGDP(国内総生産)の増加、物価が下がることへの期待感は大きいものの、1次産業をはじめとした国内産業へのダメージに対する不安は払しょくされておらず、特に食の安全についてはホテルやデパートで相次ぐ食品の『偽装表示』発覚の余波を受けてか、ネガティブな関心を示す割合が際立つ結果となった。

 なお政治山では、日本、カナダ、メキシコが交渉参加に向けた協議開始の意向を表明した2011年11月に『TPPへの日本参加の是非について』調査を実施しており、共通する設問については調査結果の比較を試みている(前回のTPPに関する調査の詳細はこちら)。

民主の支持率がやや改善、無党派層は微増

グラフ1 調査ではまず、現在の支持政党について聞いた(グラフ1)。自由民主党の22.4%が最も高く、日本維新の会5.6%、民主党5.5%、日本共産党5.0%、みんなの党4.8%と続いた。「与党とその他野党」という構図は変わらないが、52.2%は支持政党なしと回答しており、半数以上が支持政党を有していない。

 7月の参議院選挙直後に実施した前々回調査「第11回政治山調査」、9月に実施した前回調査「第12回政治山調査」と比べると、自民党の支持率は減少傾向にあり(前々回30.2%→前回23.3%→今回22.4%)、参院選で大幅に議席を減らした民主党の支持率は底を打ったとでもいうべきか、やや改善が見られた(前々回3.0%→前回2.3%→今回5.5%)。「支持政党なし」については引き続き、わずかながら増加傾向にある(前々回37.3%→前回51.3%→今回52.2%)ことから、政党への関心が全体的に低下していることがうかがえる。

グラフ2 また、内閣支持率については「支持する」が36.4%、「支持しない」が29.4%となり、前回調査(それぞれ34.3%、34.8%)よりもやや改善が見られた(グラフ2)

経済成長に必要なのは「エネルギー政策」と「年金制度改革」

グラフ3 次に、東京オリンピックが開催される予定の2020年に向けて、日本の経済成長のために重要だと思う政策課題を3つまで選んでもらった(グラフ3)。その結果「エネルギー政策」との回答が27.3%と最も多く、次いで「年金制度改革」22.1%、「税制改正」15.9%、「公務員制度改革」15.0%と続いた。

 ここでは「TPPへの参加」は10.4%にとどまったが、TPPと関連して論じられることが多い政策課題には、「農業政策」11.3%、「医療制度改革」10.1%、「雇用制度改革・外国人労働者受け入れ」8.6%と一定の関心がみられた。

TPP(交渉)への参加に「賛成・評価する」が「反対・評価しない」を大きく上回る

グラフ4 TPPに日本が参加することをどう思うかという問いには、ルール作りの交渉への参加については「賛成・評価する」が59.8%、TPPに参加することについては「賛成・評価する」が46.2%となり、「反対・評価しない」の14.5%、21.1%をそれぞれ大きく上回った(グラフ4)

 2年前の調査ではTPPへの参加について、「参加すべき」が22.0%、「検討を続けるべき」が24.2%、「参加に反対」が16.8%、「分からない」が37.0%であったが、すでに交渉に参加している現状を踏まえ「検討を続けるべき」と答えた人の多くが「賛成・評価する」という考えに至ったとみることができる。

国会の議論も国民への説明も、8割以上が「不十分」

グラフ5 また、ルール作りの交渉への参加とTPPへの参加については、それぞれ25.7%、32.7%が「分からない」と答えているが、実際TPPに関する議論や情報量についてどう思うかを次の問いで尋ねている(グラフ5)

 まず国会の議論について、82.4%が「不足している」または「どちらかといえば不足している」と回答したのに対し、「足りている」または「どちらかといえば足りている」と答えたのは17.5%。さらに政府による国民への説明となると、実に87.5%が「不足している」または「どちらかといえば不足している」と回答し、「足りている」または「どちらかといえば足りている」と答えたのはわずか12.5%となった。

 メディアの取り上げ方については、24.8%が「足りている」または「どちらかといえば足りている」と答え、75.3%が「不足している」または「どちらかといえば不足している」と回答。国会の議論や政府の国民への説明よりは評価されているものの、多くの人が議論と情報の不足を感じているのは間違いなさそうだ。

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 ここまでは、現在の支持政党と優先すべき政策課題、TPP(交渉)への参加と議論、情報提供のあり方について調査結果をまとめてきたが、次ページではTPPへの参加によって私たちの仕事や暮らしがどのように変わるのか、またネット投票への考え方などをリサーチした結果をご紹介する。

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