第76回 若者の政治離れを打開するために立ち上げた政治塾  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第76回 若者の政治離れを打開するために立ち上げた政治塾 (2014/3/12 福井市議会議員 中村綾菜氏/LM推進地議連会員)

関連ワード : 中村綾菜 福井 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第76回は、福井県福井市議会議員の中村綾菜氏による「若者の政治離れを打開するために立ち上げた政治塾」をお届けします。

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あまりに何もない……福井市

福井市のキャッチコピー「あまりに何もない、だから面白い」

福井市のキャッチコピー「あまりに何もない、だから面白い」

 皆さん!福井県をご存知ですか?福島じゃないですよ。福岡でもないです。裏日本とも呼んでいる方もいますが、地図でいうと、石川県の下、岐阜の上あたりに位置します。

 その福井県の県庁所在地があるのが福井市。2011年のあるポスターコンクールでは「あまりに何もない、だから面白い」というキャッチコピーでグランプリをいただいたほど、何もありません!しかし、「幸福度全国1位」「学力・体力全国1位」なんです!

 戦国時代、京都の次に城下町として栄えていたという朝倉氏の一乗谷は信長に焼かれ、柴田勝家とお市の方が住んでいた北の庄城は秀吉に焼かれ、その後戦災で焼野原になり、戦後すぐ、立て続けに起こった震災に水害。数多くの災害を乗り越えて不死鳥のごとく復興し、発展してきた町が、福井市です。だからこそ、福井市民は、まじめで勤勉・勤労で、お互いを尊重しあうという特徴があります。

若者政治塾「STAR」を設立

 20代の福井県内の投票率は36%(2011年県知事選挙)。若者の政治離れは深刻になっています。39歳以下の福井県内の地方議員数は、353人中11人。選挙に出にくい環境になっています。(2013年4月1日現在)

 若者の投票率が低いのは、政治に興味がない、政治が社会にどう影響があるか分からないのが原因です。また、39歳以下の議員が少ないのは、選挙に出にくい(地盤・看板・お金がない)から、そして政治家に魅力がないのが原因です。

 私は、政治に興味を持つ若者が増えることで、投票率アップにつながり、若者の意見が反映させられる社会になる。そして、若手の議員が増えることで、先輩(高齢)議員に流されないで、若者の政策が反映させられる議会になり、信頼でき、共に戦える仲間ができ、仲間とともに社会を変えることができると考えています。

 そこで、若者の政治離れを打開するため、2013年4月に若者政治塾「STAR」を、若者10人で立ち上げました。

若者政治塾「STAR」の勉強会

若者政治塾「STAR」の勉強会

 政治塾は月1回勉強会を行います。今年は、子育てや災害といった身近な問題から、経済問題、国際問題、憲法問題まで幅広く取り上げました。

 しかし、なかなか参加者が集まりませんでした。政治というのは遠い存在というイメージですので、わざわざ塾に行ってみよう、とはならないのが現実でした。そこで、私たちは、入り口を大きくしよう、と工夫しました。例えば、テーマを「コラージュで『可能性』を見つけませんか」としてワークショップ形式にしたり、「子育て真っ最中のお母さん集まれ!」としてお母さんたちの悩みを話し合う場にしたりしました。そして「政治というのは、実は生活に直結するものなのです」ということを伝えました。

 また、塾生の皆さんと条例づくりをしました。国は法律を決めるところ、地方自治体では条例を決めるところ、ということを知ってもらうために開催しました。塾生からは、「あいさつ条例」「ソースかつ丼条例」(福井の特産品に関する条例)「ほやって条例」(福井弁に関する条例)と、たくさんのアイディアが出て盛り上がりました。ここで作られた条例は、さらにもんだ後、議会へ提出し、議員提出条例として上程したいとも考えています。

政治塾を設立して感じたこと

福井市議会議員 中村綾菜氏

福井市議会議員 中村綾菜氏

 政治塾に参加した方から、「政治が身近に感じた」「政治が大事だと改めて感じた」という声をいただいています。また、塾生には政治家になりたいという方もいらっしゃいますので、応援をしていこうと思っています。

 若い人は政治が遠い……と感じているだけで、私たち議員が近づいていくことでこれを解決することは、いくらでも可能だということを実感しました。もっと身近に政治を感じてもらうために、当たり前のことを当たり前に議会に反映させるために、これからも努力していこうと思います。

著者プロフィール
中村 綾菜(なかむら あやな):羽水高校→法政大学→寺尾会計事務所→鈴木こうじ県議秘書→福井市議会議員1期目。「どうせ福井は変わらない」という風潮を変え、当たり前の感覚をあたりまえに議会に送ります。
福井には、水、食べ物、山、海、人の温かさ、誠実さとすばらしい素材、人材が揃っています。それぞれをもっともっと活かして、『福井をもっと楽しいまちにしたい!』『もっともっと福井のことを好きになる方が増えてほしい!』『誇りあるまちだって自信をもって言える方が増えてほしい!』という想いで、活動しています。
HP:中村あやな OFFICIAL 福井市議会議員 – 熱いハートで挑みます。
Facebook:中村 あやな
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