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正社員になることがマイノリティになる日も近い… (2017/4/24 瓦版

関連ワード : 労働・雇用 

四半世紀前、なぜブランド品は売れたのか

私が20代の頃、日本はブランド王国でした。普通の女子高生が、ルイヴィトンを持っている。男の子はみんなレノマを欲しがる。サラリーマンが着ているスーツも、ブランド品。社会がまだ豊かだったから。今より、ずっとお金を持っていたから。確かにそれもあるでしょう。でもそれは、きっかけに過ぎないのです。

ビジネスマン

会社は成長するのが当たり前。国家も成長するのが当たり前。給料も増え続けて当たり前。だったら使おう、となったわけです。国民が豊かになって、ブランド品が売れた。国民が貧しくなって、ブランド品が売れなくなった。確かに、その通り。では豊かになれば、またブランド品は売れるのでしょうか。

私は売れないと思います。少なくとも、前のようには売れない。なぜなら、変化したからです。変化したのは、私たちの常識。当たり前の話なのですが、いくらお金があっても、欲しくないものは買いません。お金があるから買えた、というのは事実です。でも、お金があるから売れた、というのは間違い。

みんなが持っているブランドを、自分も持ちたい。ブランド品を持っている人はカッコいい。みんなが欲しいと思っていたから、ブランド品は大量に売れたのです。

常識は不変でなく、入れ替わるのは一瞬

もちろん今でも、ブランドが好きな人はたくさんいます。でもみんなの常識は、変化しました。みんなが持っているブランドを持ちたい、とは思わない。ブランド品を持っているからカッコいい、とも思わない。お金がないから、買えないのではなく、お金があっても、欲しくないから買わないのです。

常識とは、不変なもの。少なくとも、そう簡単には変わらないもの。私たちは、ついそのように思いがちです。でも常識は、価値観の集合体に過ぎないのです。ひとりの価値観は、一瞬で変化します。その変化が過半数に達すると、常識が変化します。過半数を超えるには時間がかかりますが、常識が入れ替わるのは一瞬なのです。

たとえば、社会人は年賀状を出す、という常識。恐らく、あと少し、ほんの少し、やらない人が増えたら、年賀状を出すことは常識ではなくなるでしょう。年賀状そのものが無くなってしまうかもしれません。カッコいいから吸い始めたのに、タバコを吸う男はカッコ悪くなってしまった。これも一瞬の出来事です。

大企業に就職することも、正社員になることも、まだ多くの人は良しとしています。でもその常識は既に、変化する直前まで来ているのかもしれません。

<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
安田佳生(ヤスダヨシオ)

1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ)は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

提供:瓦版

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