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【早大マニフェスト研究所連載/マニフェストで実現する『地方政府』のカタチ】

第18回 議会事務局研修会2014~分権時代の地方議会を支える事務局とは~ (2014/8/7 早大マニフェスト研究所)

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早稲田大学マニフェスト研究所によるコラム「マニフェストで実現する『地方政府』のカタチ」の第18回です。地方行政、地方自治のあり方を“マニフェスト”という切り口で見ていきます。掲載は、毎月第2木曜日。月イチ連載です。今回は、「議会事務局研修会2014~分権時代の地方議会を支える事務局とは~」をお届けします。

◇        ◇        ◇

2014年7月25日、早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革調査部会の企画により、「議会事務局研修会2014~分権時代の地方議会を支える事務局とは~」が、早稲田大学日本橋キャンパスで開催されました。折しも、東京都議会のセクハラやじ問題、兵庫県議会議員の政務活動費の不正使用の問題など、全国的に地方議会が注目を集める中、全国から100人を超える議会事務局職員の方々が集まりました。今回は、研修会の内容を振り返るとともに、議会改革を進める上での議会事務局の役割を考えたいと思います。

議会事務局から始める議会改革

 第1部では、「議会事務局からはじめる議会改革~真の議会改革を目指して~」をテーマに、北川正恭早稲田大学マニフェスト研究所所長、江藤俊昭山梨学院大学教授、中尾修元北海道栗山町議会事務局長の3人によるパネルデイスカッションが行われました。

 まず、今回の2つの不祥事に関して、北川所長は、「議員個人の問題だけではなく、議会運営にも問題がある。また、事務局職員が、法の執行者として、政務活動費のチェックをどれだけ行えているか」と話しました。江藤教授は、政務活動費はどう使ったではなく、その調査研究活動の成果が問われるべきだと、政務活動費のあり方に問題提起をしました。中尾さんは、議会が批判されている時は議会事務局も批判されている時、今だからこそやるべきことがあると、事務局職員の奮起を期待しました。

 次に議会改革の現状と課題に関して、北川所長は、「議会基本条例も全国で570を超え、形式要件は整い始めている。実質要件、実効性を高める努力が必要だ」と話しました。江藤教授は、議会は住民自治の根幹、議決責任を自覚し、議決説明責任を果たすためにも、議員間の討議の重要性を強調しました。中尾さんは、議案にない地域の課題を議論する一般会議や、陳情要望者の意見陳述の場の確保など、住民の使い勝手の良い基本条例にする必要を訴えました。

 最後に議会事務局の役割に関して、江藤教授は、「議会と議会事務局は車の両輪、補助機関としての位置付けを一歩踏み込み、『議会局』に名称変更すること。また、事務局長のリーダーシップの下、『チーム議会事務局』になるべきだ」と話しました。中尾さんは、任命権者である議長にどれだけ仕えられるか、そうした意識改革の必要性を求めました。そして北川所長は、「議会事務局が主体的に改革をリードすることができる。ピンチをチャンスに変える地方議会改革、議会事務局改革を進めるべきだ」と叱咤激励しました。

パネルデイスカッションで話す北川所長、江藤教授、中尾さん(左から)

パネルデイスカッションで話す北川所長、江藤教授、中尾さん(左から)

先進事例 横浜市会議会局

 第2部では、議会事務局の取り組みに関する先進事例の報告がありました。

 横浜市会事務局では2010年から、名称を議会局に変更しています。今回は、「市会ジャーナル」の発行に関して、事例報告していただきました。

 横浜市会議会局では1998年から、議員の政策提言などの検討や、議会審議などの議会活動を積極的にサポートするため、「議会審議に役立つ情報の提供」や「議員や会派の政策課題の検討などに寄与すること」を目的に、市政の重要課題などについて議会局の視点から調査編集した「市会ジャーナル」を発行しています。政務調査課の8人の職員が執筆を担当し、他都市議会動向に関する資料、政策調査レポート、法制レポート、大都市制度に関する資料の分類で、2009年度から2013度の5年間に、82本のレポートが報告されています。政策型の議員提案条例の動きが活発化してきている横浜市会の活動を側面支援する事務局の取り組みになっています。

