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【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「この課題、私ならこうして解決」】

第34回 動き出す、日南 「人づくり」でまちづくり (2014/2/21 崎田恭平/龍馬プロジェクト 首長会)

関連ワード : 宮崎 崎田恭平 日南市 

地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。今回から新シリーズの「この課題、私ならこうして解決」が始まります。第1回は、日南市長で龍馬プロジェクト首長会の崎田恭平氏による「第34回 動き出す、日南 「人づくり」でまちづくり」をお届けします。

◇        ◇        ◇

 安定した公務員(県職員)を辞し、2013年4月の日南市長選に挑戦しまして、初当選することができました。私は政治家として、「人づくり」を最大のテーマとして掲げ、市政を行っています。

政治家を志す

日南市長 崎田恭平氏

日南市長 崎田恭平氏

 大学生時代に、児童養護施設で週に数回、勉強を教えるなどのボランティア活動を行っていました。子どもたちのそれまでの境遇を知る中で、家庭で三度の食事があり、学校に進学できるという、無意識のうちに当たり前だと考えていたことが、当たり前ではない現実に大きな衝撃を受けました。そのときから、どんな家庭に生まれても、同じスタートラインに立つことができる社会づくりをしなければならないという思いと、子どもたちに自立して社会を生きていける力を付けさせたいという思いを持つようになりました。

 それから県庁に就職し、いくつかの部署を経験した後、厚生労働省に1年間派遣されました。国での仕事は大変勉強になりましたが、国民や地域を身近に感じられない遠い場所で物事を動かしていく仕事ではなく、住民により近い場所で、具体的な政策を実施する中で「人づくり」を行い、力強い誇りある郷土を創造することが自分の使命であると考えるようになりました。そして、地盤(ジバン)も看板(カンバン)も鞄(カバン)もない何もないところからの挑戦で日南市長選に出馬し、現在、市長職を務めています。

2人の民間人登用

 私は、この「人づくり」を4つの切り口で市政を進めています。

 (1)経済のリーダー育成

 (2)地域のリーダー育成

 (3)次世代のリーダー育成(教育)

 (4)市役所の人財育成

 全て重要な切り口なのですが、今回は目下の最優先課題として取り組んでいます「(1)経済のリーダー育成」について書かせていただきます。

崎田恭平氏

崎田恭平氏

 地方は厳しい経済・雇用環境にあり、地元に残りたくても働く場所がないため為に出て行かざるを得ない現実があります。

 そこで、市内経済(内需の拡大)と市外経済(外需の拡大)の2つをそれぞれ担当する「民間人登用」を行い、産業振興・雇用拡大を目指しています。

商店街再生請負人、別名『90万の男』 〜内需の拡大

 日南市の油津地区は、天然の良港として歴史ある港町であり、かつて「東洋一のマグロ基地」として、そして堀川運河を中心に林業(飫肥杉)で大変栄えていた地区でした。当然、ここの商店街も30〜40年以前は大変にぎわっており、商店街を歩くと肩がぶつかるほどの人出がありました。

 しかし、近年は、全国で課題となっている典型的な「シャッター商店街」となっており、『人口』と『消費』の流出を止めるための手段として、“商店街再生請負人”(テナントミックスサポートマネージャー)を民間から公募をすることにしました。

木藤亮太氏

木藤亮太氏

 「月額委託料90万円は市長給与よりも高い!」で話題を集め、在京キー局からも複数取材を受けるなどする中、全国から応募のあった333名の中から、木藤亮太氏(39)に決まり、昨年7月から取り組みを行っています。

 これまで全国でもよく行われた、いわゆる「出店者に対する家賃補助」をして、どんな店でも商店街に入れてしまうという手法は行わず、“質の高い時間消費”をテーマにストーリー性のある商店街づくりを目指しています。家賃補助では、当初数年の補助期限が終わると、商店も撤退・・・という全国の失敗事例のようになってしまう恐れがありますので、行政の支援がなくても「自立して継続できる商店街」にならなくてはなりません。

