安保法制、国家安全保障会議設置法の改正ポイント  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   安保法制、国家安全保障会議設置法の改正ポイント

[用語解説]安保法制、安保法制が分かるポイント解説

安保法制、国家安全保障会議設置法の改正ポイント (2015/9/17 早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

 安保法制について法案別の改正ポイントを解説するシリーズ、今回は「国家安全保障会議設置法(NSC設置法)」についてです。

国家安全保障会議設置法の概要

 国家安全保障会議設置法は、我が国の安全保障に関する重要事項を審議する機関として、内閣に国家安全保障会議が設置されている根拠法です。同会議では、国防の基本方針、防衛計画の大綱、武力攻撃事態への対処に関する方針や重要事項等を審議するよう11項目の審議対象が設定されています。

改正法で何が変わるか?

 国家安全保障会議設置法の改正ポイントは、審議事項の追加と審議しなければならない項目が新たに明示されたことにあります。これは今回の安保法制の提案に際して新たに政府が行うこととして追加されたものを、同会議で取り扱うことを目的としています。

改正法のポイント

 具体的には、審議事項として新たに次の3つが設けられ、今回の法改正において設けられた概念に基づいて国家安全保障会議で議論を行うことが正式に位置付けられました。

  • 存立危機事態への対処
  • 重要影響事態への対処
  • 国際平和共同対処事態への対処

 また、必ず審議しなければならない事項として、国政平和協力法や自衛隊法の改正に伴って、次の内容について審議することが義務付けられました。

  • 国際平和協力業務であっていわゆる安全確保業務の実施に係る実施計画の決定及び変更
  • 国際平和協力業務であっていわゆる駆け付け警護の実施に係る実施計画の決定及び変更
  • 国際連合平和維持活動に参加する各国の部隊により実施される業務の統括業務に従事するための自衛官(司令官等)の国際連合への派遣
  • 在外邦人の警護・救出等の保護措置の実施

 以上の追加や審議の義務付けによって、安保法制に関する事項について内閣の指導力を担保することになります。

<安保法制ポイント解説>
← 武力攻撃事態対処法の改正に伴う関連法規  |  国際平和支援法→

関連記事
安保法制が分かるポイント解説(概要)
安保法制、自衛隊法の改正ポイント
安保法制、PKO法の改正ポイント
安保法制、重要影響事態安全確保法の改正ポイント
安保法制、船舶検査活動法の改正ポイント
安保法制、武力攻撃事態法の改正ポイント
安保法制、武力攻撃事態対処法の改正に伴う関連法規の改正ポイント
安保法制、国家安全保障会議設置法の改正ポイント
安保法制、国際平和支援法の改正ポイント
安全保障関連の記事一覧
解説記事一覧
著者プロフィール
渡瀬裕哉氏渡瀬裕哉(わたせゆうや)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了、創業メンバーとして立ち上げたIT企業を一部上場企業にM&Aさせるなどの起業家としての側面を持つとともに、東国原英夫氏などの全国各地の自治体の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニングにも従事。日本版Tea Partyである東京茶会事務局長として、米国共和党保守派との幅広い人脈も有し、保守派最大級のイベントであるFREE PAC 2012に日本人で唯一の来賓として招へいされる。現在、日本版The Leadership Instituteである自由民権塾を立ち上げて活動中。
渡瀬裕哉氏の記事
「談話」は個人見解―閣議決定を経て公式見解へ(2015/8/7)
個別的自衛権と集団的自衛権、なぜ解釈が異なるのか(2014/7/28)
安倍内閣の長期政権化が、日米関係にもたらすもの(2014/12/4)
そのほかの渡瀬氏の記事