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【特別インタビュー】ボトムアップで地方自治体を強くするスーパー公務員 山形市役所 後藤好邦氏(1/5) (2016/08/22 地方自治体を応援するメディア - Heroes of Local Government

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山形市役所 後藤好邦氏

【後藤好邦氏の経歴】
1994年に、山形市役所にて勤務開始。納税課、高齢福祉課、体育振興課冬季国体室、企画調整課、都市政策課、行革推進課、そして現在では再度企画調整課に戻り、係長として交通政策を担当している。自治体職員が横のつながりを持つ機会を生み出すために、2009年に「東北まちづくりオフサイトミーティング」を3名で立ち上げ、会員を900名になるまで拡大させる。現在、雑誌『月刊ガバナンス』で「『後藤式』知域に飛び出す公務員ライフ」を執筆している。

現在の活動について

加藤(インタビューアー):ちょっと月並な質問になってしまうかもしれないんですけれども、今活動されている内容というのを簡単に教えていただいてもよろしいですか?

後藤氏:仕事については、交通政策を担当していて、主にバスや鉄道、航空など、山形市全体の公共交通に関する仕事をしています。それに加えて、山形市長が仙台との連携を進めていますので、山形仙台間における交通網の調査・検討とか、そういった仕事にも携わっています。プライベートの方では、「東北まちづくりオフサイトミーティング」というネットワークを6年前に仲間と一緒に立ち上げました。30名で始まった活動が、今では900名くらいの方に参加していただいて、定期的に活動しているところです。

加藤:前に500~600名という風に聞いていたんですけど、もうそれが900名まで増えているんですね。

後藤氏:そうですね。最近忙しくて名簿の管理をしてないんですけど(笑)、2年前で830名くらいだったので、今は多分900名くらいかなと。ただ、うちの活動というのが、会員にならなくても自由に参加出来るので、概算としては1,000人以上の方に関わっていただいているかなと思います。

加藤:現在の、企画調整課でのお仕事はいつからされているんですか?

後藤氏:今年の4月からです。

加藤:過去に、結構色々な部署を転々とされていると思うんですが、それはご自身の希望によるものもあるんですか?

後藤氏:希望が叶った時もありますし、叶っていない時もあります。「管理職になるまでにはできるだけ色々な分野の仕事に就きたい、どこに行っても潰しが利くような人材になりたい」という風に思っていたので、総体的に見れば、良い流れで異動させてもらえているかなと思います。

加藤:なるほど。異動が多い方が、ご自身にとってチャレンジングに勉強出来る環境があって、それを楽しめていたということでしょうか。

後藤氏:そうですね。

加藤:山形市役所においては、皆さん異動されることは当たり前なのでしょうか?

後藤氏:人の動きというのは大事になってくるので、どこの自治体でも多かれ少なかれ、異動はどこでもあることだと思いますね。ただ、異動までのスパンというのは自治体、あるいは首長によって考え方が異なっています。「短い期間で色々な部署を回した方が良い」と考えるところもあれば、「スペシャリストを作りたい」ということで異動のスパンを長くするところもあります。

仕事に就いた時に、その仕事の目的を問う

加藤:なるほど。納税課で徴収業務をされた後に、福祉、体育振興、業務改善、交通政策など、普通の企業では考えられないくらい幅広いことをされていらっしゃいますよね。部署が変わっていくなかで、仕事のうえで気をつけているポイントなどはありますか?

後藤氏:そうですね、まず仕事に就いた時に、「何が自分の仕事の目的なのか」ということを問い直しています。そこが違ってくると、いかに目の前の仕事をきちんとしたとしても、最終的に良い結果が生まれなくなるじゃないですか。また、これはあくまでも主観ですけど、自治体では、どこに行ってもきちんと成果を上げられる職員は上げていますし、逆に、「こういう仕事だから」とか、「こういう職場だから」と言い訳をして成果を上げられない職員というのは、どこに行っても成果を上げられないのかなと思います。勿論、向き不向きっていうのが多少はあると思うんですけど、自分がいた職場で、自分の足跡(そくせき)は残したいなと。何か新しいことをして、「こういうことをしてきたよ」と言えるような仕事をしていきたいと思いますね。

他責だとうまくいかない

加藤:どこに行っても結果を出せる方と、そうでない方の一番の違いというのはどういうところだと思われますか?

