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祖父母から子や孫へ!政府が必死になる贈与税非課税制度とは? (2015/11/26 JIJICO

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政府は高齢者から若年層への資金移転を促している

政府は資産家の高齢者から子どもや孫へ資産移転を促すことで若年者層の消費の活性化を図ろうと、従来の住宅取得資金の贈与税非課税制度に加え、平成25年4月には教育資金贈与の非課税制度の創設といった対策を行ってきました。しかし、それでもなかなか資産移転が進んでいないため、今年1月から相続税について基礎控除額の40%縮小や最高税率を引き上げなどの増税を行う一方で、これまでの贈与税非課税制度の拡張や結婚・子育て資金贈与資金の贈与税非課税制度の新設などで、高齢者から若年層への資金の移転をさらに促そうとしています。

祖父母から子や孫へ

これらの政策ですが、贈与税非課税制度の恩恵を受けるのは比較的裕福な家庭の子どもや孫だけで、「金持ち優遇」「格差拡大」との批判が多いことも確かです。もちろん、多くの人へ平等に高齢者から若年層への資産移転を促すことが理想的ですが、現状では困難でしょう。ここで、これらの資産移転促進制度について整理してみます。

「住宅資金贈与」は段々と非課税金額が拡大へ向かう

「住宅資金贈与」は、親や祖父母から20歳以上の子どもや孫に対して自宅の購入や建築のための現金の贈与した場合、一定金額まで贈与税がかからない制度です。この住宅購入資金贈与の非課税制度は昨年末で終了する予定でしたが、平成31年6月まで延長されています。さらに、非課税枠も昨年までの最大1000万円に比べて拡大され、平成28年1月~9月の契約分は最大1200万円、平成28年10月~平成29年9月の契約分については最大3000万円と大幅に拡大されます。

住宅資金贈与の推進制度としては、この暦年課税のほかに相続時精算課税制度があります。両親や祖父母から20歳以上の子どもや孫に対して住宅資金贈与があった場合、累計で2500万円贈与税を非課税とし、贈与額を相続財産と合算して相続税で精算するものです。平成27年1月から、贈与者の年齢制限である65歳以上が60歳に引き下げられ、受贈者の対象も子だけではなく20歳以上の孫にも拡大されました。

「教育資金贈与」などが新設される

また、「教育資金贈与」は平成25年4月に新設された制度で、親や祖父母が入学資金や授業料、学習塾代などの教育資金を29歳までの孫や子に贈与した場合、1500万円まで非課税に。今まで平成27年中の贈与が期限とされていましたが、こちらも平成31年3月末まで延長されています。さらに、非課税となる教育資金として、新たに通学定期代や留学のための渡航費も加わりました。

ほかにも、「結婚・子育て資金贈与」は親や祖父母から20~49歳の孫や子に対して結婚や妊娠・出産、育児向け資金を贈与した場合、1000万円まで贈与税がかからない制度で、平成27年4月1日から施行され、平成31年3月31日までの贈与が対象。結婚式・披露宴の費用や新居の住居費、引っ越し費用、不妊治療費、出産費用、出産直後の産後ケア費用、子供の医療費、子供の保育費が対象となっています。政府は平成28年度からこの制度を拡充する方針で、使い道が産前産後の母親の医療費や薬代、産後の健康診断の費用、不妊治療にかかる薬代であれば非課税にする予定があります。

「ジュニアNISA」にも資産移転の促進という意味が

さらに、平成26年から20歳以上の成人に対して少額投資非課税制度(NISA)が始まり、投資金額最大年100万円分までの株式投資等にかかる値上がり益や配当金が非課税に。平成28年1月以降は、これを20歳未満に対しても拡充することとなります。これが、「ジュニアNISA」です。

親や祖父母等から贈与を受けた資金を使用し、親権者等が未成年者のために代理して運用を行うことが想定されている。投資額の非課税枠は年80万円。贈与税の通常の非課税枠110万円以下のため贈与税がかからず運用資金を贈与できます。そもそも、ジュニアNISAは株式市場の活性化が一番の目的とされていますが、これも高齢者から若年世代への資産移転を促そうとするものには変わりありません。

提供:JIJICO

著者プロフィール
米津晋次米津 晋次/税理士
よねづ税理士事務所
1962年、愛知県海部郡佐織町(現愛西市)生まれ。南山大学卒業後、システムエンジニアとして約5年勤務。その後、約15年の税理士勤務を経て、2005年よねづ税理士事務所を開設。2007年 株式会社みらいを設立し代表取締役に就任。MQ会計理論に基づくアドバイスで経営者を支援。また、専門家と協働し、ワンストップサービスを実施。している。
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