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「少子高齢化」「空き家増加」「低金利」持ち家と賃貸はどちらが得か? (2016/6/16 JIJICO

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空き家増加 低金利など以前と異なる不動産環境

「持ち家と賃貸はどちらが得か」という問いはこれまで何度となく不動産情報誌などで掲載されていますが「少子高齢化」「空き家の増加」「低金利」などの以前とは違った要素が生じた昨今においてはどうなのか考えてみます。

金銭面だけの比較ならば、持ち家は住宅ローンの返済、固定資産税、家屋の維持管理費などの支払い総額を、賃貸は家賃の総支払い額を算出し比較すると概ね結論はでます。ただ住環境は単世帯以外の地域コミュニティ、不動産所有者、勤務環境など外部要因によって大きく左右されますので、金銭面だけでは真の損得比較はできません。また所有を前提とした建物と貸借を主目的とした建物では「住まいの質」に差異がありますし、一戸建てと集合住宅との差異や都市圏と地方圏との不動産価格の違いなども考慮する余地があります。

しかしここでは様々なシチュエーションごとの損得比較までは行わず、大凡の傾向として考えてみます。

持ち家と賃貸

立地選びを間違えなければ今は持ち家のほうが得

現在日本では空き家が820万戸(空き家率13.5%)と住宅余剰時代となっており特に賃貸住宅の空き家率は20%を超えて家賃も下げ傾向になっています。賃貸派にとっては選択肢が増えた上に家賃が下がるためお得感が増大しています。

一方で住宅を取得する持ち家派にも空前の低金利、中古住宅への抵抗感の低減など住宅を購入しやすい環境が整ってきています。政府は住宅流通を「既存住宅を活用させ循環させるストック型」に移行し空き家の増大を抑制すると共に既存住宅の資産価値をできるだけ落とさないようにする施策を打ち出しています。「一生に一度の買い物」「終の棲家」などとされてきた住宅購入がライフスタイルに合わせて買い替え・住み替えがし易い環境になってきます。住宅ローンの返済が資産形成につながり易くなることから、賃貸派よりも持ち家派が得をし易い環境になっていくと考えます。

また定年後の長い老後期間を賃貸で家賃を払い続けながら過ごす生活と持ち家での生活では精神的な安定は後者が高いと考えますし、持ち家を担保に老後資金を借り入れるリバースモゲージの運用が確立していく期待もありますので長期スパンでは持ち家に得が多いと考えます。

ただし持ち家を購入する際には物件の見極めが非常に大切になってくるのは言うまでもありません。特に場所・立地選びには注意が必要で、いざ売却する必要が生じたときに買手が付かないような物件は購入を見送りたいものです。

ライフスタイルが安定するまでは賃貸住宅の利用もお勧め

一方で賃貸を選択することが賢明な場合もあります。単身で短期間の居住が確定的な人や早急に移転する必要がある人においては賃貸の方が初期費用も時間的負担も少なくて済みますし、親元を離れて初めて世帯をもつ人にあってもいきなり住居を購入するよりも賃貸で不動産流通を経験した方が得策と考えます。

また、個人的な性格やライフスタイルなどで持ち家よりも賃貸の方が合っている人がいますし、昨今は離婚率が高くなっていますので新婚のご家庭はいきなり新居を購入するよりも先ずは賃貸住宅を活用することが望ましいと考えます。

長期的には持ち家の方が得で短期的に賃貸を活用しながら機を見て持ち家を購入することが賢明だと考えます。

提供:JIJICO

著者プロフィール
森田伸幸森田 伸幸/不動産コンサルタント
森田コンサルティング事務所
1988年に明治大学文学部史学地理学科(地理専攻)卒業。大阪本社の分譲住宅会社へ入社し各支店の用地課で仕入れ担当。宅建主任者取得。その後、熊本の分譲住宅会社に転職し、2001年、不動産コンサルティング技能登録者の資格取得。2010年に公認ホームインスペクター資格取得し、2011年に森田コンサルティング事務所開業。土地売却、土地購入、新築住宅購入、中古住宅購入のコンサルティング、そして熊本では先駆けとなる中古住宅のホームインスペクションを行う。
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