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海外から見た新都知事の役割…“トラブル続き”“日本再生の希望”の東京五輪の監督者  ニュースフィア 2016年8月3日

 7月31日の東京都知事選は、無所属の小池百合子氏の圧勝だった。主要欧米メディアで、この都知事選の結果を2020年東京オリンピックと強く結びつけて報じる傾向が多く見られた。都政の最重要問題と捉えているような報道ぶりだ。それらのメディアにとって、東京オリンピック・パラリンピックの準備を巡るこれまでの騒動が、相当印象深いものだったという背景があるようだ。またオリンピックが日本経済再生の原動力になるという期待についても、重く捉えているようである。

◆オリンピックが選挙の最大の争点だったかのような論調
 各メディアの記事タイトルから、オリンピックを絡めた報道がどのようなものか見てみよう。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は「東京都民、2020年オリンピックを監督してもらうため初の女性知事を選出」。AP通信も「東京都民、都をオリンピックへと導いてもらうため初の女性知事を選出」とほとんど変わらず、ワシントン・ポスト紙(WP)も「東京都民、オリンピックサイズの課題に取り組んでもらうため初の女性知事を選出」と定型化している。

 わかりやすいのはロイターの例で、英語版記事では「東京がオリンピックに向けて準備しているとき、都民は初の女性知事を選出」とのタイトルで報じたが、日本版記事では「東京都知事に小池百合子氏、女性初 国政への影響は軽微」。力点の置かれ方の違いが顕著だ。

 記事本文でも同様の傾向だ。一例を挙げれば、WPは冒頭文で、次のオリンピックまで東京を導いてもらうよう、都民は小池氏を選んだ、と報じた。なお、小池新都知事の任期は2020年7月30日まで。東京オリンピックは同年7月24日から8月9日、パラリンピックは8月25日から9月6日まで開催。

◆東京オリンピック、といえば準備がごたごたのイメージ?
 一部海外メディアでは、東京オリンピックというと、これまでの準備過程の騒動が枕詞のように付いてくる傾向が散見される。AP通信は、東京オリンピックの計画遂行は問題にぶつかっていると語る。ガーディアン紙は記事冒頭で、小池氏は東京の2020年オリンピックのトラブル続きの準備を監督することになる、と報じた。FTも冒頭文で、都民は小池氏を、東京の2020年オリンピックのトラブル続きの準備の責任者とした、とよく似た表現で報じた(記事の筆者はもちろん別)。

 東京オリンピックの準備に関する騒動で、どの記事でも取り上げられているのは、新国立競技場のザハ・ハディド氏設計の当初案の撤回、盗用と指摘された公式エンブレムの取り下げ、また予算の膨れ上がりである。ただし例えばエンブレム問題は大会組織委員会の管轄である。同委は日本オリンピック委員会(JOC)と東京都が設立し、都は同委が行う「大会準備を全面的にバックアップする」ものの、エンブレムの決定には関わっていない。新国立競技場のコンペも日本スポーツ振興センター(JSC)が実施したもので、都が決定に関与したわけではないが、そのあたりの区別はこれらのメディアでは意識されていないようである。

 都知事選とオリンピックの問題を結びつけて語ろうという強い意図があるためか、舛添要一前知事の辞任問題についても、WPは、東京の2020年夏季オリンピックへの準備でトラブルを引き起こしている一連の問題の1つであると報じている。ロイターも、2人の前任の都知事がスキャンダルで辞任したが、そのことは2020年夏季オリンピックの開催都市としての準備に影を投げかけた、と語った。

◆日本経済に対するオリンピックの影響を重要視
 こういった報道姿勢の立脚点として、日本では東京オリンピックが経済再生の原動力として期待されており、したがって小池氏の都政運営でも、オリンピックに向けた動きが優先度の上位に来るはずだという想定があるようだ。

 AP通信は、世界3位の経済大国の日本が10年以上続く不況の後で、主として金融政策に基づいて成長を存続させようと懸命に努める中、オリンピックは日本再生への期待の最重要物である、と語る。そして、東京都はオリンピックを通じて、自動運転車を含め、日本の価値ある技術を紹介することを望んでいる、と語っている。

 ロイターは、東京都は高齢化、保育所や老人デイサービスセンターの不足、大地震の可能性など、極めて多数の問題に直面しているが、選挙戦での重要な争点は2020年オリンピックだった、と語っている。ロイターによれば、小池氏は選挙戦の開始時に「オリンピックは私たちの目の前にある。私は2020年以降の新たな東京を築き上げるチャンスとしてオリンピックを活用したい」と語っていた。

 数十年間続くデフレからの脱却に苦闘している日本経済が、このオリンピックで活性化されるのを日本は期待している、とロイターは語る。そして、2人の前任者の辞任の後で、小池氏はオリンピックの開催都市としての東京の信望を守る責任を負うだろう、と語る。

 WPは、日本政府はオリンピックを、沈滞している経済にハッパをかける方法とみなしている、と語る。一方で、膨れ上がる開催費用はオリンピック成功の妨げとなりうる。WPは、開催費用が、当初70億ドル(約7000億円超)とされた予算の2~3倍に達すると予想されていると語り、小池氏にとって最も差し迫っている課題はその費用を抑制することだろう、と述べている。

 ガーディアン紙は、東京オリンピックは21世紀の日本のショーケースとなりそうだと語り、小池氏はこのメインイベントの中心舞台に立つことを望むだろう、と語る。しかしオリンピックの予算は膨れ上がっており、25年以上続くデフレをいまだに払拭(ふっしょく)できていない日本で、統制を厳しくすることが小池氏には期待されるだろう、と語っている。

◆オリンピックで安倍首相は小池新都知事と協力し合うようになるはず
 もちろんこれらのメディアは、オリンピック以外の問題にも触れている。例えばWPやFTは、小池氏の対立候補を支援した自民党と小池氏の対立について言及している。

 FTは、小池氏が2012年の自民党総裁選で安倍氏ではなく石破茂氏を支援したことで、安倍首相から冷遇されていると言われていることに触れながら、今となっては安倍首相は、東京オリンピックに関して小池氏と協同しなければならないだろうと語る。オリンピックは、両氏の政治的レガシーをはっきり示すものになる、と語っている。

提供:ニュースフィア