ネットフォーラム「若者が考える 日本の未来予想図」論点6  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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ネットフォーラム「若者が考える 日本の未来予想図」論点6

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「ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州」が主催し、NPO法人ドットジェイピー福岡支部が共催した「参院選企画 ネットフォーラム『若者が考える 日本の未来予想図』」は、「Facebook」を使って、学生や社会人が参院選に関するさまざまテーマについて議論する企画です。現在も、LMネット九州代表の神吉信之氏をオブザーバーに、Facebook上で学生たちが活発な議論を戦わせています。このページでは「あなたはアベノミクスをどう見ますか?」をテーマに行われた議論を再現します。

論点6あなたはアベノミクスをどう見ますか?


学生1
デフレ対策におけるアナウンスメント効果により、円高修正(円安誘導)・株価上昇と、ここまでは達成していると言えますね。ここから先が成功のシナリオと失敗のシナリオに分かれます。

【成功のシナリオ】
→輸出企業の利益増加→雇用拡大・所得増加→消費拡大・インフレ期待の高まり→物価上昇(インフレ率2%)→内需産業の利益増加→景気回復

【失敗のシナリオ】
→補正予算のために大量の国債を発行→消費税増税による景気減速・税収減→財政規律の悪化による国債・円の信頼低下→国債価格の下落・過度の円安→経済再生失敗・食料品・資源価格の上昇→スタグフレーション

さて、あなたの評価は?

私は楽観的な見通しを持っています。ただし、ここで挙げた「成功のシナリオ」については少し違った見通しを持っています。私は単に、円安→輸出企業の利益増加だけで日本経済を浮揚させられるとは私は考えていません。なぜならそれは、小泉政権下で試みられ、結果的に日本経済を浮揚させられなかったからです。

一部の大企業は儲かったけれども、その恩恵は大多数の一般庶民にもたらされなかった。大事なのは公共投資による内需拡大・雇用拡大で、これもアベノミクスの重要な柱のはずです。金融政策と同時に財政出動もしてデフレ克服のためにできることを総動員するというのがアベノミクスの本質だと思います。

日本経済は財政の継続的出動がないと本当の意味で国民生活は向上していかない。小泉政権と同じ帰結となってしまうだろうというのが私の見解です。

  • 民主党政権との違いがここにもありますね。補正予算の10.3兆円の約半分が公共事業にあてられ、「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域の活性化」の3分野に重点的にお金をかけていく予定です。でも専門家の一部は、カンフル剤にしかならず、大切なのは成長戦略で、どの分野に特化していくのか、そこが見えない、との指摘もあります。

  • 神吉

  • 学生2
  • アベノミクスのもとで現在、投機マネーに日本経済が振り回されるだけという様相を呈しているように思えます。なにより1,000円前後の株価の変動は正常とはいえません。短期的な株価の乱高下は企業活動を反映した値動きではないからです。

    またアベノミクスは三本の矢と言いますが、その実態は金融緩和で投機を煽り、機能的財政出動で大型開発を煽って、残るのは借金だけという状況をつくり、そして「成長戦略」の名のもとに「限定正社員」などの形をつくり、路頭に放り出されても保障のない状況下で、新たな不安定雇用をつくりり出す。そのうえ、消費増税に社会保障削減と、最初の三本にこれらを加えた五本の毒矢というべきものです。

    内需産業の利益増加はまず、再分配政策からです。最低賃金を引き上げ、中小企業支援を行い、社会保障を拡充し、応能負担を各層に求めていくことこそ、景気回復と成長の王道です。ただ、よく法人税を上げると金持ちや大企業に逃げられると言いますが、企業に対する調査によると外国に企業が進出する動機は大半が新たな市場を求めてのことです。

    たしかに、これまで多国籍企業に進出してもらおうと各国便宜を競ってきた面もあります。しかし、最近ではG8などで「底辺への競争」を見直す動きが始まっています。それに日本のGDPの中で輸出が占める割合は僅か1割です。にも関わらず、もはや日本企業と名乗る資格を喪失したというほかない多国籍輸出大企業に、国民国家のリソースを吸い上げられ衰亡する未来など御免被ります。

