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選挙情報取得にネットは不可欠、ネット選挙に大きな期待

第8回政治山調査「ネット選挙とSNSに関する意識調査」(4/4) (2013/3/15政治山)

関連ワード : SNS ネット選挙 調査 

これまでの調査で、有権者がネット選挙にどのような意識を持っているかが明らかになったてきた。では、ネット選挙が実現し、候補者や選挙に関するさまざまな情報に触れる機会が増えることで、有権者の参政意識はどのうに変化するのだろうか? 特に、参政意識が低いと言われる若年層の参政意識は変わるのか? この問いにはさまざまな意見が寄せられた。

ネット選挙解禁は若年層で効果

グラフ10 最後のQ10で聞いたのは「ネット選挙が解禁された場合、あなたの参政意識(政治への関心や投票意欲)は、どのように変化すると思いますか?」(択一式)。この結果を集計したのがグラフ10である。ここでは、その理由も自由回答で記載していただいた。

 まず、グラフ10だが、52.0%が「変わらない」とする一方、45.0%が「向上する」と回答している。ここの設問では「ネット選挙」を「インターネットを利用した選挙運動」と定義したため、「ネット投票」などを想定した回答は少ないはずだ。こうして考えると、45.0%の有権者が「向上する」と回答している意味は大きい。

 またこれらの回答を年代別に集計したのがグラフ10Aである。20代、30代で「参政意識が向上する」という回答が5割を超えた(20代:54.7%、30代:50.0%)。40代、50代は平均(45.0%)を下回ったものの4割を超える人が「参政意識が向上する」と答えている。このことから、現状で投票率が低いとされている若年層でネット選挙解禁の影響が大きいことが分かった。

45%がネット選挙で参政意識が向上

 では、それぞれを選択した理由を紹介していこう。まず「参政意識が向上する」と答えた方々の意見だ。多かったのが「選挙が身近になりそう」や「若者の政治への関心が高まる」といった、これまで政治にあまり興味がなった層への浸透を期待する回答だった。また、「候補者について自分自身で調べる機会が増え、選挙に関する意識は上がる」「テレビと違いインターネットは、情報を自ら取捨選択する必要があるので必然的に意識が高まる」といった意見は、情報を積極的に取得し、政治に参加していこうという姿勢が見て取れる。

 さらに、「マスコミなどの第3者経由でなく、候補者本人から直接、正確な情報を得ることができるから」といった、候補者が有権者に直接語りかけられるインターネットならではの有効性を挙げる意見も少なくなかった。

 また、「候補者の考え方をより正確に理解できる」や「候補者1人ひとりの政策も理解しやすい」「無所属議員の主張に触れる機会が増える」といった、まさにネット選挙導入の狙いの1つでもある効果を期待する声も聞かれた。

 一方、「参政意識は変わらない」と思うと回答した人で多かったのが「今も高い参政意識を持っていた」「今までもインターネットから情報を得ていた」という、“従来の通り”を理由に挙げる意見だ。同種の回答は、各年代で多く見られている。また、「情報の入手方法が増えるだけ」「参政意識が低いのは情報の過多が問題ではない」といった、ネット選挙の影響は少ないと見る意見も少なくなかった。

 最後に、少数(3.0%)ながらも「参政意識が低下する」とした意見をご紹介しよう。「インターネットの情報は信用できないので、参加したくなくなる」「迷惑メールなどでうんざりさせられると思うから」など、ネット選挙の弊害を懸念し、むしろ敬遠してしまうという回答が散見された。

 以下に、「向上すると思う」と「変わらないと思う」の意見を抜粋してご紹介する。

【参政意識が向上する】と思う理由<抜粋>
・手軽に調べられて、いろいろ興味が持てると思う(20代)
・テレビのニュースよりネットの方が見る機会が多いから(30代)
・ネットの時代だから見る人、関心がある人が増えると思う(20代)
・新聞もテレビもあまり見ないので、パソコンで見られると情報に触れる機会が増える(30代)
・テレビや新聞をほぼ目にしていない生活なので情報源が増えるから(30代)
・候補者の細かな政策や情報が把握できるようになるし、記録として残せば次回の選挙の資料になる(50代)
・候補者情報に接する機会が増えるから(60歳以上)
・候補者の考えていることを知りやすくなるから(40代)
・候補者への疑問を直接ぶつけることができそうだから(40代)
・候補者の政策や実績が分からなかったが、ネットが解禁されれば解消する可能性が高そうだから(20代)
・マスコミを経由しない情報が増えるから(40代)
・インターネットが身近になった分、政治もネットで情報が得られたら関心は自然にわくと思う(30代)
・必要な時に情報が入り、比較検討が容易にできる(50代)
・投票までの事前情報が豊富になり、判断材料が得やすくなるから(20代)
【参政意識は変わらない】と思う理由<抜粋> 
・表現や方法が派手になるだけで、政策の趣旨は変わらないと思う(60歳以上)
・どれだけ新しい方法を導入しても、有権者に政治に関わる意識が芽生えない限り意味がないと思う(20代)
・これまで意欲が低かった理由は情報提供手段の少なさではないから(60歳以上)
・インターネットはただの手段で、投票意欲と関係ないと思う(20代)
・紙媒体であろうとネット情報であろうと内容を判断することに変わりはないので(60歳以上)
・インターネットの情報より新聞情報を重視するから(60歳以上)
・政治のことを目にする機会は増えても、ネットは信憑性に欠けるから(30代)
・ネット情報をあまり信用しないから(60歳以上)
・ネット投票を解禁しない限り、参政意識の向上にはつながらないと思う(20代)
・興味のある人はもともとインターネット以外からでも情報を得ているから(50代)
・もともと選挙に関心があるため(60歳以上)
・ネットを利用しない人も多いと思うから(40代)
・政治家の質が変わらない限り有権者の意識は変化しない(50代)
・参政意識は方法によって変わるものではないと思う(60歳以上)
・情報源がインターネットになっただけで、選挙自体が変わるわけではないので(30代)
・今でも情報収集はネットがメインだから(20代)
・そもそも関心のある人が活用するだろうから、関心の低い層には変化がない(40代)

◇       ◇       ◇

 今回の調査を通じて、ネット選挙解禁に大きな期待とともに一抹の不安を感じているのは、政治家やその関係者だけでなく、その内容は違えども、有権者も同じ思いであることが分かった。それが選挙活動にどのような影響を与えるかを予測するには、もう少し時間がかかるのかもしれない。これまでの選挙戦を大きく可能性をネット選挙は、7月の参議院議員選挙で解禁される見通しだ。

(政治山:二木頼之)

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