第94回 学童保育先進地を目指して  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ >  記事 >  連載・コラム >  ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載 >  第94回 学童保育先進地を目指して

【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第94回 学童保育先進地を目指して (2014/7/16 岡山県倉敷市議会議員 齋藤武次郎氏/LM推進地議連会員)

関連ワード : 倉敷市 子育て 岡山 齋藤武次郎 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第94回は、岡山県倉敷市議会議員の齋藤武次郎氏による「学童保育先進地を目指して」をお届けします。

多様な地理と歴史を持つまち

 倉敷市は政令市・岡山市に次ぐ、県内第2都市で、面積354.72キロ平方メートル、人口約48万人の中核市。1967年に倉敷市、児島市、玉島市の3市が合併し、水島を加え、4地区の核を持つ合併都市です。

前回のコラムはこちら→ 第38回 政策実現のための活動を支えてくれるマニフェスト

 議会基本条例を2013年4月に施行し、6月議会から常任委員会での請願審査の際に、請願者による意見陳述できる制度を導入予定しました。

学童保育の充実を!

学童保育のこどもたちと(学童保育「二福のびのびクラブ」の運営委員長を務める)

学童保育のこどもたちと
(学童保育「二福のびのびクラブ」の運営委員長を務める)

 子ども子育て新制度により、学童保育について基準などを議会が条例で定めることが法律で規定されました。私はこの条例について感慨一入です。それは長年にわたって取り組んできたのがこの学童保育の充実だったからです。

 ところで、政府は、放課後に児童を預かる学童保育の受け皿を5年間で30万人分増やす方針を発表しました。

 子どもを保育所に預けて共働きしていたのに、小学校に上がると預け先がない。そんな「小1の壁」が、子育て支援施策の新たな課題として浮上しています。

 私は初当選のころから、学童保育の推進に力を入れてきました。最近の選挙の際には、自らのマニフェストで明確に訴えてきました。前回(2013年)の選挙マニフェストでは、「すべての小学校に学童保育を!待機児童の解消と小学校6年生までの完全入所を図ります」と訴えました。

 私の所属する会派「青空市民クラブ」としても、力を入れてきた政策の1つでもあります。

 初当選のころは、「子どもの面倒は親が見るべき」といった考え方の人も少なくなく、学童保育のある小学校区も少なく、学童保育の必要性を訴えても、なかなか理解してもらえないような時でした。また、小学校の現場でも迷惑施設のようなイメージも感じられたころでした。

 それが、大規模校の学区変更問題で、ある小学校に学童保育がないことが課題になり、教育委員会が学童保育を自ら設置するという出来事がありました。私は、そのことを議会質問で取り上げ、「保護者から学童保育の設置を望んでも、空き教室がないという理由で応じないのに、教育委員会の事情で学童保育をつくるときには、空き教室がなくても作るのはいかがなものか。すべての小学校区に学童保育を設置するよう、教育委員会の考え方を改めるべきだ」と求めました。そのことも契機となり、学童保育の数も増えてきました。

 そのような状況から、今では総理大臣が学童保育の現場を視察したり、大きな政策の1つとなるような時代になったことは、感慨一入です。

「小1の壁」解消へ開所時間延長支援事業

厚生労働省の担当者を招いての説明会を開

厚生労働省の担当者を招いての説明会を開

 会派で内閣府を訪問した際に、「小1の壁」対策、学童保育指導員の処遇改善策として、「開所時間延長支援事業」を創設する準備をしていることを知りました。その際、厚生労働省の担当者が、自治体や団体等にも説明会を行う用意があるとの話を聞きました。そこで、会派としては、代表質問に取り上げるとともに、市長に要望するなどの取り組みを行いました。

 一方、市学童保育連絡協議会や運営委員長連絡会の皆さんに話をしたところ、厚生労働省担当者を倉敷市に招き、全国初の地方での説明会を実現することができました。厚生労働省の担当者には、市内の学童保育の現場も視察してもらいました。

 説明会を聞き、2つの団体が初めて共同で、市長に「開所時間延長支援事業」を行うよう要望書も提出しました。その結果、倉敷市は全国に先駆けて、この事業の予算を2014年6月議会に提案し、可決されました。

保育スキルアップには指導員の処遇改善が必要

 学童保育のニーズは急速に高まっています。政府が学童保育定員を「5年間で30万人増やす」と言っただけで、簡単に解決する問題ではありません。場所や指導員を確保しなければ、大幅な受け入れ増はできません。それは、自治体の責任です。

 学童保育指導員の処遇を改善し、保育スキルを上げていくことが、保護者にとって安心して子どもたちを預けられるようになることにつながり、子どもたちにとって良い居場所づくりにもつながっていくと思います。

 倉敷市では、倉敷型学童保育として、10人未満の小規模学童保育を独自に認める等を行い、学童保育未設置学区は1つのみとなりました。6年生までの受け入れも、既に独自に行っています。また、民間施設を借用する場合の家賃補助制度もあります。

 しかし、指導員の処遇改善と保育スペースの確保はなかなか進みません。マニフェスト実現に向けて、今後はこの課題を解決するよう努めていきたいと思います。そのためには、行政や政治だけではなく、保護者や現場の理解が必要です。学童保育先進地を目指して、現場と連携を取りながら子どもたちの未来のために頑張ります。

議会質問する斎藤武次郎氏

議会質問する斎藤武次郎氏

齋藤武次郎氏著者プロフィール
齋藤 武次郎(さいとう たけじろう)
倉敷市議会議員。1963年5月26日生まれ、香川大学卒業、岡山県庁に6年勤務し、1992年に退職。1993年市議会議員選挙に初当選、現在6期目。岡山県若手市町村議員グループ「議員ネット30」会長、中四国若手市議会議員の会会長、全国若手市議会議員の会会長を歴任。著書に「いま、中国地域が動く」(共著)、「岡山発!若者たちの改革」(共著)、「全国若手議員からのメッセージ」(共著)、『地方分権で自治体議会が生まれ変わるか?』(共著)がある。
HP:倉敷市議会議員 齋藤武次郎のホームページ
メール:info_at_takejiro.net(迷惑メール対策のため、「@」を「_at_」と表示しております。送信の際には「@」に変更してください)
LM推進地議連の連載コラム
第93回 市民の力で議会改革(松戸市議会議員 山中啓之氏)
第92回 鹿嶋市議会議員としての取り組み(元鹿嶋市議会議員 原田雅也氏)
第91回 作りっ放しにしないために~議会の役割とは?(元酒田市議会議員 佐藤丈晴氏)
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟(LM推進地議連)連載コラム一覧
関連リンク
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟ホームページ
関連ワード : 倉敷市 子育て 岡山 齋藤武次郎