  • 学生3
  • 僕はかなり円高の時、それが生活に影響を与えていると感じていませんでした。しかし、ニュースや新聞を見れば、円高で企業が大変だ!という文字ばかりが飛び込んできて、やはり円高は是正せねばならないのか、と思ったものでした。

    では、是正のためにどうすべきか。僕は、そんなに円高が大変なら、お札をすればいいという考えを持っていました。しかし、日銀は刷ろうとしないので、なんで日銀は早くお札を刷らないんだ!?と少し腹立たしい思いをしていました。そして今、ついに黒田総裁による量的緩和が行われ、円安へ向っていっています。

    でも、ふと思いました。量的緩和以前、新聞やニュースでよく目にした、企業の海外進出。円安になったから、国内の輸出会社は儲けやすくなる。しかし、多くの海外進出企業にはあまり関係ない話ですよね。また、僕は工学部なので、製造業について気にかかっています。円安になって輸入原油は高くなっています。円安が進みすぎると、逆にマイナスになる可能性もあるのではないでしょうか? 円安はどこまで進むと日本にとってマイナスとなるのでしょうか? そもそも、円安になったからといって本当に日本の国益につながるのでしょうか? またどの企業が円安で本当に得をしているのでしょうか? 疑問だらけです。
  • アベノミクスに対する各党の評価は、維新、みんなは「もっとアクセルを踏め」という立場で、民主、生活、社民、みどりの風は「ブレーキを踏め」という立場ですね。

    また、「労働分配」に関しては、自民党は、企業の投資や生産性が上がり企業の利益が増えることで、労働分配が上がり消費が増加すると言っています。維新、みんなは医療や農業の分野等で規制緩和を行い、そこに新しい雇用を生み出すことを考えています。民主、社民、共産、みらいは、賃金なき物価上昇や格差拡大などアベノミクスの副作用を危惧しています。

    共産は、解雇の自由化やサービス残業の拡大が雇用を奪ってきている。消費税アップの一方で投資減税や法人税の減税。所得を増やす矢がないと批判。生活や社民は、非正規労働者35%が社会不安の大きな原因とし、これ以上の雇用形態の緩和には反対しています。社民党は、まず最低賃金を1,000円にすることを主張しています。こういった規制緩和に関する論点もありますね。

  • 神吉

  • 学生1
  • 一人暮らしをしているのですが、電力会社からの「電気代の値上げ」の報告が以前入っていました。公明党は、輸入物価が上がり農業、漁業や生活に影響しているので、ルールづくりが必要と言っています。

  • 学生4
  • もちろんまだ安定とは言い切れませんが、少なくとも政策に対して市場が反応しているのは間違いないと思います。今までがデフレによる超不況から、なかなか抜け出せずにいたわけですから、批判される方はしっかりとした結果が出せる代案がほしいですね。

  • 社会人1
  • 経済史上、歳出削減だけで財政再建できた国家は存在しません。歳出を削減すると、経済活動が沈滞して、それ以上に歳入が減るからです。つまり、縮小均衡はどこまでいっても均衡しないということです。ゆえに公共投資を継続的に行なって経済を刺激していく必要があります。

    これまで日本は、経済の状況が少しでも好転するとカンフル剤を打つのをやめて財政支出削減をしようとしたので、その効果が消えてしまっていました。財政再建に走って失敗した橋本政権と小泉政権がいい例です。継続的にカンフル剤を打って、経済が好転すれば税収は投資した以上に増えていくと私は考えています。

    成長戦略は小泉内閣以来、ずっと取り組み続けているようですが、効果を上げていません。ゆえに、あまり期待していません。
  • 7月11日、日銀は日本経済は持ち直しから緩やかに回復つつあると、2年半ぶりに「回復」という言葉を使いましたが、IMFはアベノミクスの第2の矢の財政出動に対して「財政再建」の目標がない、第3の矢の成長戦略には「実効性」があるのか疑問視していますね。

