第116回 “祭り”の後こそ“政(まつりごと)”  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第116回 “祭り”の後こそ“政(まつりごと)” (2014/12/24 千葉県松戸市議会議員 山中啓之氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第116回は、千葉県松戸市議の山中啓之氏による「“祭り”の後こそ“政(まつりごと)”」をお届けします。

◇        ◇        ◇

1カ月で味わった「2つの立場」

 松戸市議会議員選挙が11月16日に施行され、それから1カ月も経たぬ12月早々に衆議院選挙があった。この短期間の間で、図らずも私は選挙権(=投票)と被選挙権(=自らの出馬)の両方を行使することになった。立候補者と有権者の双方の立場を経験して切に思うことが2つある。

 1つは低投票率への問題意識、そしてもう1つは真の民主主義確立に最も大事なこと――。

“不名誉記録”更新中

 まず、11月の松戸市議選。自らの当選の喜びと背中合わせに、低い投票率が目を引いた。戦後最低の37.74%。投票日に雨が降ったわけでもないことを考えると、土砂降りになるのはむしろ私の心中か。地方分権、地方創生と言われているが現実的に「3割自治」は、いまだ続く。

 そして翌12月の衆院選。こちらも同様に過去最低の52.67%(小選挙区)。戦後最低の2012年の前回選挙の59.32%を大きく下回った。

 国も地方も、どちらもいまだワースト(最低)記録を更新し続ける投票率。国民の政治不信は、21世紀に入っても止まるところを知らない。

有権者のあなたにしかできないこと

 投票に行くことは、最も基本的な政治参加である。ご存知の通り民主主義社会では、有権者に選ばれた代表者が政治家となり、そこで選ばれた政治家の決定が国民生活に影響する。より良く生きようと思うが故に、より良いと思う候補者を選ぶのだ。つまり、投票に行くことは、この社会で生きることそのものだと言っても、決して過言ではないだろう。

 有権者の実に半分も選挙に行かない状態で、大半の有権者が満足する状態などというものは、普通に考えてまずやってこない。それは容易に想像がつくだろう。

 そして、この深刻な現状を好転させるのもまた、有権者にしかできないことなのだ。「投票に行く」という、一見、至極単純な行為の持つ深さはそこにある。

政(まつりごと)ごとは、戦の後で

 どんなに低投票率にいら立っても、4年間の任期中(あるいは衆議院は解散するまで)はその議員は議席にいる。きっと皆さんの近くにもいる、圧倒的な「地盤」で受かったあの重鎮候補も、駅前で政策の代わりに大声で「挨拶」ばかりしていたあの候補も。

 もちろん、選挙は何より大事だが、選挙が終わった今、有権者ができることを考えよう。数年に1度の投票以外に市民ができる行動はないだろうか。

 実は、ある。

 選挙期間中は選挙カーや駅での演説、各候補のHPなど、どの陣営もPR合戦で忙しい。いってみれば「お祭り騒ぎ」。騒然としていて分からなかったことがいろいろあるだろう。その政治家が何をやりたいのか(政策)、なんのために政治家になったのか(志)……など、選挙が終わって平静を取り戻した今こそ、じっくりと確認作業ができるのではなかろうか。

 例えば、日常的に政治家の「素顔」を見ることをお勧めする。いつも駅頭にいる候補には耳を傾けてもいいし、なんなら話しかけてみるのも良い。その反応も含めて、その政治家の「素顔」に触れることができるだろう。その議員の質問を傍聴に行くもよし、発行物を見るもよし、HPはどのくらいの頻度で更新されているか、内容はどうか等……もうお気付きだと思うが、本当に大切なのは選挙後だということだ。真の民主主義が確立されるかどうかは、ここにかかっている。お祭りの後に、真の政(まつりごと)が始まるのだから。

政治家も忘れたくない市民の目

 現職議員の多くが市民や候補者から「どうすれば票が集まるの?」という質問を受けることがあるだろう。それが分かれば苦労しないというのが多くの議員の本音だろうし、無論、それは私にも分からない。もしもテクニックの類で何とかなるものなら、そういうモノの本の方にお当たりいただければと思う。

 しかし、唯一確信していることがある。それは、政策もそうだが、その信念を行動で一貫して表すことができるかどうかだ。当選すると主義主張はどこへやらという候補は早晩信頼を無くしている(これは私の有権者としての政治家に対する願望も加味されている)。信念なく小手先の技術に奔走する政治家は、たやすく下手な演技を見抜かれる。風向きが悪くなるとポリシーや所属政党をコロコロ変えたり、保身に走り職務上の情報公開を市民に対して渋るような政治家は、もはや誰にも支持されないだろう。これはまさに、マニフェストを世に広めた早大教授の北川正恭氏がおっしゃっていた「理念なき行動は暴挙、行動なき理念は空虚」に通じるものがあると思う。

 多くの市民は日々、何らかの不満を持って生活している。そしてそれらの課題を解決するのが本来の政治の役目である。同時に、市民も政治家に何でも任せっきりにせず、自ら見識を高め、政治家を時に叱咤激励しながら、民主主義の制度を「使いこなす」能力が求められている。そのためには、選挙後の継続的な政治参加こそが、欠かせないのである。

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山中啓之氏著者プロフィール
山中啓之(やまなかけいじ)
1979年5月28日生まれ。千葉県松戸市出身。二三ヶ丘幼稚園、横須賀小学校、小金中学校、早稲田大学高等学院(在学中に1年間スコットランドに留学)、早稲田大学政治経済学部卒。サラリーマンを経て、松下政経塾(第26期生)卒。
現在、松戸市議会議員(3期目・無所属)。会派「市民力」代表
特に行財政改革、議会改革、情報公開などに力を入れて取り組む。第7回マニフェスト大賞「優秀コミュニケーション賞」受賞。
HP:松戸市議会議員 山中けいじブログtwitter
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