後藤氏:人のせいにするというか、他責だとうまくいかないと思います。常に、出来ないこととか上手くいかないことを自責にしていくということですかね。今の状況で自分が何をすべきかを考える。組織の人間なので、100%自分の自由には出来ないじゃないですか。そういった中で、今の自分に出来ることを見つけて、きちんと一つ一つ積み上げていくことが大事なのかなと思います。

加藤:私も今、民間企業で働いているのですが、結果を出す人はやっぱり結果に意識が向いていて、何か他のもののせいにはしてないとは思います。

後藤氏:上司や組織の考えと自分の考え方が違う時が多々あると思うんです。しかし、そこで諦めてしまうのでなく、そういった中で自分の理想の100%まではいかなくても、10%なり20%なり、自分が何もしなかった時の状態よりは前に進めるということが大事かなと思います。それが市役所における自治体職員の腕の見せ所なのかなと思っていて、「上司や組織的な判断からNGになってしまったとしても、少しでも前に進めるような努力が大事なんじゃないのか」という話をよく若い職員にはしています。私自身、人に言う以上は自分もやらないといけないと思って、どうにかやっていますけどね(笑)。

加藤:そうですよね。民間企業でもそうですし、どんな組織でも上司と意見が合わない時もありますよね。ちなみに、後藤さんのようにそもそも組織の中で常に前向きでポジティブに進める人って、私はそんなに多くないと思っているんですね。それを実際にやられていらっしゃるのは、過去の経験か何かにきっかけなどがあるんでしょうか?

後藤氏:そうですね、若い頃と最近ではモチベーションの持ち方が違ってきているんですけど、まず、若い頃は仕事で認められて偉くなりたいというような意識が我々の世代には結構あったので(笑)、そういう意識で仕事をしてきたと思います。逆に30代中盤から今くらいにかけては、外のネットワークの活動とか、市役所での色々な環境の中で部下や後輩ができてくるじゃないですか。そういう人達に、「こういう活動をすることが大事だよ」とか「こういう仕事のやり方が大事だよ」と言っている以上、やっぱり自分で実践していかないと。「口で言っていること」と「やっていること」が違うと思われるのは嫌なので(笑)、必然的にそういう考え方で仕事に取り組む一つの原動力になっていると思います。

一企業の利益よりも、地域や町のためになる方がやりがいがある

加藤:ちなみに、市役所に務めたきっかけとして、お父様が公務員としてお仕事されていらっしゃったというものが大きかったのでしょうか?

後藤氏:そうですね、公務員に対してマイナスなイメージはなかったですね。父親は仕事を5時過ぎくらいに終えて、早く帰ってくるようなことはなかったので、いわゆる「公務員=定時で終わるお役所仕事」だという意識はなかったです。ただ、最初は漠然と「公務員になりたい」と思っていた感じだったので、父親の存在が公務員になりたいと思った第一の要因ではなかったです。

加藤:なるほど。お仕事を決められた時には、公務員以外の選択肢というのは考えられていらっしゃったんですか?

後藤氏:大学3年の時にはもうなかったです。バブルの頃だったこともあり、民間企業は利益の追究というところが一番の仕事の目的になるじゃないですか。それはそれで自分に合ってなくはないなと思っていたんですが、一企業の利益というよりは自分のやったことが地域とか町のためになる方が、やりがいがあると思って公務員を目指しました。

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提供:地方自治体を応援するメディア – Heroes of Local Government

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