 ストーリー性を持つためには、最初に出店する数店舗が重要であり、戦略を持って準備を進めています。その1店舗目は、今年3月からスタートする見込みで、以前油津が賑わっていた頃の中核をなしていた、みんながおしゃれをして店に集っていたカフェを復活させるというストーリーで準備を進めています。現在、さまざまなことを打ち出していく準備をしていますので、今後の動きにご注目いただけたら幸いです。

市役所がマーケティング!?「マーケティング専門官」 〜外需の拡大

 市内の人口減少が進んでいる中、市内経済だけではパイは縮小するばかりです。市外に攻めていき、産業振興・外貨の獲得を行う必要があります。

 そのための手法として、当市では「マーケティング」に力を入れた取り組みを行っています。

田鹿倫基氏

田鹿倫基氏

 ここでも民間人の登用を行い、昨年8月、田鹿倫基氏(29)がマーケティング専門官に就任しました。同年10月にはマーケティング推進室を設置し、課長級職員と担当者を配置しまして、日南の地域資源の調査・分析を行うとともに、実証実験を行っています。

 これまで、大手居酒屋への農産物「だいだい」(柑橘類)納入をはじめ、リクルートのショッピングサイトへの行政による初出店等のECサイトの活用、クラウドファンディングで資金調達しての地元特産「飫肥杉」世界進出挑戦、銀座のミシュラン掲載イタリアン料理店に100人のシェフや料理研究家、料理ブロガーを招待したチョウザメ試食会の開催、築地場外の店舗への日南商品の出荷、無印良品のネットショップでの日南産食材の販売、婚活サイトと旅行会社・日南市のコラボによる着地型婚活ツアーなどなど、マーケティング専門官を中心にさまざまな取り組みを行ってまいりました。

 また、日南市の戦略について特徴的な点は「企業との協業」が挙げられます。企業とうまく『組む』ことによって、効果が高まる仕組みづくりに挑戦しています。前例にとらわれない頭の柔らかい行政となることによって、企業側からも組みたいと思っていただける自治体を目指して、日々奮闘しているところです。

最終的には「人」

木藤亮太氏と田鹿倫基氏

木藤亮太氏(左)と田鹿倫基氏

 この2人の民間人登用策が順調に進んでいる要因として、2人の人間性の良さも挙げられます。

 もちろん、戦略性のある事業の進め方をしており、内容に納得できる部分があってこそなのですが、2人とも周囲の人間が応援したくなる人間性がありまして、市役所組織が一丸となって彼らと取り組みを進め、市民も応援しようと立ち上がる方がどんどん増えています。

 疲弊した地方が再生するためには、リスクを負ってでも挑戦する人材が現れないと衰退は止まらないと考えています。

崎田恭平氏

崎田恭平氏

 私自身も、安定した県職員を捨て、誇りある郷土の創造のため、市長選に挑戦しました。そして、今、市内において、共に動き出そうと挑戦する人材が現れ始めました。まずは、自分自身がリスクを負ってでも先頭を突き進む覚悟でいなければ、共に挑戦する人材は出てきません。

 「動き出す、日南。」が私の市長選でのキャッチフレーズです。これが具現化できるよう、これからも私自身が誰よりも汗をかいて動いてまいります!!

著者プロフィール
崎田 恭平(さきた きょうへい):1979年5月22日生まれ。宮崎県日南市出身。飫肥中学校、宮崎第一高等学校卒業。2003年3月、九州大学工学部エネルギー科学科卒業。2004年4月、宮崎県庁に入庁。2012年8月、同県庁を退職。宮崎県庁では、地域振興、土木、福祉、医療の部署を経験。その間、厚生労働省に1年間派遣される。2013年4月の日南市長選挙に無所属で出馬。現職、前宮崎県議ら2人の候補者を破り、初当選。現在1期目。
blog:崎田恭平ブログ
facebook:崎田恭平
龍馬プロジェクト リレーコラム
第33回 国旗に向かって国歌を歌わなかった私に、親友がもたらしたものとは・・・)(荻村文規)
第32回 教育の再生からの日本再生を目指して(宮橋勝栄)
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