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[用語解説]寄付行為

山尾議員の法律家らしからぬ記載ミス、寄付行為はどこまで許される? (2016/4/15 政治山)

 平成24年分収支報告書で約230万円分のガソリン代を計上した問題が尾を引く民進党の山尾志桜里政調会長ですが、同氏の資金管理団体「桜友会」の収支報告書では、平成26年分に「新築祝い」名目で選挙区内の店舗に2万1000円を支出した記載があることも判明しました。

 記載ミスとのことですが、支出が事実だった場合、公職選挙法の「寄付行為」に該当する可能性があります。寄付行為は公選法の中でも、とりわけ禁止項目が多く、議員であればチェックしているはず。検察官経験もある法律家らしからぬ“ミス”と言えます。

平成26年の収支報告書に記載されている「新築祝い2万1000円」

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平成26年の収支報告書に記載されている「新築祝い2万1000円」

選挙区内の人への一切の寄付禁止

 公選法では、選挙区内の人に対する一切の寄付が禁止されています。お中元・お歳暮から結婚祝い、入学祝い、開店祝い、香典、葬式の花輪や供花、イベントや集会での寄付や飲食物などの差し入れは、時期や理由を問わず禁止されています。募金や親族・秘書名義でのお祝いも同様です。

親族への新築祝いは可能

 一方で、適用除外もあります。披露宴での祝儀や、葬式・弔問での香典は政治家本人が出席した際には適用されないケースがあります。また、選挙区内での成人式に記念品を贈ることは禁止されていますが、祝電は寄付ではないので、内容が選挙運動に当たらなければ問題ありません。

 加えて、選挙区内であっても、6親等内の血族、配偶者及び 3親等内の姻族については「親族に対して行う寄付」として例外なので、新築祝いも可能です。

地域によって香典返しも可能

 香典を贈るのではなく、香典返しについてはどうでしょう。その地域で香典返しが社会習慣として定着し、一種の義務的な性格を持つものであれば、香典の半額程度であれば寄付にはあたらないとされています。

<著者> 上村 吉弘(うえむら よしひろ)
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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