第56回 「非有権者世代」も取り込む議員活動を  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第56回 「非有権者世代」も取り込む議員活動を (2013/10/16 三重県鈴鹿市議会議員 中西大輔氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第56回は、三重県鈴鹿市議会議員の中西大輔氏による『「非有権者世代」も取り込む議員活動を』をお届けします。

◇      ◇      ◇

 鈴鹿とくれば、サーキットのあるまちと言われるくらい、F1や8耐などのモータースポーツで認知度が高いまちです。また、ホンダの軽自動車生産において国内の生産拠点となった鈴鹿工場もあり、その工場に縁のある方にも親近感を持っていただいています。このような鈴鹿ですが、逆に言えば、それ以外のイメージに乏しい部分があります。そんなまちの課題は、今ある地域資源をどう活かすか、産業構造の見直しということがあり、また公共施設・インフラの更新、分散した市街地などの課題もあります。

 鈴鹿市議会は定数32人で、2年半前の統一選で10人の新人議員が当選。議会基本条例も昨年12月に制定し、今年に入って議会報告会も開催しています。しかし、委員会審議の在り方など議会改革全般の取り組みについては、まだこれからと考えています。

 議会基本条例に関連して、どのように市民とつながるかが議会の課題と言われますが、若者と政治の関係、社会の持続性ということから考えるとき、いま一度“市民”の定義について、議会は考える必要があると感じています。具体的には20歳以下の世代を、議会はもっと意識すべきということです。

 そこでつたないですが、次の図を作成しました。

図

中央を初当選と考えた時点の有権者像は、上の線のように20歳以上として考えられているでしょう。しかし、次の改選までを視野に入れると、20歳になるのは四角で囲んだ世代になります。つまり、ある時点の選挙の候補者は少なくともこの「非有権者世代」を含めながら、有権者像を意識すべきと思います。しかし、地方議会選挙にしても国政選挙にしても、“有権者”と考えられているのは、実のところ30才以上の世代が中心になってはいないでしょうか。これらのギャップを埋めることを議会は真剣に考えるべきだと思います。

 1つの例として、条例の条文を作成する際、子どもが読んでも分かりやすい表現にするということがよく言われます。しかし、条例をまとめる過程で果たして若い世代の声を聴いているのか、もしくはできた条例を教育現場で取り上げているかと言えば、そのようなことはほとんどないのではないでしょうか。イメージとして若い世代を考えていても、実際にはそこに存在していない例です。

 広がりつつあるオープンガバメントの考え方からすれば、地域課題解決の知識や自治体議会の知識を、若い世代にどう伝えるかが、これからの自治体議会にとって重要になると考えます。その過程で議員を選択するための知識も、若い世代が獲得するという考えが大切ではないでしょうか。投票行動の中で若い世代は、「誰かに言われた」などが選択の主な理由で、自分自身で選択するための知識は乏しいか、ほとんど知らないといっていいかもしれません。そう考えると、議会・議員は20歳以下の世代に対して、議会の立場からの政治教育を考えるべきです。議員は若い世代にとって、卒業式やいろいろなイベントの来賓としての存在から、政策提案や議決など地域の自治に関係する、考えの見える存在へと議会と共に変革することが必要だと思います。

三重県鈴鹿市議会議員 中西大輔氏

三重県鈴鹿市議会議員 中西大輔氏

 また別の視点として、若い世代はスマホなどのツールを使い、LINEやフェイスブックなどのSNSを通じたコミュニケーションが活発なことはご存知のことと思います。このようなツールを、若者と政治の接点として積極的に活用すべきです。先だって構想日本のJIフォーラムで、「JUDGIT!」が公開されましたが、このようなソフトを教育現場で活用し、自分の住む自治体の事業についての学習を行えば、いろいろなアプリなどを通じた政治参加がより活発になるはずです。そのように世の中が移行することを前提に、これからの自治体議会は、スマホなどのツールを積極的に活用しながら、リアルな働きかけや交流の機会も作り出し、これまで以上に20歳以下の世代を意識した政策を推進する必要に迫られていると考えています。

 しかし、どのようなツールや機会の創出があったとしても、そもそも、若い世代が関心を持たなければ、実際の行動に移行しないでしょう。その関心を持つ機会を創出するのはやはり学校教育の場であり、そこでリアルタイムの地域課題や政治に触れる機会を、議会は教育委員会などと連携して作るべきです。図で考えたのは、高2・中2・小6の授業に、議会だよりを活用した授業を、議会が積極的に関わって行うことです。そうすれば、議会に関心を持つきっかけが増え、自治への意識も高まると思います。

 市民を“そのまちに住むすべての人”と考えるのであれば、それに応じて政治の在り方を考え直すべきですし、不確実な時代で政策選択をするには、次の世代の考えを取り入れるべきです。この視点を今後の自分の議会活動や一般質問などに、より取り入れていきたいと考えています。

著者プロフィール
中西 大輔(なかにし だいすけ):バレーボール、バイク、日本酒(純米酒)がキーワード?の、鈴鹿市議会議員として2期目の43才。政党とは一歩距離をとるスタンスで活動中。多くの研修で、いろいろな地域の議員の方々と交流し、まだまだ学ばせて頂いています。
HP:鈴鹿市議会議員 中西大輔のHP
Blog:鈴鹿市議会議員 中西大輔の活動日誌
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