横浜市会議会局の報告の様子

横浜市会議会局の報告の様子

先進事例 相模原市議会議会局

 相模原市議会議会局でも、2012年に名称を議会局に変更しています。今回は、市議会のホームページのリニューアルに関して、事例報告していただきました。

 相模原市議会では、二元代表制の一翼を担う議会の独自性が反映できない、議会と閲覧者との双方向コミュニケーションができないなどの課題から、独自ドメイン取得による市議会のホームページのリニューアルを決定、議会局がその作業を全面的に支援しました。2014年のリニューアル後のトップページには、相模原市の風景、本日開催される会議情報、市議会だよりの画像、市議会日程のカレンダーなどが表示されました。また、議員の個人名簿には、当該議員の会議録、映像にリンクする機能をつけました。Facebookでも議会情報を発信し、連携してホームページとの相乗効果を狙っています。リニューアルの効果もあり、ページビューアー数は、今までと比べると2.5倍前後に増加しています。

相模原市議会議会局の報告の様子

相模原市議会議会局の報告の様子

議員と事務局の関係

 第3部では、「議員と事務局の関係を考える」をテーマに、石堂一志・北海道福島町議会事務局長、清水克士・滋賀県大津市議会事務局議会総務課長をパネリストに、北川所長、江藤教授をコメンテーター、中尾さんをコーデイネーターに、パネルデイスカッションが行われました。

 石堂事務局長は、議長とのコミュニケーションの重要性とともに、議員運営員会などでは、説明に徹するのではなく、対等な立場で意見する姿勢を紹介しました。清水課長は、「大津市議会の改革は、議員主導でも事務局主導でもない、議員と事務局協働の結果として実現している。そのためにも、議員に対して『恐れない』『ぶれない』『諦めない』姿勢を意識している」ことを強調しました。中尾さんは、役人としての権限の中で、できる範囲で、議員とのフラットな関係の構築の必要性について話されました。

 こうした現場の声に対して、江藤教授は、議会事務局だけでやろうとはせずに、専門的知見、公聴会制度の活用、大学との連携、他自治体の議会事務局職員との連携などの可能性をアドバイスしました。北川所長は、議会の議論のあり方を変えるためにも、事務局が率先して、委員会室にホワイトボードを設置する、付せんを使って会議を進めるなど、会議のスタイルを変える取り組みを行うよう訴えました。

パネルデイスカッションで話す石堂事務局長と清水課長と(左から)

パネルデイスカッションで話す石堂事務局長と清水課長(左から)

分権時代の地方議会を支える議会事務局

 地方議会は住民自治の根幹です。地方分権の流れは、好むと好まざるとに関わらず、これから益々加速していきます。それに伴い、地方議会の役割は今まで以上に重要になります。それは、議会と車の両輪であるべき議会事務局の役割も重要になることを意味します。今起きている地方議会での不祥事の頻発といったピンチを、チャンスにしていく努力が求められています。全国の議会と議会事務局が、住民とともに、議員のあり方、議会のあり方を考え直し、そのあるべき姿に向かった改革を進める好機にしてほしいと思います。

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佐藤淳氏青森中央学院大学 経営法学部 専任講師
早稲田大学マニフェスト研究所 招聘研究員
佐藤 淳
1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業。三井住友銀行での12年間の銀行員生活後、早稲田大学大学院公共経営研究科修了。現在、青森中央学院大学専任講師(政治学・行政学・社会福祉論)。早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員として、マニフェスト型の選挙、政治、行政経営の定着のため活動中。

■早大マニフェスト研究所とは
早稲田大学マニフェスト研究所(略称:マニ研、まにけん)。早稲田大学のプロジェクト研究機関として、2004年4月1日に設立。所長は、北川正恭(早大大学院教授、元三重県知事)。ローカル・マニフェストによって地域から新しい民主主義を創造することを目的とし、マニフェスト、議会改革、選挙事務改革、自治体人材マネジメントなどの調査・研究を行っている。
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