  • 神吉

  • 学生5
  • 具体策としては、大企業は内部留保(証券の形で行き場のないお金)を原資として賃上げしてもらい(わずか1%で大企業労働者全体に月あたり1万円の賃上げができるそうです)、中小企業には行政からの補助などを行います。アメリカでさえオバマ政権になってから、最低賃金の値上げや中小企業支援が行われ、地域経済が活発化し経済成長に結びついているそうです。

    また社会保障の拡充は、税制をまず80年代の形に戻して小泉改革期に破壊された社会保障を再建した後、国民的議論を経て応能負担を国際協調で実現し、ヨーロッパ型の福祉国家の建設により実現すべきと考えます。内需拡大は個人消費の対象となる財それ自体で過渡的には実現できます。

    近年、テレビなどの家電製品が日本国内で売れないために家電メーカーの経営に大きな影響を与えていることを考えれば、労働者の購買力が復活することが大事です。また、エネルギー問題においても脱原発とセットでいわゆる「再生可能エネルギー」関連の産業などをドイツのように興していくことは十分に考えられます。

  • 社会人1
  • 「内需産業の利益増加」と「再分配政策」、そして「中小企業支援」に言及されている部分に対して同意します。で、それを達成するのが公共投資だと私は考えています。公共投資には内需拡大はもちろんのこと、所得の再配分機能も期待できるからです。問題意識は私と共通したものが多く、その方法論が異なるだけのようです。

    「コンクリートから人へ」といった民主党政権は崩壊しました。私は「まだまだコンクリートは大事」と申し上げたいのです。

    具体的には、震災からの復興、また防災対策、老朽化したインフラの修復等やるべきことはたくさんあります。また地方には建設の必要な道路もまだまだあります。メディアが土建政治だとかなんとかいって公共投資を悪者にしすぎましたね。

  • 学生5
  • 公共投資にしてもやり方があるだろうと申し上げたいのです。

    81分から75分と6分しか短縮効果がないのに、大深度地下を用いるために1mあたり1億円かかる東京外環道を建設したり、築地市場を土壌汚染のひどい豊洲にわざわざ移したりするような大規模開発ではなく、こどもの成長を保障できる認可保育所の建設、また都内で多くの待機者のいる特別養護老人ホームの建設、いじめなどの対策に有用な35人学級の導入など、国民生活の喫緊の課題に公共投資することが重要だと思います。

    被災地復興における現地の人々の生業の再建、笹子トンネル事故のような悲劇を防ぐためのインフラの改修も重要です。ですが、地方の道路などでは農道と県道がルートにおいて重複するなどの問題もあります。

    さらには、防災対策の名目でつくられたスーパー堤防により北区浮間では荒川の水害が起き、首都高速の工事と橋の架け替え工事を同時に行った結果あまりに多い構造物のために北区堀船では石神井川での水害も起きています。

    したがって、安易にハコモノをつくればいいという立場には立ちません。ですが、少なくともコンクリートから人へと一律に公共事業を削減するのには反対です。

  • 社会人2
  • 政府が行ってることは小手先のギャンブル。期待感だけで小バルブが弾けましたが、問題はこれから。今後はそうそううまく行かないと思います。

    こんなに物が溢れ豊かにも関わらず、日本国民は未だに自分達が経済的に成長できると思っています。デフレは社会が成熟した証。デフレから脱却しなきゃ、というのは経済至上主義が生み出した幻だと思います。

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【その他の論点】

ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表
神吉信之

ジャーナリスト、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表、「市民と議員の条例づくり交流会議in 九州」の地元実行委員長等専門:ローカル・マニフェスト、政治、選挙、公共政策・経営、NPO、まちづくり、地域メディア、地域通貨等
ホームページ:神吉信之のホームページ

NPO法人ドットジェイピー 福岡支部

本部 東京都千代田区、理事長 佐藤大吾、1998年創業。全国10支部にエリア展開し、大学生約200人が中心となって「若年投票率の向上」を目的に活動するNPO法人。累計15,000人の参加者数を誇る「議員インターンシッププログラム」をはじめ、「グローバルインターンシッププログラム」、「未来国会」、「未来自治体」など若年層を対象とした社会学習プログラムを提供。また、「Yahoo!みんなの政治」等への議員・議案情報提供など、活動は多岐に及ぶ。