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正社員という雇用形態が絶滅へ向かう合理的な理由 (2017/11/13 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 

日本企業の生産性が低い元凶

長時間労働は嫌われます。でも単に残業を減らしても、社員の手取りが下がるだけ。それではいい人は集まりません。生産性を上げる努力。つまり、社員の時給を上げる努力が、必要不可欠な時代なのです。では、どうやれば、生産性は上がるのか。

ビジネスマン

もはや、効率化では、生産性は上がりません。もう十分に、無駄はなくして来たからです。無駄をなくすのではなく、価値を生み出す。そういう経営が求められているのです。

社員を雇い、きちんと管理し、利益を残す。この図式が成り立たない時代になった。経営者はそれを自覚するべきなのです。もちろん、働く側も同じです。管理するだけでは、利益が出ない。それは、言い換えるならば、管理されるだけでは、給料はもらえない、ということなのです。

会社に人生を委ねるのではなく、自分の価値を、自分で高めなくてはならない時代。ではそういう時代には、会社と社員の関係は、どのようになっていくのでしょうか。

まず、雇用関係が変わります。終身雇用や、年功序列は、当然なくなります。固定給や、固定の仕事も、なくなるでしょう。つまり、正社員ではなくなる、ということです。

確実に消滅へ向かう正社員という雇用形態

なぜ、正社員ではなくなるのか。それは、ひとつの会社に所属するだけでは、個人のパフォーマンスを最大化出来ないからです。社員の時給を最大化するために、社員は、社員ではなくなるのです。

企業は社員を雇用するのではなく、場を提供する立場になるでしょう。ある人材の特性が最も発揮される場。それは、得意なことだけを、徹底してやってもらう場。企画書を作るとか、イラストを描くとか、得意なことだけに時間を集中させる。そうすれば、その人のパフォーマンスは高まります。

ただし、そんな極端な仕事は、ひとつの会社の中に、そうそうあるものではありません。ニッチで得意なことに、特化させればさせるほど、個人のパフォーマンスは上がります。でも、ニッチになればなるほど、ひとつの職場での仕事量は限られます。

その人の、最も得意な部分だけを、提供してもらう。その人の、最も得意な部分が、発揮される場をつくる。それが、会社にとっての、ベストなソリューション。そして、働く人にとっての、ベストなソリューション。

日本国民の生産性が低いのは、能力が低いからではありません。得意じゃない、好きでもないことに、時間を使い過ぎているからなのです。雇用というシステムそのものが、生産性を下げてしまうのです。

<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
安田佳生(ヤスダヨシオ)

1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ)は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

提供:瓦版

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