第88回 地方政治に向かい合う日々に思うこと  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第88回 地方政治に向かい合う日々に思うこと (2014/6/4 東京都東村山市議会議員 大塚恵美子氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第88回は、東京都東村山市議会議員の大塚恵美子氏による『地方政治に向かい合う日々に思うこと』をお届けします。

◇      ◇      ◇

議会って変わることができる!

 東京都東村山市は人口約15万2000人の都市近郊のまちです。東村山市議会24人のひとり、ローカルパーティ生活者ネットワークの議員として2期目終盤を活動中です。

 東村山市議会は3年をかけ、議会改革を進める中で、議会基本条例を2013年12月に制定しましたが、条例化だけが目的ではなく、議論のプロセスそのものに意味があり、策定の過程ですぐにできる改革に着手してきました。条例施行に伴い、1人でも会派と認め、特別委員会のみならず、議会運営委員会の構成員としての活動も可能となりました。条例制定は後発組であり、合意水準が決して高いとはいえないものの、議会改革が進んだことは、会派の数、力が拮抗しつつあり、議論なくしては始まらないという絶妙のタイミングによるものと思います。加えて議会事務局のサポートの力は大きく、二人三脚での取り組みとなったことに感謝しています。議会改革の元祖・栗山町の中尾修元事務局長のお話を伺う都度、東村山市議会で議会事務局の力が得られるとは考えてもみない日々がありましたが、何のために議会を変えるか、主体は誰か、と動き始めた時点で、議会事務局は本来の力を発揮し始めました。

 2014年5月9日・10日には初の「議会報告会・意見交換会」を開き100人を超す参加をいただきました。準備から運営、課題抽出を議会一団となって実施し、8月の第2回を迎える体制も整いました。例規の見直しを終え、現在は「政策研究会」「広報広聴委員会」の機能について議論を重ね、並行して「通年議会」導入に向けたチーム会議が動いています。使ってもらえる議会までには未到着、不十分でも、立ち止まらない、やり過ごさない議会に変身中です。

 そして嬉しいニュースが! 3日発表の「議会改革度調査2013ランキング」で、東村山市議会が前回の300位以下から52位へ大躍進したことを知りました。改革の努力を不断に重ねていきます(参考:議会改革度調査2013ランキング )。

東村山市議会初の議会報告会

東村山市議会初の議会報告会

双方向をめざして! 市民への発信、情報提供、課題の共有を

 定例議会後に発行する年4回の「東村山・生活者ネットワークニュース」も105号を数えます。市内10の団体で組織する生活クラブ運動グループ地域協議会の情報誌に毎月、活動報告のページをもらい、HPやfacebookへの投稿、月に数回の「早朝駅頭議会報告」、また、月に1度エリアを決め、自転車で10カ所を回る「街かど議会報告」、お声がかかれば市内のあらゆるところに出前報告をする「まちづくりカフェ」も活動報告の機会として作ってきました。一方通行に陥らず、双方向での対話の場面を作ることに苦心している日々でもあります。「まちづくりカフェ」は設定してくれる人を探し、毎回8人から16人ぐらいにお集まりいただいています。報告の後、その地域の課題が参加者から出され、タイムリーな話題に花が咲き、終わるころには参加者との体感温度、距離感がぐんと近づき、提案と元気をもらい活動できる、いいことづくめです。

 地域で継続してきた市民活動も、議員としての活動の大きな原動力になっています。NO遺伝子組み換え作物や資源のリユース、自然エネルギーなど消費者としての活動、小中学校図書館の専任司書配置の実現にこぎつけた地域の子ども文庫「くめがわ電車図書館」の活動、チェルノブイリ事故以来続けてきた脱原発の活動もその1つです。

東村山市議会議員 大塚恵美子氏

東村山市議会議員 大塚恵美子氏

 3.11震災と原発事故直後に、孤立しがちだとの若いママたちの声を受け、地域に「子どもの未来を考えるゆるやかなネットワーク」を立ち上げ、市内の脱原発グループとともに空間線量測定や、京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さんの講演会開催、市民持ち込み食材の放射能測定チームの行政との協働、福島の子ども保養プロジェクトにつながりました。まちに出て動くことで世界は広がる、悩みや課題の共有が広がる、解決に向けてともに動く、これでこそ自治体議員の冥利につきるなと思うことが多く、地方自治の潮目が変わる時を実感しつつあります。

 「困り感」のある発達障害児のママたちや市内の障害児・障害者団体との意見交換、交流などから大きな気づきを得て、年々間柄が深まりつつあります。放課後等デイサービスなどの居場所の問題、グループホーム、児童発達支援など、とにかく現場に遊びに行ってしまうのが私流、それを独り占めせず発信します。子どもの貧困、「子ども・子育て支援新制度」の保育、学童クラブの転機も座学のみならず、「現場へ!」です。

地域の声を国に届ける 私たちがやらなくて誰がやる?

 年々、国会通いが増えてきました。HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種中止を求める「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」に参加し、薬害オンブズパーソン会議との連携で、厚労省副反応検討部会の傍聴や院内集会開催、各議会での質問や意見書などに取り組み、共感を広げようと活動しています。また、「原発事故子ども被災者支援法」に実効性を持たせようと提案を進める「子ども被災者支援法自治体議員連盟」の幹事もさせていただいています。いずれも十分な働きというわけにはいきませんが、アンテナを高く張り、地域を超え自治体議員がつながることで、ボトムアップを図っています。地元のイベントに出没するだけでは、地方政治、地方自治の底上げは図れません。

 これからも、不思議に驚く好奇心と、喧嘩心を眠らせることなく、たゆまず力を尽くしていきたいと思います。

著者プロフィール
大塚恵美子氏 大塚 恵美子(おおつか えみこ):1951年、埼玉県生まれ。青山学院女子短期大学、東京YWCA学院卒。東村山市39年在住。
東京・生活者ネットワーク職員を経て2007年東村山市議会議員当選、現在2期目、一人会派「東村山・生活者ネットワーク」所属、厚生委員会委員。夫を肺がんで失い、家族は息子夫婦、娘夫婦と孫3人。平和、原発とエネルギー、子どもの権利、DV、女性の雇用・社会保障、図書館問題が活動の柱。ひとり旅、絵をみること、子どもの本を読むこと、茨木のり子、清水眞砂子、須賀敦子、梨木香歩が好き。
大塚恵美子ホームページ
twitter:@otsukaemikofacebook:emiko.otsuka.186
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