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まもなく施行、改正保険業法 (2016/4/15 企業法務ナビ

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はじめに

2014年5月に改正された保険業法が今年5月末に施行されます。顧客の意向把握義務や顧客への情報提供義務が新設され、海外展開等の規制が緩和されるなど保険業界に大きな影響を及ぼすことが予想されます。今回は、この改正保険業法の概要について見ていきたいと思います。

保険

法改正の背景

今回の保険業法の改正に至る背景には保険商品の多様化と保険商品販売形態の多様化があげられます。複雑多様化した保険商品に加え、インターネット等での顧客と対面しない販売方法、さらに特定の保険会社ではなく不特定多数の保険会社の商品を扱う乗合代理店の出現により、保険業界を取り巻く環境は大きく変容を遂げました。保険対象、保険期間、保険料、保険金といった様々な顧客のニーズに対応する新商品が販売され、インターネットや乗合代理店によって、より気軽に多くの商品を比較しつつ保険に加入することができるようになりました。

その一方で顧客のニーズに合っていない保険商品を販売したり、乗合代理店に入る手数料の多い商品を優先的に紹介するといった弊害が多発し一般消費者からのクレームも増加の一途をたどりました。そこで新たな環境に対応するため保険募集規制の再構築が図られました。

改正のポイント

改正保険業法の改正のポイントは顧客の意向把握義務、情報提供義務といった保険募集の基本ルールの創設、従来保険会社にのみ義務付けられていた募集体制整備を保険募集人にも拡大するといった管理監督体制の拡充、そして海外展開の促進のための海外企業買収規制の緩和があげられます。

(1)意向把握義務

保険募集に際し、従来は虚偽の説明を行ったり重要事項を告知しないといったことが禁止事項として挙げられていました。本改正ではそれらに加え意向把握義務(294条の2)が導入されました。顧客のニーズを正確に把握し、ニーズにあった商品を具体的に提示し、最終的に顧客のニーズと提示したプランが合致しているかの確認が求められます。インターネット等による対面しない販売形態においても、これらの顧客の意向の確認が必要となってきます。

(2)情報提供義務

顧客が保険に加入するに際して、保険料、保険期間、保険金額、保険金支払条件といった判断の材料となる情報を正確に提供することが義務付けられます(294条)。これまでは不利益な事実の不説明、誤解を与える比較表示、断定的判断の提供等が禁止されていました。これらに加えより積極的に顧客の判断を助けるよう情報提供が求められます。また複数の保険会社の商品を提案する場合には、比較可能な保険の概要と提案理由の説明が求められることになります。

(3)募集体制の整備

従来は保険会社にのみ、募集体制の整備を義務付け保険募集人の実態把握や管理指導は保険会社を通じて行えば足りると考えられてきました。しかし乗合代理店の出現により、保険募集人の実態把握、管理指導は保険会社だけでは不十分であることから、これらの募集体制整備義務を乗合代理店等の保険募集人に対しても拡大されることになりました。これまで保険会社のみが行っていた適切な業務運営のための社内規則等の策定等が必要となってきます。また保険募集の業務委託等を行う場合の委託業務の的確な遂行確保のための委託先管理等も必要となるでしょう。

(4)海外展開の規制緩和

国内の保険会社が海外展開する際の買収規制が緩和されます(106条)。従来保険会社が外国の会社を買収する際、対象会社が他業種会社を子会社として保有している場合は原則買収することができませんでした。例外として対象会社が保険会社である場合に5年間の猶予期間を与え、その期間内に他業種子会社を処分することを条件として買収を許容していました。本改正で対象の会社を外国の金融機関等にまで拡大するよう規制が緩和されます。これによって保険会社が海外企業を買収する際、相手会社の他業種子会社の存在が障害となることが少なくなります。

コメント

近年保険業界は大きく変革を遂げてまいりました。顧客のニーズに応え、あらゆる種類の保険商品が展開され、また販売方法としても、戸別訪問から代理店による一括販売、インターネット等による通信販売等より柔軟に保険に加入することができるようになりました。一方で代理店の利益を優先し、顧客の意向を反映しない、あるいは無視するような保険販売が行われてきたことも事実です。

本改正によりこれまで以上に顧客の立場に立った説明と顧客のニーズに対応したプランの提供が各保険事業所に求められることになります。保険の公正で適切な普及を目的とした改正であるため保険業者には相当の負担ともなるでしょう。一方で海外での買収規制緩和によって海外進出は以前よりも容易になります。保険販売促進の適正化を図るとともに、海外展開も視野に入れた事業展開の検討も重要と言えるのではないでしょうか。

提供:企業法務ナビ

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