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【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「まちの課題を解決するために」】

第45回 町の宝を活かして誇りと活力を (2014/9/5 上田泰弘/龍馬プロジェクト首長会会員)

関連ワード : 上田泰弘 熊本 美里町 

「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「まちの課題を解決するために」の第9回は、熊本県美里町長で龍馬プロジェクト首長会会員の上田泰弘氏による「町の宝を活かして誇りと活力を」をお届けします。

◇        ◇        ◇

自然豊かな熊本県下益城郡美里町

 美里町は平成16年11月1日熊本県下益城郡「中央町」と「砥用町」の2町合併により誕生しました。美里町は、熊本県のほぼ中央に位置しており、熊本市から南東へ約30km、車で約40分程度の距離にある自然豊かな地域です。地勢は山地丘陵部が多く、総面積(144.03Km2)の約3/4(107.59Km2)を森林が占める典型的な中山間地域です(美里町HPより)。

まちの課題を解決するために~あるものを活かす

 私が住む美里町にあるもの・・・豊かな自然。古い歴史を持つ石橋群。3,333段の日本一の石段「御坂遊歩道」。都市との交流施設「佐俣の湯」。昭和46年に完成した多目的ダム「緑川ダム」、などなど。それぞれに歴史や時代背景がある。その歴史や時代背景は今となってはどんなに予算を投じても作り上げることはできない。普段は何気なく、当たり前のように生活している環境の中にも、都会では体感できない風景がある。まさに先人が遺してくれた宝である。

 町長になって最初に感じたこと、それは、これらの宝が活かしきれていないということ。ある意味、必然的にそうなっていたのかもしれない。なぜならば、あって当たり前の環境で長年生活してきた先輩方は、宝を宝だと思えなかった、または、思えなくなったとしても仕方がない。

 現職になって1年半。私はこれらの宝にもう一度光を当てたい。言い換えれば、現在(いま)あるものを最大限に活用して行きたいと考えている。そのためには、町民の方々にその価値を認識、再認識していただくことも大きな課題であると考え、事あるごとに、町にある伝統・文化・宝の価値と尊さを伝えている。

 また、最近ではフットパスを活用した取り組みを「応援」している。フットパスとはイギリスが発祥で「昔からある、ありのままの風景を楽しみながら、小径(こみち)を歩く」ことであり、先人が遺してくれたさまざまな宝の魅力を、多くの町内外の方々に体感していただいている。

 結果、想像以上の方々が来町され、面白い現象が起こっている。

 ありのままの風景の中を歩いていただくので、当然、集落の中や、民家の庭先も通る。今までは、ほとんど人の訪問などなかった地域にも人が入ってくる。すると、挨拶が交わされ会話が生まれる。そして素晴らしい風景ですねと褒めてもらえる。人が来るとなると、今まで散らかしていた庭先も少しずつ清掃が進んで行く。草で覆われ獣道のようだった昔の里道も、地域の方々によって整備されていく。会話が楽しくて、庭先でお茶などのおもてなしも自然と行われるようになる。「今までは当たり前」の環境を褒められることで、誇りと活力が生まれつつあり、多くの宝の存在と価値に気付かれる町民も増えてきている。

 そのほかの取り組みとして、入庁3年以内の若手職員を集め、日常生活の中で「ふと気付く」町の良いところを撮影してもらい、それらを掲載した町のPRパンフレットを作成し好評をいただいている。特異な点は、まったくといっていいほど観光施設等が載っていない。普通のPRパンフレットには見どころや楽しみどころが、洩れなく掲載されているものであるが、それがない。押し付けの観光ではなく「そういえば昔はこんな風景があったね」と興味を持っていただくことが狙いである。

 これからもさまざまな手法で、宝を売り出し、光を当てたいと考えている。今あるものを活用できれば、大きな予算は必要ない。しかも、歴史や文化は絶対に買えない。恐らく、皆さんの周りにも日常の生活で気付いていない“宝”が存在しているのではないだろうか・・・。

 最後に、美里町には「美里フットパス協会」がある。地域おこしの牽引役であるが、すべてボトムアップで設立された。この地域をなんとかしたいと憂うメンバーで設立され、町からは1円の予算も出していない。予算を出さないかわりに口も出さない。自由にやってもらっている事が功を奏している。

 まさに人材(財)も宝である。

上田泰弘氏著者プロフィール
上田 泰弘(うえだ やすひろ) 龍馬プロジェクト首長会会員/熊本県美里町長
昭和50年5月21日 美里町(旧砥用町)生まれ。平成10年3月 福岡大学卒業。卒業後、参議院議員秘書を経て、平成19年4月 熊本県議会議員初当選、平成21年3月 熊本県議会建設常任委員会副委員長、平成21年4月 自由民主党熊本県支部連合会青年部長、平成23年4月 熊本県議会議員2期目当選、平成23年5月 熊本県議会厚生常任委員会副委員長、平成24年11月 美里町町長選挙初当選。
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