第79回 議員定数問題にどう取り組んだか(下)  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第79回 議員定数問題にどう取り組んだか(下) (2014/4/2 流山市議会議員 酒井睦夫氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。今回は、3月19日掲載の「議員定数問題にどう取り組んだか(上)」の続編です。流山市議会「議員定数削減案」の結果は? 3月24日に採決を迎えた流山市議会の酒井睦夫議員による報告です。

前回はこちら ⇒ 第77回 議員定数問題にどう取り組んだか(上)

市民アンケート

 議員定数を考えるに当たって、議会だけで決めるわけにはいかない。
 所沢市議会は「審議会」を設置しどうあるべきかを諮問した。審議会の答申を受け、議会で最終決定をしている。会津若松市議会は「検討委員会」に市民2人を入れ、28回の検討会を実施したと聞く。
 われわれの特別委員会は市民が入っていないが、多様な方法で市民の意向を把握することとした。意見交換会や公聴会のほか、アンケートを取った。

アンケートの内容

 アンケートは公共施設31カ所に用紙と回収箱を置いたほか、ホームページでWEBアンケートを行った。ほかに、住民基本台帳から無作為抽出で市民1,000人を選び郵送した。回答総数861人。うち、無作為抽出の回答367人。
 「性別」「年齢」「前回の市議選で投票したか」「投票しなかった人はその理由」を聞いた上で、数項目の質問をしている。質問内容とアンケート結果の詳細は流山市議会のHPを照会されたい。
 ■流山市議会(http://www.nagareyamagikai.jp/)
 (「新着記事一覧」をクリックして3月20日の「議員定数等に関する特別委員会」に掲載)

2014年3月24日(定例議会最終日)の採決結果

 議会最終日は、議案ごとの質疑・討論・採決があるため、通常遅くまでかかる。今回は議員定数問題があるため、深夜になると思われた。結果は深夜どころか翌日の朝8時20分までかかった。
 議員定数4人削減案と2人削減案が発議された。その発議案に対し、各6人の質疑通告書が提出された。質疑は1人5-6問。再質問、再々質問があり、1人1時間くらいかかるケースもあった。
 質疑の後、討論があり、採決。4人削減案は「賛成」9、「反対」17で否決。その後、2人削減案について同様の手続きを経て、採決。結果は「賛成」10、「反対」16で否決。結論として削減「ゼロ」となった。

個人的な感想

流山市議会議員の酒井睦夫氏

流山市議会議員
酒井睦夫氏

 たまたま私は「検討特別委員会」の委員長だったため、17回の「委員会」を運営する立場であり、個人的な見解を述べることは差し控えた。私にとっては残念な結果となったが、「議会の意思」であり、受け入れるしかない。

 しかし、最大の問題は「市民の意思」が入っていない、ということだと思う。 所沢市議会や会津若松市議会は検討のプロセスに市民が入っており、結果はどうあれ、一定の「納得性」はある。
 流山市議会の「特別委員会」は会派代表と会派に属さない議員による10人(途中から11人)で検討されたが、「多様な方法で市民の意向を把握する」と決めた。
 市民の意向といっても分析が難しいが、アンケートの結果は「削減すべき」が一番多い。結果として「市民意向が無視された」ことになるのではないか。

 深夜まで傍聴された市民は多かった。翌日朝まで残られた方は5人。翌日から私宛てに「怒りのメール」がたくさん来た。

 流山市議会は2013年6月、日経新聞に「議会改革度日本一」と発表されて以来、全国から視察を受け入れている。「削減反対」の議員は「二元代表制の機能を果たすためにも、議会の権能を落とすようなことをすべきでない」という。自分たちの活動にプライドを持ち、更なる機能強化こそ必要と主張する。
 ところが、削減を主張する市民は違った見方である。「議員のレベルが低い。こんな議員がたくさんいても無駄だ。減らして選挙の競争を高めよ。少数が精鋭を作る」という見方である。
 市民団体が「議員の通信簿」を発表しているところがある。流山にはないが、もし実施すれば「80点以上の議員が数名いる半面、50点以下はもっと多い」と思う。相模原市や佐倉市などの例をみても同様である。
 「議員が自分を評価するほどには市民は議員を評価していない」これが問題であると思う。議員はもっともっと謙虚にならなければ、と思うのだが。

著者プロフィール
酒井 睦夫(さかい むつお):1942年福島県生れ。65年慶大卒、松下電器(現パナソニック)定年後、外資系映画会社などを経て65歳で流山市議当選。現在2期目。会派「市民クラブ」代表。議員定数等検討特別委員会・委員長。
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